若者の○○離れ
わかもののまるまるばなれ
若者のクルマ離れ
- 安全装備追加等で全体的に新車価格が上がった。
- ガソリン価格の値上がりと軽自動車税の増税で維持費も上がった。おまけに若い人は自動車保険の任意保険料が非常に割高。
- 中古車もスポーツカーなどの趣味的な車種は市場価格が高騰している。特に1990年代の旧車は円安やアメリカ合衆国の「25年経つと輸入しやすくなる」輸入車事情もあり、もはや「暴騰」の域に達している。
- 自動車メーカーの海外シフトで、日本では使い勝手の悪い大型の車が増えた。
- 交通事故のリスクが広く認識された。
- あおり運転の増加。厳罰化に反して増え続けており、車を運転してる最中に巻き込まれるリスクも高まっている。
- 大都市への人口集中。公共交通機関の充実した都市部では自家用車がなくても事足りる上、駐車場代が非常に高くつく。
若者のモータースポーツ離れ
- 上記の「車離れ」「バイク離れ」の影響で、それらを用いておこなうモータースポーツからも、若者が離れるようになった。
- 車両・用品・ライセンスに高額な投資を要するため、ハードルが高い。
- 電子化・ブラックボックス化が進んだため改造できる範囲が狭まった。
- アマチュア競技から上位カテゴリにステップアップできる時代では無くなった。
若者の暴走族離れ
若者の酒離れ
若者のたばこ離れ
- 禁煙団体や医学界の尽力により「たばこは体に悪い」という認識が広まった。
- 昭和時代には娯楽などが少なく、価格も安かったため常用していた面があるが、現在はたばこに高額の税金がかけられ値上がりしている上、喫煙できる場所も少なく、吸えば吸うほどストレスがたまる。
- かつては喫煙所での交流(タバコミュニケーション)で重大事項が秘密裏に決定されることも少なくなかった(=根回しの為に喫煙所の利用がほぼ必須)が、コロナ禍による3密回避の風潮でそれも薄れた。
- 酒と同様、若者に限った現象ではなく中高年のたばこ離れも顕著になっている。もっとも、電子タバコに移行しているだけで、たばこの売り上げ減少からうかがえるほどのタバコ離れは起こっていないという見解もある。
若者の野球離れ
- 娯楽の多様化。プロ野球のテレビ中継も視聴率が低下し、共通の話題としての地位を失った。
- 運動部にありがちなハラスメント体質、監督・教師・先輩などの「指導」と称した理不尽な体罰・暴力・暴言、傷害などが事件としてしばしば取り上げられ、ネガティブな印象を与えてしまった。
- ただし野球観戦のほうは離れているとは言い難い。プロ野球は新規客層の取り込みに成功していて、球場の来場者数は昔とそれほど変わっていない。
- 昔の野球中継はほとんど巨人戦ばかりだったため、単純に今と昔を比較するのは難しい。現在は衛星放送を中心にチャンネルが増えたため野球中継の数はむしろ増えている。
- 野球離れと言われていない時代のパ・リーグは観客が数人しかいない試合ばかりであり、巨人偏重だった時代から各球団にファンが分散しただけとも考えられる。特にオリックス・バファローズは若年層の取り込みに大成功している。
- '00年代半ばごろまで子供達(および大きいお友達)のヘイトを稼いでいた野球中継偏重の番組編成も'04年の球界再編問題を機に近年では(一部を除き)大きく改善されており、中継延長の弊害も地デジ化と録画機器の性能向上で大分解消された為、今日の若い世代はかつての若者ほど野球にヘイトを感じなくなっている。これを踏まえると現在では「若者の『野球離れ』離れ」(あるいは上記を踏まえて「若者の巨人離れ」)状態になっているともいえる。
若者のサッカー離れ
- 他の球技と比較して得点の入る頻度がとても低いため「タイパが悪い」と判断されるようになった。
- Jリーグにおいては、新規ファンの獲得がうくまいかずファンの高齢化が進んでいる。多くのクラブやスタジアムが経営で抱えている大きな問題点を批判されることが増えた。詳細はこちらの記事が詳しい。
- 内容からして全ての世代がサッカーから離れてもおかしくないが、サッカーメディアよりネットやSNS等で指摘されることが多いため、それを多く使う若者(及び初老)の離れが特に顕著。
- フーリガンの存在が周知され、無用なトラブル回避のためにスタジアムから足が遠のいた。
- 日本代表戦も放映権料の高騰などであまりテレビで放送されなくなってしまった。
- 有力な選手は早期から海外に進出しそこで実績を上げる為、国内リーグの魅力的な選手が少なくなってしまった。
- ただしJリーグ草創期の人気は「野球の試合時間長大化とそれに伴う中継延長に様々な不利益を被った者達のポジショントーク(野球は冗長な試合で番組編成を乱すがサッカーは延長が少なくて優秀、等)」に支えられていた側面もある、という点も考慮する必要がある。
- 先述の通りプロ野球中継周りの環境が大幅に改善されたため、サッカーを野球の叩き棒にしていた層はその必要が無くなり去っていった。
若者の恋愛・結婚離れ
- 女性の社会進出が進み仕事との両立が難しくなった。日本ではそれをフォローする制度が整っていない事もあり、女性にとって「結婚=キャリアの終わり」というイメージが今でも根強い。
- 女性の地位向上により、相対的に男性に対する目線が厳しくなった。
- 恋愛結婚が一般化した反動で、お見合い結婚や職場結婚といった「社会的なマッチング」が減少し、出会いそのものがないという声が増えた。もっとも、近年はマッチングサイトなどネット上での出会いの場も増えており、その気があれば出会いを探しやすくなっている。
- 個人主義の浸透で、人との深い繋がりに価値を見出さず、「強いて結婚しなくてもよい」「一人で生きている方が自由で楽しい」という考えが広まった。加えてSNSの普及により、一人でも十分幸せな生活ができるコミュニティを作りやすくなった。
- 娯楽の多様化により、恋愛や結婚以外でも充実した時間が過ごせる。
- 男女関係および結婚生活で抱えるストレスやパートナーからのDV・モラハラといった問題が広く知られるようになった事によるマイナスイメージの増大。
- 交際や結婚生活ができるほどの金銭的余裕がなく、したくてもできない。
若者のテレビ離れ
- ネットの台頭で地上波テレビが娯楽の王者から転落した。
- 30分や1時間も番組を見ている時間的余裕がない。ただしネット配信でも長時間番組は存在するためこの指摘が必ずしも正しいとは言い難い。
- 少子高齢化により若者向けの番組よりも高齢者向けのほうが世帯視聴率が高くなってしまう。
- バラエティ番組もマンネリで次第に見なくなってしまう。ただし近年はコア視聴率が重視されるようになり、若者やファミリー層が重視されるようになった。
- ネットの普及でメディア不信が広がり、偏向報道と疑われることが多くなった。ただしネットのニュースサイトなどが既存マスメディアへの不信を煽るのはポジショントークの面が大きく、ネットメディアが従来のメディアより信頼できるわけではない(そもそもネタ元が既存マスコミだったりするし)。
- 視聴率に反映されない録画やネット配信で見ている人も多いため、視聴率の下がり具合からうかがえるほどテレビ離れは起こっていないとの見解もある。テレビ離れも参照。
若者の活字離れ
若者の漫画離れ
若者のテレビアニメ離れ
- お金を持っている中年層を狙った作品が増えた事によるマンネリ化。
- ただし、これも上記の「活字離れ」「漫画離れ」と同じく、主力がネット配信に移行しただけとも考えられる。
若者のロボットアニメ離れ
若者のSF離れ
- 上記ロボットアニメ離れ同様、ハイテク技術からの特別感・非日常感の喪失。
- 冷戦の終結とそれに伴う宇宙開発事業の縮小で、宇宙に興味を抱く機会が失われた。
- SF作品は冷戦時代(場合によっては第二次世界大戦中やそれ以前)の国際情勢が世界観設定の土台になっている事も少なくなく、冷戦終結後に生まれた世代には今ひとつピンと来ない。これらの項目も参照
- 一方でSFを淘汰しているとみられているファンタジーも、90年代~00年代半ばまではSFに押され「冬の時代」とまで言われていた事もあり、単に流行が一周しただけという見方もできる。
- 元々過激化した古参による熾烈な新参潰しが盛んな界隈であり、離れる以前にそもそもコミュニティに加われないor近寄りたがらない。
若者の大学(進学)離れ
若者の博士離れ
若者の理工系離れ
若者の政治離れ
若者の宗教離れ
若者の出世離れ
若者のiPhone離れ
数値のうえでは減っていても必ずしも「若者の○○離れ」が起こっているとは限らない。現在は少子高齢化で昔より若年層の人口が減っているため、売り上げ数や来場者数などだけで比較しても「若者の○○離れ」が起きているかどうかの判断はできない。人口比などにも留意して判断する必要がある。もちろん世代別のデータが存在することも判断するうえで重要となる。
世の中の変化により、従来の調査方法では正しく世相を読むことができなくなっている場合もある。データだけを見ると「若者の○○離れ」が起こっているように見えても、媒体などが変わっただけで若者人気は衰えていない事例もある。
また、若者が離れていったのではなく供給側の事情により衰退していったものも多数存在する。
「若者の○○離れ」というよりも、もともとも一時的にブームになっただけのものや、一周して再び若者人気が再燃する事例もある。
また「◯◯離れ」と言う言葉は、必ずしも今の若者や世界を蔑んだものではない。もちろんそういった意図で使用している者もいるのだが、批判の意図なく使われている場合も非常に多い。
例として、中央酪農会議は『牛乳・乳製品の消費動向に関する調査』概要と言う文章を公開しており、この中に「若者層の牛乳離れがうかがえる」と言う記述がある。
だが、そこに若者の批判的な要素は一切存在せず、「若者相手に消費拡大を図らなくては」と言う内容である。
そもそもこの記事自体、「若者の◯◯離れは金と時間がないからだ」「だから叩かれる筋合いはない」と言う記述になっている。だがそれはつまり、若者が◯◯から離れている事自体は、全く否定していないと言う事でもある。
ネットの◯◯離れ関連の記事には、このような理由を分析するだけで若者を批判している訳でもない記事も大量に存在している。
例として、「若者叩きの典型」として挙げられがちな「若者の結婚離れ」についてgoogleで検索すると、そのトップには、結婚相談所が結婚離れについての分析記事が出てくる(結婚しない若者が増えている理由とは?結婚離れが進む原因を徹底解説)。
だが、この記事にも若者叩きを意図した記述は一切ない。出自の関係上、結婚に肯定的な記述も多いが、それでも「結婚するかどうかは個人の自由」と言う文章で結ばれている。
特に「さとり世代」の用語が登場してからは「◯◯離れ」にある程度の理解を持つことも徐々に多くなり、「まともな使用例」も増えている。特にZ世代に関しては週刊誌等のゴシップメディアはともかく主要メディアは称賛論が大半という謎の急転向の事態になっている。
実際、この離れ現象、悪いことばかりかと言うと、そんなことはない。
上記の項目にもある通り、そもそも酒やタバコは手を出さないに越したことはないし、それらを嗜むにしても精神的・社会的・身体的に支障のない範囲にとどめなければならない。暴走行為に至っては立派な犯罪なので、むしろ積極的に離れてくれた方が良い。
恋愛・結婚・ナンパ離れも「一人で生きるという選択肢を選べるようになった」事の裏返しでもあるのだ。
世の中には「恋愛が嫌い」「他人と一緒に暮らすのに向いていない」という人も一定数いる。彼らにとっては、恋愛や結婚という社会のしがらみに囚われずに生きていける世の中になったことは、間違いなくプラスであろう。
ここまで読んだ方はお気づきであろうが、大抵の原因はカネの若者離れ・時間の若者離れである。
バブル崩壊以降、「日本の賃金水準は上がらない」ものの「税金・保険料・インフラ費用などは上がり続けている」ため、必然的に生活費以外に回せるお金は減り、最悪働けども働けども一向にお金は溜まらない状況に陥ってしまうのである。
「色々とチャレンジする事は人生を豊かにする」という言葉は確かに真実ではあるが、それは十分な資金と体力と時間があってこその話。
消費する余裕が無いのにモノを買えという方が理不尽な話で、「貧すれば鈍する」「衣食足りて礼節を知る」との諺通り、腐敗した政治の元国力が衰退すれば、文化も衰退するのは自明の理ともいえる。
加えてインターネットの発展により、他人と比較しすぎて劣等感が肥大化したり、上述してきたようなこれまで表に出て来なかったネガティブな側面が頻繁に取り上げられるようになったりしたことで、「リスクをとりたくない」という考えが増えたのもチャレンジを躊躇わせる要因になっていると思われる。
何より日本は社会が成熟しており、金がなくてもとりあえず普通に生きていく分には困らない程度のサービスや物が充実している故に、「欲しがらなくても生きていける」という流れになるのも自然なことであろう。
ところで、なぜ歴史の常である若者叩きがことさら取り上げられるようになったのだろうか。それにはバブル崩壊後の事情があり、氷河期世代に対しては「かわいそう」という意見もありつつも自分の財布もキツイため、若者を見捨てる方向に無意識に世論が動いていた。続くゆとり世代になると、もはや全否定に近い扱いがなされていた。
また(海外の経済発展によるものなのだが)日本の学力ランキング順位が悪化し、「日本の若者は駄目で将来は絶望」と散々煽られることとなった。そしてあろうことか、自分たちやその親世代が作った不況の原因を当時の若者に転嫁したのだ。
かつては全共闘、新人類、尾崎豊等を肯定的に評価するような「最近の若者」擁護派も常にいたのだが、この時代には急減していた。
この若者の○○離れと言う言葉について、2023年8月17日に私のバカせまい史と言うバラエティ番組にて、興味深いプレゼンが行われた。
それは、この若者の○○離れが、1970年代より使われ始めた言葉だと言うことである。
このこと自体は、上記にある活字離れの項目からも分かるが、そこからどんどんと若者の○○離れは増えていったという内容である。
ここで重要なのは、この○○離れの中には昨今の著しく目立つ「離れ」の中には、同じものが時代を超えて何度か唱えられているという点と、実際のデータを反映していないものが多いという点と、何よりも技術の発展によって淘汰されたものも含まれているという点である。
具体的には、活字離れは1972年に初めて提唱されて以来、幾度となく提唱され続けている。
しかし、実際には2020年代には図書館の利用者数自体は増加しているというデータが存在している。
その他にも、かつては若者が離れていた麻雀や、ドラマなどは、IT技術の進歩に伴ってスマホでの視聴が可能になったことで、逆に若者の利用者数が増加していることを紹介している。
この他にも、かつて提唱された出汁離れについては、出汁そのものを取らなくなったのではなく、だしのもとを始めとする調味料が発達したことで、昆布や鰹節から出汁を取る人間が減ったと述べている。
そしてこれらの離れ現象を指して、若者が離れているのではなく、全世代が離れているから離れ現象が起きると分析している。