概要
文字通り「飲み+コミュニケーション」を掛けた造語。
殆どの場合、会社や組合など、組織的な付き合いでの飲み会を指し、親しい者同士での自発的な飲み会をこう呼ぶことはまず無い。
昔は会社での忘年会・新年会や歓迎会といった飲み会に出席するのは当たり前という風潮があり、嫌でも強制的に参加させられることが常であった。
しかし、時代と共に意識が変化し、特に若い世代はこういった飲み会を断る人が増えている。
この事は、近年のテレビやネットのニュースで年末になると必ずと言っていいほど話題に挙がる。
理由としては、参加費を自腹で負担する割にデメリットの方が大きいという趣旨のものが殆どである。
- 社外でまで上司・同僚と顔を合わせたくない
- アフター5のプライベートタイムが潰される
- 翌日にお酒を残したくない
- 上司の人生観や武勇伝を一方的に聞かされたくない
- 上司をヨイショするのが嫌
- 絡み酒が鬱陶しい
- 気遣いするのが疲れる
- 遅くまで付き合わされた為に帰宅手段が失われ、タクシーやビジネスホテルなどを利用する羽目になり、更に出費が増える。通勤手段が自転車やバイク、車などの場合、帰宅のために一晩駐車や駐輪して翌朝に普段と違う交通手段となり、その交通費で出費が更にかさむ
- そもそも酒が好きじゃない
など。
一般的にこのような飲み会の参加費の相場は4,000円~6,000円程度であり、若者の貧困が叫ばれる情勢で決して安い金額ではない事も影響している。
最悪、上司や同僚に一時借金し、その事を後のいじりのネタにされたり借りとして逆らいにくくなることもある。
また、忘年会や歓迎会で若手社員に芸を強要するという悪習が残っている会社も(名の知れた大企業も含め)存在しており、このようなケースではもはやコミュニケーションではなくただの見世物であり、対象者には苦痛でしかない。
コミュニケーションという大義名分がある事と、強要する側が酒により浮かれているために問題になりにくいが、これもモラルハラスメントに該当する。
2017年には、テレビ番組『ガイアの夜明け』にて、キリンビールの上司が飲み会で部下に仕事の説教をして泣かせた話が美談として放送され、これが世間の反感を買い炎上した。
当然ながら飲み会は勤務時間外なので「私事」だが、このように仕事の話を持ち込まれ、時には上から目線で訓示や説教を受ける事も多く、心が休まらない場合が多い。
しかし、上司が無能である場合、公私混同によって飲み会での印象が人事考課に直接影響することもあるため、上昇志向が強かったり、人間関係の摩擦を恐れる人は参加せざるを得ないムードも未だ根強い。
このような実情から、特に若者にとっては「飲みニケーション」という言葉は、大抵ネガティブな意味合いで使われている。
2021年11月に日本生命が行った飲みニケーションに関する調査では、「飲みニケーションは不要」という回答が6割に達したとの事である。
背景には若者の意識の変化や、2020年から始まったコロナ禍による外出自粛ムードで飲み会自体が減り、酒に頼らないコミュニケーションを模索するようになった点があげられる。
CMで使われた例
やぐら茶屋 - 「ワイワイドリンキング!やぐら茶屋♪ ウッキウッキトーキング!やぐら茶屋♪」という曲と共に、「Let's 飲みにケーション」というセリフで締めていた懐かCM。このCMを出していた同店は2011年に最後の一店舗が閉鎖している。