概要
主に職場の上司や大学の先輩などによる、飲酒の強要や、酒を飲めない人への配慮に欠ける迷惑行為のこと。また、酔っぱらいによるさまざまな迷惑行為・犯罪行為のこと。和製英語である。
飲みニケーションという言葉もあるように、酒の席というのは交流の場でもある。そのため、地位や階級の違う者同士が集まった場合は、そこに上下関係やパワーバランスの確認、ランク付けという意味も含まれてくる。
さらに特に日本では「目上の人から差し出された酒を断ることは無礼」という風潮があり、下戸や体調不良であっても断れない、という状況が生み出される。パワーハラスメントにも関係する場合がある。
「飲ませる」側も大抵酒が入って判断力や理性が鈍っているため、相手の拒絶や周囲からの制止を聞き入れず、あるいは被害者側が「断りづらい状況にある」ことを察することができず、無理やり飲ませようとすることが多い。
酒を僅かに飲んだだけで倒れるような下戸や、酒を飲みなれない成人したばかりの若者や、酒の席に同伴した未成年にまで飲ませ、急性アルコール中毒に至ってしまうケースも少なからず存在し、最悪の場合死亡してしまったという事件も起こっている。
死に至らずとも、その時のトラウマによって体質的な問題はないのに、お酒が飲めなくなる、飲み会に参加したがらなくなるといった一生消えない心の傷として残る可能性もある。
日本人は特に体質上、アルコールを受け付けない(アルコールの分解能力が低い)体質の人が多いとされる。また、仮に普段ある程度飲み慣れている人でも、急激に大量の飲酒を行えばもちろん危険である。
特に、直接飲ませる役でなくとも、周囲ではやし立てるのも立派なハラスメントになることを忘れてはならない。
無理やり飲まされそうになった時はその場から離れること。そしてもちろんだが、嫌がっている人や未成年に酒を飲ませてはいけない。
また、周囲も嫌がっているのに飲まされそうになっている人を見たら助け舟を出してあげるのが必要である。
どうしても場の空気に逆らえないなら、重大な事故が起きる前に理由をつけて逃げるというのも手である。
アルハラダメ、絶対。
アルハラにあたる行為
特定非営利活動法人アルコール薬物問題全国市民協会では、アルハラにあたる行為について以下のように定義されている。
- 飲酒の強要…上下関係や「伝統だから」「いつもやってることだから」といった理由、罰ゲームなどで圧力をかけて無理やり飲ませること。
- イッキ飲ませ…「コール」などで囃し立て、一気飲みを強要すること。
- 酔いつぶし…大量の酒や度数の強い酒を飲んで誰かが酔い潰れてしまうことを初めから意図して宴席を設ける(ひどい場合は酔わせた後に暴行などを働く目的がある)こと。
- 飲めない人への配慮を欠くこと…体質上酒が飲めない人や車を運転しなければならない人などに対して、ソフトドリンクを注文させなかったり、度を超えてからかったりすること。
- 酔ったうえでの迷惑行為…酔いが回ってから暴言や暴力、セクシャルハラスメントなどを働くこと。また、物を破壊する、道端で意図的に粗相をするなどの犯罪行為のこと。
特に1・2・3はその場での上下関係など優位性を用いて行われることもあるため、パワハラの一種であるという意見もある。
アルハラの法的責任
- 飲酒を強要すれば、強要罪。
- 被害者を酔い潰す行為は、意図的なものでなくとも過失傷害罪または重過失傷害罪。酔い潰す結果を意図していた場合には傷害罪。
- 酔い潰した被害者が死亡した場合、過失致死罪または重過失致死罪。酔い潰すつもりだった場合は傷害致死罪。
- 酔いつぶれた被害者を放置した場合、保護責任者遺棄罪。放置の結果死亡した場合保護責任者遺棄致死罪。
- 周囲ではやし立てた場合、傷害現場助勢罪や傷害罪の共犯。
- 死亡、後遺症などの場合、損害賠償額は数千万円~億円にのぼる。
- 大学や企業などの集まりでアルハラを起こした場合処分は免れない。入院や死亡などの事態になった場合には退学や懲戒免職も視野に入る。
酒は飲めば強くなる?
アルハラをする者の常套句だが、これは正しくない。
アルコールが入ることによって「慣れ」が生じるケースはあるものの、誰にも起こるものでは決してないし、体がアルコールに不向きなこと自体は変えられないため、強くなるからと言う理由で飲ませるのは極めて危険である。
関連タグ
ノンアルコール 無糖 / シュガーレス デカフェ / カフェインレス
※こういうのを好きな人もいると覚えておきましょう。