概要
一つの職場に「定年(概ね60歳)まで」務めること。年功序列とならび日本の正社員(正規職員)雇用の慣行とされ、公務員・大企業社員の既得権益の代表といった扱いを受けることがあるが、あくまでも慣行にすぎず、制度化されたことは一度もない(ただし、正規の公務員が雇用保険の対象にならないのは終身雇用を前提としているためと考えられるが、自衛隊員のように若年定年制を採用している職種でも雇用保険は無い)。
正社員が使用者の一存で解雇できないことが、正社員から非正規雇用への置き換えの理由(口実)とされることがあるが、年功序列と長期雇用慣行が確立していたのは大企業・中堅企業の男性社員だけであり、中小企業や女性社員は寿退社やジョブホッピング(転職を繰り返す事)が当たり前で、もとより終身雇用が確立していたとは言えない。もっとも、従業員の定着率を上げる目的で、いわゆる「努力目標」として終身雇用を口にする中小企業経営者も多くいる。
近年は、公務員はともかく民間企業では形骸化・崩壊が著しくなっている。大企業では関連企業への出向・配転などにより安易な解雇を避ける傾向はまだ残っているが、これを「終身雇用」と呼んでよいものか疑問がある。
終身雇用の慣行はドイツやオーストリアなどでも一般的であったが、日本と同様に崩壊・形骸化が進んでいる。
アメリカ合衆国では終身雇用の慣行はなく、ジョブディスクリプション(職務記述書)で業務内容や責任の範囲を定めて雇用され、職務記述書で決められた職務が無くなると、人手不足の部署があっても配転をせず解雇されるのが一般的(いわゆるジョブ型雇用)。もっとも、アメリカ合衆国でも年齢が高くなるとあまり転職せず、一つの職場に定着する傾向が強いという。
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窓際族...終身雇用が確立していた時代の弊害。