天使の詩
てんしのうた
曖昧回避
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概要
「Ⅰ」と「Ⅱ 堕天使の選択」は、PCエンジンSUPER CD-ROM2用ソフトとして、3作目の「白き翼の祈り」はスーパーファミコン用ソフトとして発売された。
全作品を通じてレベルが上がりやすく、さほどストレス無くゲームを進められる。同時代のRPGとシステム面での差異はほとんど無い(むしろ平凡である)が、特筆すべきは恋愛や友情を絡めたシナリオとイベントの演出、そしてBGMのクオリティの高さ。
Ⅰのキャラクターデザインは、旧ナムコのワルキューレシリーズを手がけた富士宏。Ⅱのキャラデザは、聖剣伝説3やクロノクロスを手がけた結城信輝。
BGMは、ⅠとⅡは、ワイルドアームズシリーズに多くの楽曲を提供したなるけみちこ。白き翼の祈りは、テイルズオブシリーズに参加した桜庭統と田村信二が担当した。
ⅠとⅡのメインスタッフは、後にワイルドアームズシリーズを手がけている。本作(特にⅡ)は後年、彼らが評価を得る理由を察することの出来る、なかなかクセのある内容である(もちろん良い意味で)。何分古い作品なので、時間とお金に余裕がある方にだけお勧めしたい。
天使の詩
ケアルとクレアが結婚の儀式のためにエウリカの花を摘みに行くことから物語が始まる。
物語中盤で主要パーティーメンバーが死亡したり、クレアの正体と使命といい、全体的に悲しい雰囲気のストーリーである。特にエンディングはラスボスを倒したものの、衝撃的な結末で、当時納得できないファンは多かった。
本編のシリアスな展開の反動か、CD-0ROMディスクをオーディオプレイヤーで再生すると聴けるボーナストラック(※ただしトラック2にはゲームデータが収録されているので絶対再生しないように!)には、ドラマ『もしも平和な世界だったら』や、出演声優たちのノリのいいコメントが収録されている。
特にドラマ『もしも平和な世界だったら』では、鬼嫁で暴力的な妻クレア、クレアの尻に敷かれてこき使われているヘタレ亭主ケアル、平和な世で剣士の職を失い飲んだくれているだめ亭主になったジトなど、本編のシリアスなイメージが一転するギャグワールドが描かれている。
登場人物
ケアル
CV:井上和彦
本作主人公。普段は温和だが、クレアをや大切な人のために戦う勇敢さを備えている好青年。クレアとは相思相愛。「天使の詩Ⅱ堕天使の選択」でも登場。
クレア
CV:江森浩子
本作のヒロイン。ケアルの婚約者。正体はある使命をもって地上に降臨した天使。
ジト
CV:田中秀幸
名うての剣士。妻を助けるためにケアル一行に加わる。オーキルの洞窟で非業の死を遂げる。「天使の詩Ⅱ堕天使の選択」では、ジトの剣「クラウ・ソラス」をひ孫のアレフに受け継がれるイベントが起こる(ジト自身の台詞はないが、アレフの脳内に語りかける形で登場)
ブゼン
CV:宮内幸平
高名な老魔術師。コーク王には「性格に難あり」と評されている。
エンヤ
CV:萩森侚子
ケルト民族の少女。「天使の詩Ⅱ堕天使の選択」でも登場するが、すっかり老いさらばえた姿にショックを受けたファンもいたであろうキャラ。
天使の詩Ⅱ堕天使の選択
1作目と主人公や世界が変わっている(後半前作の世界とも関わることになるが)。
冒険に出かけたフェイトとシオンが、封獄の塔で謎の少女リアーナを助けたことがきっかけで、フェイトのリアーナの記憶を取り戻す旅が始まる。
前作と同じく、パーティーメンバーが戦死するなどして退場する展開もあるなど、もの悲しい雰囲気である。さらに宗教を絡めた対立など、泥沼的な展開もある。
前作のエンディングが納得できないという意見もあったためか、今作ではフェイトとリアーナの結婚式でしめられるハッピーエンドになっている。
登場人物
フェイト
CV:矢尾一樹
本作の主人公。自由奔放だが義侠心の強い性格。リアーナとは心を通わせ、やがて相思相愛の仲になる。アーウィンの街が魔物の襲撃を受けて義父を失う。その後はリアーナの記憶を取り戻すための旅に出ることになり、やがて世界の存亡に関わる戦いに巻き込まれることになる。リアーナが地上を滅ぼす使命をもって降臨したことを知っても、リアーナに対する愛は変わらず、フェイトの想いはリアーナに堕天使の選択をさせるにいたった。戦いが終わった後、リアーナと結婚した。
リアーナ
CV:山本百合子
封獄の塔に捕らわれていた記憶喪失の少女。本作のヒロイン。正体は天上人で天使。ラファエルの妹。地上を粛正する使命をもって降臨したが、フェイトたちと行動を共にして、天上界の独善的な考えに疑問を持つ。海神の神殿でラファエルに連れていかれそうになるが、フェイトの『行くな!リア!!』という必死の叫びを聞いて、ラファエルに自分の考え(地上を人間に任せて、自分も人間としてそれを見守っていくこと)を言って、天使としての証(白き翼)を捨てた。副題の『堕天使』とはこのときのリアーナを示していた。戦いが終わった後、フェイトと結婚した。
シオン
CV:中原茂
フェイトの親友。オーザリア領主の息子。「ダーク教」の敬虔な信徒。アーウィンの街を襲撃した魔物を指揮していたのがダーク教だということを聞いて、ダーク教の無実を証明すべく、フェイトたちと決別。その後はダーク教の騎士として、ラハーサ村を異端として襲撃するなど非道な行為を行うが、すべてはラミアムの権力欲により歪められた教えだったと知り、己の行為を悔やむ。序盤にパーティーを抜けてからは別行動だったが、最終戦で現れて、フェイトと和解してパーティーメンバーに復帰。シオンをパーティーメンバーとして戦わせたいなら、彼用の武器を宝箱から調達しておこう。最終戦後、ラミアムの最期のあがきからリアーナを助けようとするフェイトを制して、「地上界を守った英雄を失うわけにはいかないだろう」とフェイトの代わりに捨て身でラミアムに挑み、リアーナを救って死亡。フェイトとリアーナの結婚式では、幻影として登場して、群集の中から二人を祝福するように見守っていた。
ジーア
CV:藤田淑子
砂漠の民ラハーサ族の女性。ラミアムとはかつて婚約者同士だった。ランゾーから好かれていたが、仲が進展したのかは不明。
ランゾー
CV:若本規夫
超一流の盗賊を自称する男性。愛と勇気と正義と友情と真実と自由の男。ほぼ成り行きでフェイト一行に加わるが、なんだかんだで最終戦まで戦いに付き合うなど、すごくいい人。
ファン
謎の旅芸人。正体はレジスタンスのリーダー。魔氷のエクスザーン城の戦いの後、方舟アグネアと共に生死不明になる(死亡したかどうかも不明)
デューイ
CV:梁田清之
コーストの魔導師。古代の闘技場での戦いで開いたデーモンゲートに吸い込まれたことで死んだと思われていたが、別世界でしっかり生き延びていたなど、細身の魔法系キャラの割に意外とアクティブで逞しい人。
ティアラ
CV:萩森侚子
ペンザンス村の少女。気さくな性格で姐さん女房タイプ。
アレフ
CV:伊倉一恵
ロスコモン村の少年。前作に登場したジトのひ孫にあたる。生意気なガキ大将タイプだが、ケアルを『ケアル兄貴』、フェイトを『フェイト兄貴』と呼んで慕う可愛い面もある。ジトの形見である剣「クラウ・ソラス」を装備後に繰り出されるクリティカル攻撃は、パーティーメンバーでも最大の攻撃力を誇る。
ラファエル
CV:梁田清之
交易の街エストで出会う謎の青年。正体は天使でリアーナの兄。天上界では監察官を務める厳格な性格で、人間を「流行り病」と見下している。海神の神殿でリアーナに地上を滅ぼすように言うが、リアーナは天使の証(白き翼)を捨てて『私は人間を信じ、地上を任せておきたいと思うのです。そして私も人間として、それを見守っていきたい』という気持ちを聞いて、『堕天使の選択を認めるとはな…。私も随分と人間に感化されたらしい』と自嘲気味に言いながら、リアーナの選択を認めて、地上界の未来をフェイトたちに任せた。
ラミアム
CV:塩沢兼人
「ダーク教」の最高司祭。ジーアと同じラハーサ族の出身で、ジーアの元許婚。最高司祭になったことで、やがて権力欲にとらわれ、世界征服の野望を抱くようになる。最終戦では自らの体を媒体にサタンを復活させた。フェイトたちに倒されたが、最期のあがきでリアーナを捕らえて彼女の力を吸収しようとしたが、シオンによって阻まれて完全に倒された。
メロウズ
CV:飯塚昭三
ダーク教の剣士。ラミアムの真意を知り、魔剣ルシエドでデーモンゲートを閉ざすようにフェイトに言う。正体はフェイトの父親。序盤、アーウィンの街でフェイトの母の墓前に捧げられていた花束はメロウズによるものと思われる(作中はっきり明かされることはなかったが)
マリウス
CV:矢尾一樹
ダーク教神聖騎士団の騎士。ラミアムによって歪んでいく教団の教えに疑問を抱いていた良識的な人間。それなりの力があり利用価値はあったようで、ラミアムに拉致されて、オーマーの塔でバラヴァと融合させられた醜悪な姿にされるなど悲惨な目にあう。フェイト一行に倒されることでようやく救われた。
アルマ
CV:伊倉一恵
マリウスに付き従う女性。ダーク教の歪んだ教えに従い、人を殺めてしまったことで盲目になった。ラミアムの魔法に貫かれて瀕死の重傷を負う。死の間際、リアーナの声を聞いて、『何も見えないはずの私の目に白い羽が見えるの…。そう、天使みたいな…』とリアーナの正体を思わせる言葉を言い残して亡くなった。
バラヴァ
ダーク教の戦士。典型的な悪役で脳筋のパワータイプ。中ボスクラスの雑魚キャラなのだが、しつこくフェイト一行の前に立ちはだかる。オーマーの塔では、ルキフェル細胞を使い、マリウスと融合した醜悪な姿で立ちはだかる。
四魔将
四魔将とは前作のラスボス・ルキフェルと、サタナキア、アスタロート、サルガタナスの4人のことである。本作ではサタナキア、アスタロート、サルガタナスの3人が登場。ラミアムの体を媒体にサタンを復活させようとする。
エンヤ
CV:萩森侚子
ペンザンス村の長老。前作に登場したエンヤと同一人物。100年という年月で、前作の愛くるしい少女とは完全な別人となり、ショックを受けたファンは多かった。
ケアル
CV:井上和彦
前作の主人公。前作のラストでルキフェル細胞を浴びて不老不死となった。世界に散らばったルキフェル細胞を殲滅することで、死を迎えて愛するクレアの元に行くために旅をしていた。死の間際、アレフにジトの剣を手に入れるように言い残した。
こぼれ話(一部誇張あり)
- 1作目のタイトルを決める際の会議で、当時企画補佐(2でディレクターに昇格)だった金子彰史がスタッフらに「天使の詩でどう?」と提案したところ、「少女マンガのタイトルですか?」「電波っぽくない?」「つか、詩(うた)ってwww」と、芳しくない反応が返ってきたが、リリカルRPGという少女マンガ的要素の入った新機軸のシナリオにこだわった金子氏は、あえて自身の提案を押し通した―――という逸話があったとかなかったとか。
【出典:廃刊となったPCエンジン情報誌の付属小冊子に記されたインタビュー記事より】
- Ⅰの主人公の名前がケアル(某回復魔法と同名)であることは一部で知られている。
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OP
一作目
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