曖昧回避
- 日本テレネットが制作したRPGシリーズ作品。⇒この項目で解説
- Fate/GrandOrderの概念礼装。⇒天使の詩(FGO)
- 郷ひろみの1972年発売の3rdシングル
- 清春の4枚目のDVD
- 1966年のイタリア映画
- 1987年のフランス・西ドイツ合作映画『ベルリン・天使の詩』
概要
日本テレネットが制作したRPGシリーズ作品。
ケルト神話をストーリーの下敷にしたRPGで、キリスト教が布教され始めた時代のエリン(アイルランド)とイギリスが舞台となっている。
「Ⅰ」と「Ⅱ 堕天使の選択」は、PCエンジンSUPER CD-ROM2用ソフトとして、3作目の「白き翼の祈り」はスーパーファミコン用ソフトとして発売された。
全作品を通じてレベルが上がりやすく、さほどストレス無くゲームを進められる。同時代のRPGとシステム面での差異はほとんど無い(むしろ平凡である)が、特筆すべきは恋愛や友情を絡めたシナリオとイベントの演出、そしてBGMのクオリティの高さ。
Ⅰのキャラクターデザインは、旧ナムコのワルキューレシリーズを手がけた富士宏。Ⅱのキャラデザは、聖剣伝説3やクロノクロスを手がけた結城信輝。
BGMは、ⅠとⅡは、ワイルドアームズシリーズに多くの楽曲を提供したなるけみちこ。白き翼の祈りは、テイルズオブシリーズに参加した桜庭統と田村信二が担当した。
ケルト神話の世界観をゲーム化するきっかけとなったアイルランドの歌手エンヤの歌をエンディングに使用することを企画段階では考えていたようだが、天文学的金額になると試算された使用料からその話は断念している。それでも“エンヤ”と云う名前はケルト人を象徴するものとして(歌手本人とは無関係な形で)登場キャラクターに使用されている。
ⅠとⅡのメインスタッフは、後にワイルドアームズシリーズを手がけている。本作(特にⅡ)は後年、彼らが評価を得る理由を察することの出来る、なかなかクセのある内容である(もちろん良い意味で)。何分古い作品なので、時間とお金に余裕がある方にだけお勧めしたい。
日本テレネット復刻プロジェクト『テレネットリバイバル』の新プロジェクトとして富士氏が描いたと思われるイラストを使った本作と思われるティザーサイトが公開。
クラウドファンディングサイトMakuakeにてNintendoSwitchでの復刻プロジェクトが発表され、無事目標金額に達している。
天使の詩
ケアルとクレアが結婚の儀式のためにエウリカの花を摘みに行くことから物語が始まる。
物語中盤で主要パーティーメンバーが死亡したり、クレアの正体と使命といい、全体的に悲しい雰囲気のストーリーである。特にエンディングはラスボスを倒したものの、衝撃的な結末で、当時納得できないファンは多かった。
本編のシリアスな展開の反動か、裏技を使用、もしくはCD-ROMディスクをオーディオプレイヤーで再生すると聴けるボーナストラック(※ただしトラック2にはゲームデータが収録されているので絶対再生しないように!)には、ドラマ『もしも平和な世界だったら』や、出演声優たちのノリのいいコメントが収録されている。
特にドラマ『もしも平和な世界だったら』では、鬼嫁で暴力的な妻クレア、クレアの尻に敷かれてこき使われているヘタレ亭主ケアル、平和な世で剣士の職を失い飲んだくれているだめ亭主になったジトなど、本編のシリアスなイメージが一転するギャグワールドが描かれている。
ドラマ『もしも平和な世界だったら』をゲームで見たい場合は、エンディングの最後の文字が出ている画面にて『Ⅱボタンを62回以上押してからⅠボタンを押す』と聴ける。
登場人物
ケアル
CV:井上和彦
本作主人公。普段は温和だが、クレアをや大切な人のために戦う勇敢さを備えている好青年。クレアとは相思相愛。「天使の詩Ⅱ堕天使の選択」でも登場。さらわれたクレアを助けに旅に出る。勇敢で温和な性格で、クレアが心底惚れたのも納得の好青年。しかし、おまけのドラマ『もしも平和な世界だったら』では鬼嫁クレアの尻に敷かれてかなり悲惨な境遇にいる。
クレア
CV:江森浩子
本作のヒロイン。ケアルの婚約者。結婚式の日に魔物にさらわれてしまう。
正体はある使命をもって地上に降臨した天使。エンディングでルシフェルを自らの命と引き換えに倒し死亡。その魂は天上界に帰っていった。幸せ絶頂の結婚式からゲームスタートしたのに、エンディングで死別という衝撃的な結末はファンの多くをショックに陥れた。「天使の詩Ⅱ堕天使の選択」では台詞はないが、ビジュアルシーンで登場。ようやく死を迎えたケアルの魂を優しく受け入れていた。
ジト
CV:田中秀幸
名うての剣士。妻を助けるためにケアル一行に加わる。オーキルの洞窟で非業の死を遂げる。
「天使の詩Ⅱ堕天使の選択」では、ジトの剣『クラウ・ソラス』をひ孫のアレフに受け継がれるイベントが起こる(ジト自身の台詞はないが、アレフの脳内に語りかける形で登場)。
ブゼン
CV:宮内幸平
高名なドルイドの老魔術師。コーク王には「性格に難あり」と評されている。
エンヤ
CV:萩森侚子
ケルト民族の少女。『天使の詩Ⅱ堕天使の選択』でも登場するが、すっかり老いさらばえた姿にショックを受けたファンもいたであろうキャラ。
サラ
ジトの妻。
マリア
CV:高島雅羅
天上界の主でクレアの母親。
天使の詩Ⅱ堕天使の選択
1作目と主人公や世界が変わっている(後半、前作の世界とも関わることになるが)。
冒険に出かけたフェイトとシオンが、封獄の塔で謎の少女リアーナを助けたことがきっかけで、フェイトのリアーナの記憶を取り戻す旅が始まる。
前作と同じく、パーティーメンバーが戦死するなどして退場する展開もあるなど、もの悲しい雰囲気である。さらに宗教を絡めた対立など泥沼的な展開もあり、それぞれの正義のぶつかり合いが最も多く争いを起こしている…という演出がなされている。
前作のエンディングが納得できないという意見もあったためか、今作ではフェイトとリアーナの結婚式でしめられるハッピーエンドになっている。
登場人物
フェイト
CV:矢尾一樹
本作の主人公。自由奔放だが義侠心の強い性格。リアーナとは心を通わせ、やがて相思相愛の仲になる。アーウィンの街が魔物の襲撃を受けて義父を失う。その後はリアーナの記憶を取り戻すための旅に出ることになり、やがて世界の存亡に関わる戦いに巻き込まれることになる。リアーナが地上を滅ぼす使命をもって降臨したことを知っても、リアーナに対する愛は変わらず、フェイトの想いはリアーナに堕天使の選択をさせるにいたった。戦いが終わった後、リアーナと結婚した。
リアーナ
CV:山本百合子
封獄の塔に捕らわれていた記憶喪失の少女。本作のヒロイン。正体は天上人で天使。ラファエルの妹。地上界を守るために人間を粛正する使命をもって降臨したが、フェイトたちと行動を共にして、天上界の独善的な考えに疑問を持つ。海神の神殿でラファエルに連れていかれそうになるが、フェイトの『行くな!リア!!』という必死の叫びを聞いて、ラファエルに自分の考え(地上を人間に任せて、自分も人間としてそれを見守っていくこと)を言って、天使としての証(白き翼)を捨てた。副題の『堕天使の選択』とはこのときのリアーナを示していた。戦いが終わった後、フェイトと結婚した。
シオン
CV:中原茂
フェイトの親友。オーザリア領主の息子。ダーク教の敬虔な信徒。アーウィンの街を襲撃した魔物を指揮していたのがダーク教だということを聞いて、ダーク教の無実を証明すべく、フェイトたちと決別。その後はダーク教神聖騎士団の騎士として、ラハーサ村を異端として襲撃するなど非道な行為を行うが、すべてはラミアムの権力欲により歪められた教えだったと知り、己の行為を悔やむ。序盤にパーティーを抜けてからは別行動だったが、最終戦で現れて、フェイトと和解してパーティーメンバーに復帰。シオンをパーティーメンバーとして戦わせたいなら、彼用の最強武器を宝箱から調達しておこう(加入した時点ですでに武器を装備しているので一緒に戦わせることは可能)。最終戦後、ラミアムの最期のあがきからリアーナを助けようとするフェイトを制して、「地上界を守った英雄を失うわけにはいかないだろう」とフェイトの代わりに捨て身でラミアムに挑み、リアーナを救って死亡。フェイトとリアーナの結婚式では、幻影として登場して、群集の中から二人を祝福するように見守っていた。
ジーア
CV:藤田淑子
砂漠の民ラハーサ族の女性。とても生真面目な性格。普段は冷静沈着だが、自分の故郷であるラハーサ村がシオン率いるダーク教神聖騎士団に襲撃されたときは激昂して怒りをあらわにして、ランゾーに落ち着けと押さえつけられる一幕もあった。ラミアムとはかつて婚約者同士だったが、ゲーム中ラミアムとのそういった絡みはまったくなかった。ランゾーから好かれていたが、仲が進展したのかは不明。
ランゾー
CV:若本規夫
超一流の盗賊を自称する男性。愛と勇気と正義と友情と真実と自由の男。いいかげんな性格に見えるが、いざというときは頼りになる兄貴的存在。ほぼ成り行きでフェイト一行に加わるが、なんだかんだで最終戦まで戦いに付き合うなど、すごくいい人。
ファン
謎の旅芸人。正体はレジスタンスのリーダー。魔氷のエクスザーン城の戦いの後、方舟アグネアを四苦八苦しながらも操舵してフェイトたちを地上に送り届けた後、方舟アグネアと共に生死不明になる(死亡したかどうかも不明)。
デューイ
CV:梁田清之
コーストの魔導師。古代の闘技場での戦いで開いたデーモンゲートに吸い込まれたことで死んだと思われていたが、別世界でしっかり生き延びていたなど、細身の魔法系キャラの割に意外とアクティブで逞しい。
ティアラ
CV:萩森侚子
ペンザンス村の少女。気さくな性格で姐さん女房タイプ。年齢の近いアレフにお姉さんみたいに接する。戦闘では弓使いとして参戦する。
アレフ
CV:伊倉一恵
ロスコモン村の少年。前作に登場したジトのひ孫にあたる。生意気なガキ大将タイプだが、ケアルを『ケアル兄貴』、フェイトを『フェイト兄貴』と呼んで慕う可愛い面もある。戦闘では剣士として参戦。ジトの形見である剣「クラウ・ソラス」を装備後に繰り出されるアレフのクリティカル攻撃は、パーティーメンバーでも最大の攻撃力を誇り、相手に多大なダメージを与える。
ラファエル
CV:梁田清之
交易の街エストで出会う謎の青年。正体は天使でリアーナの兄。天上界では監察官を務める厳格な性格で、フェイトたちと関わったリアーナが人間を粛正するのをためらうようになったのを見て、リアーナが使命をないがしろにするようになったと嘆く。そのため人間を「そばにいる者から毒していく流行り病」と見下している。
やがて使命を果たそうとしないリアーナに業を煮やしたのか、姿を現したラファエルはリアーナに人間を魔族もろとも地上から消去するように言うが、リアーナはラファエルを振り切ってフェイトの元に戻る。天使の証(白き翼)を捨てて『私は人間を信じ、地上を任せておきたいと思うのです。そして私も人間として、それを見守っていきたい』と言うリアーナの答えを聞いて、『堕天使の選択を認めるとはな…。私も随分と人間に感化されたらしい』と自嘲気味に言いながら、リアーナの選択を認めて、地上界の未来をフェイトたちに任せた。
ラミアム
CV:塩沢兼人
ダーク教の最高司祭。ジーアと同じラハーサ族の出身で、ジーアの元許婚。最高司祭になったことで、やがて権力欲にとらわれ、世界征服の野望を抱くようになる。シオンにラハーサ村を襲撃させたり、アルマを殺害したり、マリウスを拉致してバラヴァと融合させて魔物に変えたり、数々の非道な行いをする。最終戦では自らの体を媒体にサタンを復活させた。フェイトたちに倒されたが、最後のあがきでリアーナを捕らえて彼女の力を吸収しようとしたが、シオンに阻まれて完全に倒された。
メロウズ
CV:飯塚昭三
ダーク教の剣士。古代の闘技場での戦いでラミアムの真意を知り、開かれたデーモンゲートを魔剣ルシエドで閉ざすようにフェイトに言う。正体はフェイトの父親。序盤、アーウィンの街でフェイトの母の墓前に捧げられていた花束はメロウズによるものと思われる(作中はっきり明かされることはなかったが)。
マリウス
CV:矢尾一樹
ダーク教神聖騎士団の騎士。ラミアムによって歪んでいく教団の教えに疑問を抱いていた良識的な人間。それなりの力があり利用価値はあったようで、ラミアムに拉致されてしまい、オーマーの塔の戦いでは、バラヴァと融合させられた醜悪な魔物にされるなど悲惨な目にあう。フェイト一行に倒されることでようやく救われて、自分たちダーク教神聖騎士団の願いである平和な世界を実現してほしいと言い残して亡くなった。
アルマ
CV:伊倉一恵
マリウスに付き従う女性。ダーク教の歪んだ教えに従い、人を殺めてしまったことで盲目になった。ラミアムの魔法に貫かれて瀕死の重傷を負う。死の間際、リアーナの声を聞いて、『何も見えないはずの私の目に白い羽が見えるの…。そう、天使みたいな…』とリアーナの正体を思わせる言葉を言い残して亡くなった。
バラヴァ
ダーク教の戦士。典型的な悪役で脳筋のパワータイプ。中ボスクラスの雑魚キャラなのだが、しつこくフェイト一行の前に現れて戦いを挑んでくる。オーマーの塔での戦いでは、ルキフェル細胞を使い、マリウスと融合した醜悪な姿で立ちはだかる。
四魔将
四魔将とは前作のラスボス・ルキフェルと、サタナキア、アスタロート、サルガタナスの4人のことである。本作ではサタナキア、アスタロート、サルガタナスの3人が登場。ラミアムの体を媒体にサタンを復活させようとする。
エンヤ
CV:萩森侚子
ペンザンス村の長老。前作に登場したエンヤと同一人物。100年という年月で、前作の愛くるしい少女とは完全な別人となり、ショックを受けたファンは多かった。
ケアル
CV:井上和彦
前作の主人公。前作のラストでルキフェル細胞を浴びて不老不死となった。世界に散らばったルキフェル細胞を殲滅することで、死を迎えて愛するクレアの元に行くために旅をしていた。オーマーの塔での戦いで、ルキフェル細胞を殲滅したことでようやく死を迎えることができた。死の間際、アレフにジトの剣を手に入れるように言い残した。
こぼれ話(一部誇張あり)
1作目のタイトルを決める際の会議で、当時企画補佐(2でディレクターに昇格)だった金子彰史がスタッフらに「天使の詩でどう?」と提案したところ、「少女マンガのタイトルですか?」「電波っぽくない?」「つか、詩(うた)ってwww」と、芳しくない反応が返ってきたが、リリカルRPGという少女マンガ的要素の入った新機軸のシナリオにこだわった金子氏は、あえて自身の提案を押し通した―――という逸話があったとかなかったとか。
【出典:廃刊となったPCエンジン情報誌の付属小冊子に記されたインタビュー記事より】
Ⅰの主人公の名前がケアル(某回復魔法と同名)であることは一部で知られている。
Ⅱでは、後に別作品にて名を知られることとなるカ・ディンギル(封獄の塔)が登場する。
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外部リンク
両方ともプロジェクトEGGのレトロゲーム配信ページ
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