タイムスリップ
たいむすりっぷ
概要
大半は移動者の意図しない現象で、意図的に時間移動する場合は別の言葉が使われる場合が多い。
辞書には和製英語とあるが英語圏にも用例がある。ただ、特に日本で多用されているのは確か。
古い建物が残る町並みを見て「タイムスリップしたようだ」と言うような比喩にも使われる。
別名・表記ゆれ(タイムトラベルとの比較)
あえて分けるならばタイムマシンを使った時間移動が「タイムトラベル(タイムトリップ)」で、「タイムスリップ」や「タイムリープ」は、方法はともかく瞬時に時間を移動する事とされる。
「タイムトラベル」という言葉はH.G.ウェルズの小説『タイムマシン』から広く知られた。そこを基準にすれば移動方法がタイムマシンなどの装置であってこそとも言える。
タイムマシンに乗るような人はたいてい意図して時間移動に挑むものだが、作品によっては何もしていないのに、あるいは「事故で頭を打った衝撃で」などの不思議な理由をもって、一瞬で時間を越えてしまう人もいる。こちらのパターンが「タイムスリップ」と言える。
ただ実際はマシンによる移動をタイムスリップと呼ぶことも多いし、その逆も珍しくない。
言葉の定着はタイムトラベルのほうが早く、日本の『広辞苑』にも先に収録された(タイムスリップの収録は第5版になってから)。にも関わらず、なぜか日本ではタイムスリップのほうがありふれた言い方になった。(2019年9月時点のGoogle検索結果は、「タイムトラベル」が279万件に対して「タイムスリップ」は932万件で勝る。なお英語は、"time travel"→4460万件、"time trip"→170万件、"time slip"→133万件と逆転する。)
それゆえか両者は同一視されていて、ほぼ区別なく使われる。pixivのタグの傾向も大きな違いはない。
先行作品の用例
題名に「タイムスリップ」という言葉が使われた古典作品は、イギリスのケン・ヒューズ監督による1955年の映画『タイムスリップ (Time slip)』(→参考記事)、1964年のフィリップ・K・ディックによる小説『火星のタイム・スリップ(原題:Martian Time-Slip)』などがある。
これらの物語には、時間の感覚が周囲と異なる人物がいて、同時に存在するがずれた時間を生きているという意味も含んでいたようだ。
1967年の小説『タイム・トンネル2 : タイムスリップ!』(マレイ・ラインスター著)は、TVドラマ『タイムトンネル』のノベライズ。未完成の機械のタイムトンネルを使って思わぬ時代に着く。
1968年にはJ.レスリー・ミッチェルの小説『THREE GO BACK』(1932年刊)が、日本で『3万年のタイム・スリップ』と邦題をつけられて翻訳出版された。
1970年代の日本では、国ごと過去へ行く『タイムスリップ大戦争』や、集団で過去へタイムスリップしてしまう『戦国自衛隊』などが発表された。
1980年開始の漫画『Dr.スランプ』には従来のタイムトラベルと同じ意味で使われていて、タイムマシンのタイム君がタイムスリッパーという肩書きで登場した。
1990年代にはもう一般的な言葉になっていたようだ。