原付
げんつき
概要
正しい名称は「原動機付自転車」。
排気量50cc以下のエンジンを搭載する「第一種原動機付自転車」(略称は原付一種)と、51cc以上125cc以下のエンジンを搭載する「第二種原動機付自転車」(同、原付二種)があり、必要な免許や法定速度などが違う。
- 原付一種:原付及び小型特殊免許を除く全ての免許で乗車可。法定速度30km/h。二人乗り不可。ナンバープレートの色は白。
- 原付二種:小型・普通・大型のいずれかの二輪免許(AT限定条件が付される者はクラッチレバーを有さない車種に限られる)で乗車可。法定速度60km/h。二人乗り可能。ナンバープレートの色は51cc以上90cc以下は黄、91cc以上125cc以下はピンク。法律上は小型自動二輪とも定義される。
原付一種・二種共に高速道路と自動車専用道路の走行は禁止されているが、必ずしも『有料道路=自動車専用道路』とは限らないため通行時には注意が必要である。
尚、一般的に「原付」という場合は原付一種を指す。
原付二種は先述の通り自動二輪の仲間でもあるため、小型二輪や原二と略称される。
日本では本田宗一郎(ホンダの創業者)が自転車にエンジンを付けたのが始まりで、「原動機付自転車」という名称はこれに由来する。
原付免許
原付免許試験は小型特殊免許と並ぶ数少ない「実技不要で学科試験のみで即日発行可能な免許」である(但し、住民票などの書類や保険証などの別の身分証は必要であり試験は平日しかやっていない)。
身体条件「視力が両眼で0.5以上であること。一眼が見えない方については、他眼の視野が左右150度以上で、視力が0.5以上であること。」を満たせば16歳以上で取れるために、中卒や高校中退で自活を余儀なくされた人や若くして身寄りのない人には最も取りやすい身分証明書の一つである。
マイナンバーカードが発行に時間がかかること、学科試験の模擬問題がネットでたやすく入手可能なことから現状でも「一番早く取れる身分証明」の座は揺らいでいない。
このため原付に乗る予定がない人でも取得する人はいる。
参照togetter:入場時に身分証確認があるライブに行きたい一心で原付免許を取得した体験談「推しのライブ1週間前に身分証の有効期限が切れていることが発覚して原付の免許をとった話」
近況
原付は車体価格の安さや免許制度の敷居の低さにより、自動車に並ぶ移動手段として昔から重宝されてきた。
1980年代のHY戦争やバイクブーム時代は、スクーターを中心に各社が多数のラインナップを展開し、中には趣味性の高いMTのスポーツバイクも生まれた。
しかし、年々厳しくなる排ガス規制により脱落する車種が相次ぎ、生き残った車種も規制対応の為にコストを割き、車体価格の上昇を起こした。
2008年には、かつて原付の主力だった2ストロークエンジンが消滅。
2017年には、ホンダのモンキーとエイプが生産終了し、MTのモデルが消滅した。
更に2018年には、ヤマハがホンダと原付一種のOEM契約を結び、ギア以外の自社生産を終了。
現在では、原付一種市場はかつての繁栄が嘘のように衰退している。
宣伝活動も消極的で、テレビCMも放送しなくなった。
反対に、原付二種は30km/h規制が不要な事や、免許が見直され最短2日で取得できるようになったことから人気が上昇。
スクーターからMTのスポーツバイクまで未だにラインナップが幅広い事もあり、原付の新たな主戦場となりつつある。
先述のモンキーもモンキー125として原付二種で生き残る道を選んだ。