ソドー島
そどーとう
ソドー島とは、「汽車のえほん」及び「きかんしゃトーマス」の舞台となる架空の島。
アイリッシュ海に浮んでおり、マン島とブリテン島のカンブリア州バロー・イン・ファーネスの間にあるとされている。ナガスクジラ科のヒゲクジラも周辺に生息している。
トーマスたちはそこで暮らし、さまざまなトラブルが多いが、作中死人が出るような事態だけは避けられているため死者を伴う事故は全く出ていない。
概要
「きかんしゃトーマス」並びに「汽車のえほん」の原作者であり、生みの親のウィルバート・オードリー牧師には、たくさんの読者から「トーマスたちはどこで暮らしていますか?」や、路線図と島の設定の矛盾についてなどの手紙がたくさん届いていた。そのため、オードリー牧師は、島の設定や路線図、矛盾の解消手段を考えていた。
この時オードリー牧師は、仕事でマン島に赴任していた。この島にあるイングランド国教会の「ソドー&マン教区」(→Wikipedia英語版「Diocese of Sodor and Man」)に、「マン島には土地があるが、ソドーには土地が存在しない」と着目し、マン島とブリテン島の間のアイリッシュ海を埋め、トーマスたち蒸気機関車の天国「ソドー島」が誕生した。
※ちなみに「ソドー」とは、スコットランド北方から西方の島々とマン島を領有していた島嶼部王国(→Wikipedia英語版「Kingdom of the Isles」)の南部(ヘブリディーズ諸島とマン島)の事だったが、島嶼部王国の解体から長い年月を経て、マン島の別名扱いされるようになっていた。
設定本の出版
1955年、オードリー牧師は最初の体系的な設定をそれを具体化し、地図を作成した。
その後、弟のジョージの手助けにより島の設定はさらに増え続け、歴史・地理学・言語・産業・地質学などを加え、1987年9月「THE ISLAND OF SODOR(ソドー島)」が出版された。
しかし、この本は残念ながらかなり入手が困難である。
簡易路線図
鉄道会社
作品の主な舞台となる標準軌鉄道でそれまであった3つの私鉄が合併し1914年に成立したとされる。通称ソドー鉄道。正式な名称は作中ではほとんどこの名前は登場せず、2015年に制作されたテレビシリーズ特別篇「トーマスのはじめて物語」でようやくこの名前が登場する。
島の中央部やや西寄りにある狭軌鉄道で、1865年に開通し、1965年刊行の原作第20巻では開業100周年記念行事が開催された。ウェールズに実在する鉄道『タリスリン鉄道』がモデルで、所属する機関車もこの鉄道の機関車たちがほぼそのままモデルになっている。
島の北部にあるソドー島の最高峰『カルディー・フェル』に登る登山鉄道で、急な坂を上るため車輪の間に歯車を、線路と線路の間に歯車を噛みこませる歯型のレールを設置するラック式鉄道という形態をとっている。当初は5台の機関車が居たが何らかの理由で1号機関車が除名となったのち、3台が増備され現在は7台の機関車が在籍している。こちらも実在するスノードン登山鉄道がモデル。
過去に廃止になったミッド・ソドー鉄道の跡地を利用し線路に敷く砂利(バラスト)を運ぶために建設された極小サイズの鉄道。こちらも実在するレーブングラス・アンド・エスクデール鉄道をモデルにしている。
地理
イギリス本土とは、若き頃のトップハム・ハット卿が設計し、1915年に完成したシェルツァー式可動橋と呼ばれる橋と1977年に完成した道路鉄道併用橋で結ばれている。
主要な町・名所
本線
ティドマス
原作における島の中心となる町だが、TVシリーズではナップフォードに役目が移っている。
いつも機関車たちが暮らす機関庫がここにあるのはその名残。ティッドマスと表記されることもある。
本線と小西部鉄道の始発駅。
名前は近隣を流れるティド川の河口にある事から。
ロワー・ティドマス
TVシリーズにのみ登場する駅。(原作にもそれらしき駅は登場するが駅名は不詳で、ロワー・ティドマスと同一かも不明。)
第6シーズンでは美しい駅コンテストで入賞した。
ナップフォード
TV版「きかんしゃトーマス」シリーズにおいて島の中心となる町。
ここでは、劇中によく出てくる大型駅「ナップフォード駅(90年代ごろはナップフォード・ステーションと呼ばれていた)」と、操車場がある。
原作では本線からトーマスの支線への接続駅となる小さな駅だが、TV版ではこのあたりの設定がエルスブリッジ駅に移っている。
尚、本線の機関車が牽く列車は、タンク機関車が毎日入れ替え作業と準備を整えており、時間きっかりに出発ができる。
また、この担当はトーマス(TV版の設定 原作ではヴィカーズタウンに勤務)だったが、とある事故で大活躍をし、支線を走る機関車となっており、パーシーに担当が変わった。が、彼にはきついということで、ダックが受け持つことになる。後にダックもアールズバーグへの支線を受け持つことになるが、それ以降誰が入れ替えをしているのかは不明。(CG版では箱型ディーゼル機関車のフィリップが配属されている。)
元は沼地ばかりの地帯だったが、鉛鉱山からの採掘、搬出の足掛かりとしてA,W,ドライ社という会社によって干拓されたのがこの地の始まり。
クロスビー
海沿いの小さな町。
名前の由来は「十字架の下の農園」で、11世紀ごろに宣教師によって説法のための十字架が築かれたことから。
ウェルスワース
島の南岸、半島部の付け根に位置する海辺の町。
この駅から先に急勾配区間(ゴードンの丘)があり、そのためこの駅の操車場に勤務する機関車(主にエドワード)が後押し役を務める事が多く、「エドワードの駅」という別名がある。
地名は「井戸の底」を意味し、7世紀ごろの宣教師「聖ティバ(実在)」がこの地に井戸を掘ることで多くの民を救った逸話から採られたもの。そのためこの地は療養に適した澄んだ空気も相まって島の医療の中心地であり、島最大の病院「ウェルスワース病院(聖ティバ病院の別名がある)」にも名を遺す。
ここから少し先のサドリー分岐点からブレンダム線に分岐する。
マロン
ゴードンの丘をウェルスワースと反対側に降りた土地。丘で止まり損ねた列車が幾度か暴走して突っ込んでくることもある。
名前は「聖ローナンへ捧げる地」を意味する。
クロンク
元々「クロンク=ニー=ブラーイド(谷間の丘)」と呼ばれる土地で、その地形に目を付けたジグムンド王が拠点としていた。
キルディーン
ピール・ゴッドレッド線への分岐駅。
村の近くの高原に「悪魔の教会」と呼ばれるストーンサークルがあるためこの名がついた。
バラドライン
ケラビー
バラドライン、及びケラビーの2つはTVシリーズに登場。情報が少なく詳細不明。
ケルスソープ・ロード
ケルスソープ町の最寄り駅ではあるが、町の中心から2,5マイル(約40キロ)も離れた位置に建設されている。
ここからカーク・ローナン線に分岐する。
クロヴァンズ・ゲート
島を縦断する山脈の唯一途切れる狭い土地。
スカーローイ鉄道の始発駅で、利用者はこの駅で列車を乗り換える。
1915年に機関車の整備工場(CG版ではソドー整備工場)が建築された。
かつてゴッドレッド・クロヴァン王が侵略してきたノルマン人(ヴァイキング)の軍勢をこの狭い地形に閉ざし勝利したのが「クロヴァン王の門」というこの地名の由来。
町のモットーは「ようこそ友よ、敵に備えよ。」
ヴィカーズタウン
島の東海岸に位置しており、ソドー島と英国本土を結ぶ本土連絡橋がある。
この町から本線が終点のティドマスまで通じており、ゴードン等の大型機関車たちがよく走っている。TVシリーズではこの付近にディーゼル機関車のための工場『ディーゼル整備工場』が存在する。
名前はそのまま「牧師の町」という意味。
ファークァー線(トーマスの支線)
ドライオー
ファークァー線の小さな駅。
近傍(TV版では駅の真裏)に飛行場があるが、CG版では滑走路がなくなっていた。
少し離れた場所(トリレックから分岐した別線)に貨物専用のドライオー貨物駅があるのだが、貨物駅の方が村の中心に近く、立地上の利便性が上なのだとか。
ナップフォードの干拓をウルフステッド鉱業会社に依頼されたA,W,ドライ社の労働者が居住したことからこの名がついた。(A,W,ドライ=A,W,Dry→Dry,A,W→Dryaw)
TV版ではドリョーと発音されたこともある。
ナップフォード港
トリレックからの分岐線をドライオー貨物駅経由で向かう小さな港と付属駅。
元々は小さな埠頭があり、この埠頭の拡張工事は昔から何度も立ち上がってはコストの問題で立ち消えになっていたのだが、ティドマス港の港湾機能の一部を移転する必要に迫られたことでようやく本格的に着手できたという経緯がある。
トリレック
低地のため近傍のエルス河が氾濫を起こすことになるとよく影響を受けていたが、鉱山開拓に際しA,W,ドライ社によって対策され、小さな町となった。その後鉛鉱山からの産出量が減少するが1960年代にウラン鉱石が産出することが判明した。
エルスブリッジ
ファークァー線の乗換駅だが、TV版では原作のナップフォードの設定を一部統合し本線から分岐したループ線と接続している。
旧ティドマス・ナップフォード&エルスブリッジ鉄道時代は終点であったが、ファークァーから産出する良質の石材と採石場からの資金援助によってエルスブリッジ鉄道橋及びハッケンベックトンネルが開通し採石場のあるファークァーまで路線が延伸された。
地名の由来となったエルス川に架かる橋は現在の道路橋である。
メイスウェイト
TVシリーズにのみ登場する駅で、第5シーズンにて美しい駅コンテストで入賞したこともある。
アールズデール鉄道には語感のよく似た「マースワイト」という場所があり、混同されることもある。
一時期は本線の駅として描かれていたが、その後ファークァー線の駅として設定し直された。
ハッケンベック
小さな村の駅。駅自体の出番は少ないが、付近のトンネルや橋にかかわるエピソードは多い。
ファークァー
ファークァー線の終点だが、線路自体はこの先の採石場へと伸びている。
大昔にはここに監視所があったが現在跡地には殆ど名残もない。
アールズデール・エンド
TVシリーズでトビーが働いていた古い路線の終着駅。
現在はソドー鉄道の一部となっている設定。
ブレンダム線(エドワードの支線)
ブレンダム
ブレンダム線の終着駅で、大きな港があり、TV版では本線の急行(原作では支線向けの別列車が用意されている)も乗り入れている。
近傍にはマーガレット・クランスタールという人物が設立した女学校があり、クロンク・アビーの男子学校に通えない女学生を受け持っている。