プロフィール
概要
本作の裏主人公。
私立秀知院学園高等部1年B組で生徒会の会計。
人物
零細玩具メーカーの次男。データ処理のエキスパートで、不登校児だったところを白銀に引っ張り出された縁で生徒会会計にスカウトされる。会計作業だけでなく、資料やパワポの効果的な演出も得意である。白銀いわく、彼一人抜けただけで生徒会は破綻するらしく、四人(後に五人)しかいない生徒会を実務面で支える縁の下の力持ち。
最初期はほとんどの仕事を持ち帰りでこなしていたため生徒会室にもほぼおらず、存在自体は8話から示唆されていたものの初登場は3巻24話である(しかも登場早々かぐやが怖くて生徒会をやめようとしていたが、かぐやが怖くてやめられなかった)。
先述の様に実務能力こそ高い反面、興味のある分野以外への学習意欲が低く、かぐやが見かねて面倒を見だすまでは赤点の常連で留年手前であった。それでも生徒会随一の観察眼や、咄嗟の機転が利くなど部分的には白銀やかぐやにも劣らないポテンシャルがある。所かまわずゲームをし始める(校則違反)ので、伊井野を始めとする風紀委員からはかなり目をつけられている。このように不真面目ではあるが、理不尽を嫌う正義感の強い男であり、伊井野がイジメに近い弄り方をされていた時は陰ながらフォローしたりしていた。また、この性格が災いして中学時代にある事件を引き起こしており(過去参照)、そのせいで同学年の女子のほとんどにひどく嫌われている。
中学の時は体育会系の部活に属していて、足はかなり速いが筋力は平均男子以下しかなく、腕相撲ではかぐやにぼろ負けしていた。体育祭ではこれまでの後ろ向きな自分を変えようと応援団に立候補し、最初はウェイ系のノリについていけず苦しむものの最終的には打ち解け、特に風野団長、子安つばめ副団長、クラスメイトの小野寺とは体育祭後も良好な関係を築いている。
ラブコメをめっちゃ読んでいるおかげかで女心は割とわかる方で、柏木の彼氏から頼りにされている。ただ恋愛経験は皆無なので自らの恋愛に関してはかなりこじらせており、(本人曰く)成功率の高い告白のアイデアを披露したときはかぐやに気色が悪いとバッサリ言われた。体育祭以降つばめ先輩に想いを寄せており、文化祭で無自覚に公開告白をしてしまう。
性格
根暗で陰キャ。部活やカップルといった青春っぽいことへのコンプレックスが強く、ヘイトを語りだすと長い。また、2次元への造詣も深いオタク。
普段が消極的な反動なのか、一度語りだしたりするとブレーキが効かなくなるなど、やや融通の効かない不器用な性質。
不器用さが災いして、人の地雷を見抜いてはよく踏み抜く。観察力は生徒会随一なのだが、それ故に"見えすぎて"いるため、そもそも地雷と気づけないことも多い。(かぐやを苦手としていたのも、彼の性分が全力で悪い方向に作用してしまったために彼女の怒りを買ってしまい殺されかけたのが大きい)
その他、褒めたつもりが言い方のせいで気持ち悪がられたり、部活関係でヘイトをぶちまけるついでに女子二人の胸に言及していたら後ろにいた二人の怒りを買うなど、何かと自身の発言が元で不運に遭うことも。
打たれ弱く、特に初期は何かにつけ死にたいので帰ります等早退する逃げ癖があったが、生徒会での交流を深めていくにつれ早退癖はなくなり生徒会室で仕事するようになった。人見知りであるが、心を許した相手には口数は多く、特に藤原に対する弄りの語彙が豊富(白銀「藤原に対抗できる唯一の存在」 藤原「奴(石上)が付けるキズはやけに治りが遅い」)。
成功体験に乏しく、自信がなく卑屈でなにをするにも躊躇いがち。生徒会の面々もそのことを気にかけており、成功体験を作るよう白銀と藤原からは祈られ、かぐやからは直接勉強の指導をされている。
こうしたネガティブな面こそ目立つものの、かぐやからの期待に応えようと精いっぱい奮起する、奮起してなお目標に達しなかった結果を本気で悔しがり再挑戦を誓うなど、熱い内面を見せることもある。正義感も強く、自分が全く得をしない、むしろ自分の身を切ってでも他人を助ける精神を持っていたり、頑張っている人が笑われるのが許せないといった利他的な面もある。
対人関係
過去の事件のこともあり大多数の生徒たちから疎まれているが、生徒会の面々やそこに相談に来る翼やマキ、あるいは応援団の人たちといったある程度しっかり交流を重ねた人からはその人柄の良さや有能さを買われ好意的に見られていることが多い。
白銀とは先輩後輩を超えた親しい友人の間柄であり、石上が唯一気張らず話せる相手である。また、自身を闇から救い出してくれたことに強い恩義を感じている。ヘイト語りで暴走した際にも大抵白銀から「ブレーキ」と言われれば止まる。
かぐやのことは最初は心から怖がっていたが、かぐやが純粋に自分のことを案じてくれて面倒を見てくれているのだと気づいてからは結構慕っている。
藤原とは彼女の非常識な行動に容赦なく突っ込みを入れる天敵あるいは互いにやり込めたりやり込められたりとライバルみたいな関係。「正論で殴りつけるDV男」と言われ「殴りやすいボディをしてるほうが悪い」と返している。なんだかんだちゃんとした仲はいい。
伊井野はとにかく石上が嫌いで、それに応じるように石上も伊井野を嫌っている。だが伊井野の正義感の強さや努力は認めており、石上元来の性格もあり世話を焼いてしまう。なお、ミコが不登校や違反の件で石上をフォローしていることは知らない。
同級生から疎まれながらも、生徒会や伊井野といった多くの人に支えられ学校生活を送ってきた石上だったが、体育祭の日に彼を恨む一人の女性が現れた。
その女性は、石上の人生に大きな影響を与えた人物だった――
過去(ネタバレ注意)
中学時代、浮いてた石上に唯一気さくに話しかけてくれた女子生徒、大友京子。その彼氏の荻野という男が京子に酷いことを行おうとしていたのを察知、彼氏側に止めるよう説得を試みるも失敗し、暴力に発展してしまう。荻野は、石上に「お前が何かすれば大友は可哀想なことになる」と脅し、ギャラリーが増えてきたところを見計らい、自分が被害者だと周囲に信じ込ませた。
石上が一方的に悪いものとされ停学処分となってしまい、停学期間が明けても課題は提出できても反省文だけは書けなかったため復学できず不登校に陥ってしまった。
方法は間違えど、自分の行動の本質は大友への純粋な気持ちだったことに加え、反省文を提出して謝罪の意を示せば事件は表面上解決してしまい、荻野が再び大友に手を出す可能性を考えると書こうにもかけなかった。(実際は大友と荻野は事件の数日後に破局した上、大友は被害に遭わないまま荻野は転校した。反省文を提出しなかったことが、実は意図せず荻野への大きな牽制になっていた)
この時、心を閉ざし家族にすら事件の真相を話さなかったため、家族との関係も険悪なものになってしまった。
この期間にショートから現在の長髪気味の髪型に変わり、多くの物を見ない為の物理的制限でもあり、他人への恐怖の象徴となった。(石上の中学時代の話のサブタイトルは『そして、石上優は目を閉じた』)
高等部での視界を遮るほどの前髪や標準装備のヘッドフォン、前を開けて少し着崩した学ランは中等部時代の石上とは大きく違っており(校内で隠れてゲームこそすれど、制服はきちんと着こなし、ヘッドフォンは無かった)彼の自他共への心象の変化を表しているとも取れる。
しかし、石上の停学が続いていることに風紀委員の伊井野が抗議、そのやり取りが高等部の校長の耳に留まり高等部への進学が認められる。そのことをかぐやが耳に挟み、藤原が調査、事実を導き出し白銀が自室を訪れ石上を引っ張り出した。
「頑張ったな石上」
「だとしたら、お前の書くべき反省文はこうだろう!」
『うるせえバアカ!!!』
「よく耐えたな」
「お前はおかしくなんてない」
大友の登場で動揺していた石上だったが、かつてのように白銀に励まされ過去を振り切ることを決意。
リレーでは負けてしまうものの、顔を上げれば見える風景は違うと気づき、一歩前に進むことができた。
原作・アニメ版共にこのシーンでは、これまで目の部分が描かれなかった赤組応援団メンバーの顔がフルで描かれるという演出がされており、石上の心理の変化が如実に感じられる。
アニメ11話では、『うるせえバアカ!!!』の文字が残った石上の机が体育祭編の物語の締めとなった。
事件の真相も家族が知ることとなり、(家庭訪問の際に白銀が伝えたものだと思われ、石上家の人々は白銀に対して好意を持っている。)石上が生徒会に入って以降は仕事の会計を手伝ったり、事務所に自由に出入りしたりと家族との関係はそれなりに改善されたが、まだ蟠りがある。
なお、萩野はかぐやよりえぐい事をするVIPに転校させられたらしい(転校だけで済まさなかった疑惑あり)。
大友もまた別の高校に通っているが、石上の問題のせいではなくただ学力が低く進学試験に落ちたからである。