概要
ストルガツキー兄弟によるSF小説作品。
異星人らしき存在が「来訪」した影響で危険地帯と化した地域「ゾーン」を舞台に、
彼らの遺留物を収集・売買する「ストーカー」と呼ばれる者たちの営み、
そして「あらゆる願いを叶える」と噂される物体「願望機」の謎を描いた物語である。
物語の主人公はベテランストーカー・レドリック・シュハルト(通称:レッド)であり、
彼の視点からゾーンやその周囲に住む人々の生活が描かれる。
第三章のみストーカーを監視する立場にあるリチャード・H・ヌーナンの視点となり、
異星人の目的やゾーンの与える影響についての考察が語られる。
なお、原題は「路傍のピクニック」だが、
日本では後述の映画版のタイトル「ストーカー」として出版されている。
1979年にソ連でアンドレイ・タルコフスキーによって「ストーカー」として映画化され、
後に映画版の脚本をもとにした小説『願望機』が発表された。
近年ロシアでテレビドラマ化される予定。
本作、特に映画版の世界観はチェルノブイリ原子力発電所事故と、
事故後のチェルノブイリの状態を予言していたと評価する声もある。
ゾーン内の遺留物(アーティファクト)
ソーン内部では、物理的法則に当てはまらない超常現象が発生し、ストーカーたちはその法則を理解して、細心の注意を払い侵入。ゾーン内に残る遺留物(ブツ)を回収しては、高額で様々な人間に売買する。
アーティファクトは様々な名称のものが劇中には出てくるものの、それが具体的にどのような形状なのか、どういうものなのか、どういった作用があるのかは、ほとんど描写されていない。
登場する主なアーティファクトの名称は、以下の通り。
「空罐」
※作中最初の章で、レドリックが回収したもの。抱えるほど大きなものから、手提げかばんに入る小さなサイズのものなど、数種が存在する。
※劇中での描写(49P)
(前略)愛おしい、汚れないさらの<空罐>が目の前にある。その胴の肌に陽の光が戯れており、二枚の銅板の間で青い色をしたものが、鈍い光沢を放ってゆっくりとうねっていた。こうして見ると、こいつは<空罐>なんかじゃなくて、青いシロップが入ったガラス瓶の容器かなんかのようだ。(後略)
「電池」
「黒い飛沫」
※様々な大きさの、黒いガラス玉のようなもの。別名「K-23」。装飾品に使われている。光線を当てると、少し時間が経ってから光を反射する。玉の大きさ、重量、その他いくつかの理由で、反射の遅れは違っている。反射光線の周波数は常に、入射光線のそれより小さい。この内部は、巨大な空間が圧縮されているという説がある。
「ムズムズ」
※扱いが悪いと鼻血を出す。うまく用いれば、犬が遠吠えをあげ、周囲の人間たちが転げまわるほど大変な事態を起こせる。
「リング」
※指で引っかけ回すと、一分以上回転し続ける。
「魔女のジェリー」
※ゾーン外の研究所で研究中に、容器からあふれ出し大変な事になったらしい。また、これの沼に足がハマったストーカーは、足が使い物にならなくなった。
「死のランプ」
※「地球の有機体に致命的な作用を及ぼす光線放射システム」らしい。
「スポンジ」
「炭酸粘土」
「ブレスレット」
※生命過程に刺激を与える。医学的に有益なため、これをはめている者もいる。
「エビガニの目」
「大きな音を出すナプキン」
「ピン」
「適量」
※黒く丸い棒状の永久電池。機械の動力源になる。条件によっては、分裂して増殖する。
「白いミズスマシ」
「鳥のガラガラ」
「白い輪」
余談
ゲーム「S.T.A.L.K.E.R. SHADOW OF CHERNOBYL」は、
本作に類似した世界観を有し、チェルノブイリ一帯を舞台としているが、
小説や映画を原作にしているとは明言されていない。
なお、本作における「ストーカー」は「密猟者」を意味している為、変質者とは関係ない。