概要
スズキが発売していたバイク。
1973年発表、1974年発売。
最大の特徴は、日本製のバイクとしては現在に至るまで唯一のロータリーエンジンを搭載していた点である。
これは、1970年代にロータリーエンジンが小型・高出力の優秀なエンジンとしてもてはやされ、将来レシプロエンジンを駆逐すると目されていた為で、当時は他社も同様のバイクを試作している。
しかし他社は諸問題で量産を断念し、実際に市販化に漕ぎつけたのは本車のみであった。
エンジンは排気量497ccのシングルローターで、ハウジングは水冷、ローターは油冷という2種類の冷却系統を持つ。
エンジン自体はさほど大きくないが、ロータリーエンジン特有の排熱対策として電動ファン付きの巨大なラジエーターを抱えており、転倒に備えてラジエーターガードも標準装備された。
尚、排気量を所謂ロータリー係数で掛けると750ccを上回ってしまい、当時の日本では販売できなかった為、輸出専用車種として扱われた。
エンジンだけでなくデザインにも拘っており、デザイナーにはかのジョルジェット・ジウジアーロを迎えた。
サイドかバーなどに凝った形状を取り入れた他、初期型は端部に反射板が付いた円筒形のメーターを装備。
これは茶筒と通称された。
このように画期的なバイクだったのだが、発売直後に第一次オイルショックが発生。
ロータリーエンジンのお約束として燃費が悪かった本車は敬遠され、販売は低迷。
2年後の1976年に生産終了と短命に終わった。
生産台数の少なさから、現在では希少車として扱われ、中古車価格は高止まりである。
また、本車で培った油冷技術は、後にGSX-Rシリーズへと流用され、スズキの一時代を築いた油冷式レシプロエンジンの基礎となった。
関連項目
マツダ:自動車でロータリーエンジンを実用化した。2020年現在、乗り物用のロータリーエンジンを市販化した日本メーカーはスズキとマツダだけである。