GotoHell,YouMortals
じごくへおちろにんげんども
悪魔だ...！お前達こそぉぉォぉォ！ッ！！
経緯
ネタバレ注意
美樹！ 帰ってきたよ！！美樹！！
其の深い優しさを源に悪魔の力を其の身に宿してまで人類を守り続けていた不動明は愛する女牧村美樹に再開する為に走り続けていた。
暗闇を走り続けていた彼だったが、徐々に闇は晴れ、光が見え始めた。
その光の正体は生首となった美樹達を囲む炎であった。
民衆は彼女達の生首を掲げ、狂喜乱舞していた。
美樹、ミーコ、ワムウ、自らが愛した者達は、デーモン達ではなく、己が身体を犠牲にしてまで守ってきた人類に因って殺されていたのだ。
あ...！あぁあ...！！ああぁあぁ！！あぁ...！！
呻吟に呑まれた明。
不動明は其の身が悪魔になろうとも、心は人間であり続けていた。
しかし人類は人間の身でありながら悪魔になっていたのだ。
悪魔だ...！お前達こそぉぉォぉォ！ッ！！
其の身に何が起ころうと、人間の味方であり続けた不動明は、今度こそ人類に絶望した。
悪魔となった民衆を前に
嘆く明の周りに地獄の業火が燃え盛る。
地 獄 へ 落 ち ろ ぉ ぉ ォ ぉ ォ ぉ ォ ！ ！
人 間 共 め ぇ ぇ ェ ぇ ェ ぇ ェ ！ ！ ！ ！ ！
明は彼ら人間を、業火で燃やし尽くした。
mortalの意味
mortalsで「人間」となるが、
mortalという形容詞では、「死すべき」「許されない」「地獄に落ちる」「永遠の死を伴う」など、何れも「Go to Hell」を強調する意味となり、明の絶望が見事に表れている。
原作
ネタバレ注意
悪魔の疑いを掛けられた牧村夫妻は、悪魔特捜隊に捕まった。
明は怒り、疑心暗鬼に駆られ、仲間を殺し始めた彼らこそが人類の本当の敵だと確信する。
デビルマン軍団を引き連れ、基地に乗り込んだ明。
無我夢中で牧村夫妻を捜索し、ある部屋へ行き着く。
ウグアァァァァ
悲鳴をあげる明。
彼の前には、右手を引き千切られ、身体の至る場所から血が流れた牧村家の母がいた。
逆様に吊るされた彼女からは全身の血が流れ、既に息絶えていた。
彼女は正体が晒された明を逃がした罪を問われ、拷問に掛けられたのだ。
自身を責める明。
地獄だ....ここは....
人間が作りだした地獄だ！
悪魔からの恐怖から逃げるため....
人間みんなが恐怖をあたえる側にまわろうとあがいている
この地獄は...続く！
人間のいるすべての世界で
すべての人間の命が果てるまで....
堕天使サタンの狙い通り、最早人類は凶悪な獣と成り果てていた。
明はサタンが、まさしく、人間を堕落させる伝説通りの存在だと痛感した。
あ....あきら....
自分が知る声が聞こえ、不動明は振り返った。
其処には右目を抉られ、針が施された車輪に挟まれ、全身に穴の開いた牧村家の父がいた。
彼もまた、明の正体が知れ渡った所為で針串刺しとなったのだ。
明へ呼び掛けを続けた彼だが、子供達への想いを最後まで伝える事が出来ず、致死量の血を吐き、絶命した。
その場に立ち尽くす明。
自らが牧村家に災いを招いた事を顧みていた。
最中、小さな物音が聞こえた。
明は冷徹な眼差しで音源を見据える。
かくれていないで出ろーっきさまら！
其処から牧村夫妻を殺した人間が悲鳴を上げながら出てくる。
明は逃げる彼らの道を塞いだ。
明をデーモンだと勘違いした彼らは、弁明を始める。
待ってくれーおれたちは こ****殺していない
そうなんだ おまえたちの仲間を殺していないんだー
お....おれたちのやったやつらはみんな人間だったよ
しめあげたけどけっきょく人間ばっかりだったんだ
だ だから悪魔を殺してはいないさ....
明の身体は怒りで震え、眼は更に鋭さを増す。
怒りに身を委せ、明は叫ぶ。
外道！
きさまらこそ悪魔だ！
怯え、逃げようと足掻く彼らを、翼を広げた明が逃がさない。
おれはからだは悪魔になった...だが
人間の心をうしなわなかった！
きさまらは人間のからだをもちながら悪魔に！
悪魔になったんだぞ！
これが！
これが！
おれが身をすててまもろうとした人間の正体か！
地 獄 へ お ち ろ 人 間 ど も ！
明は業火で彼らを灰塵と化した。
明はその後、物思いに沈んでいた。
今の人間は守るに値するのか、明の心は揺らいでいた。
彼は今、守るべき人を探していた。
彼は気付いた。
まだ美樹がいる事に。
美樹！
きみがいるかぎりおれは悪魔にはならん！
きみがいるかぎりおれは
デビルマンだ！
明は気持ちを新たに、美樹の元へ向かう。
人間・不動明として。
美樹
美樹
きみだけだ 美樹
きみひとりのためにおれは戦う
この世界を
きみの住めない悪魔の世界にはさせないぞ！
きみの....
言葉が途切れた明。
彼の視線の先には矢張り牧村美樹らがいた。
併し、其の命を保ってはいなかった。
彼女達もまた、疑心暗鬼に駆られた民衆の餌食となっていたのだ。
不動明が愛し、不動明を愛した者は、全員炎に包まれ、民衆が掲げ、狂喜乱舞する生首と成り果てていた。
うっ！うおぉぉぉ
涙が目から流れる明。
悲痛な叫びを上げながら民衆達の元へ走り出す。
明は炎へと変化し、牧村邸に群がる悪魔の如き民衆を焼き上げた。
軈て炎の中から明が姿を見せる。
生きる希望も幸福も、生きる意味さえ失った明。
彼にはもう何もない。