1984年(Nineteen Eighty-Four)とはイギリスの小説である。
作品解説
1950年代に核戦争が起き既存の国家が革命により倒され世界が「オセアニア」「ユーラシア」「イースタシア」という3つの超大国に支配された1984年。舞台はオセアニアの領土のエアストリップ・ワン(Airstrip One / エアストリップ一号)でかつてはイギリスと呼ばれた地域である。主人公のウィンストン・スミス(Winston Smith)はロンドン在住の真理省(Ministry of Truth)記録局に勤務しており、党外局(党外郭) (outer party)つまり一般階級の党員である。スミスはオセアニアの現体制に疑問を抱いていた。あるとき上流である党内局(党中枢) (inner party)に属するオブライエン(O'Brien)に接触し、体制への疑問を打ち明けると反体制派のエマニュエル・ゴールドスタイン(Emmanuel Goldstein)が描いたとされる禁書を渡され体制の裏側を知ることとなる。しかし、反体制的な思想がある人物により密告され、思想警察(Thought Police)に逮捕される。愛情省(Ministry of Love)の手によって洗脳され、完全に体制を信じ込み、スミスは"心から"党を愛し、処刑される日を想うのであった。
登場人物
ウィンストン・スミス(Winston Smith)
39歳の男性。党外局員、真理省記録局に勤務。キャサリンという妻がいる。現体制に疑問を抱いている。ネズミが苦手。
ジュリア(Julia)
26歳の女性。党外局員、真理省創作局に勤務。表向きは熱心な党員であるが、実は現体制に疑問を抱いている。
オブライエン(O'Brien)
党内局員、真理省の高級官僚。党に対して絶対忠誠である。人心把握の技術があり、ウィンストンを嘘でわなに陥れる。
トム・パーソンズ(Tom Parsons)
真理省に勤務。ウィンストンの隣人。
パーソンズ夫人(Mrs. Parsons)
トム・パーソンズの妻。
サイム(Syme)
ウィンストンの友人。真理省調査局に勤務。
チャリントン(Charrington)
63歳の男性。古道具屋の店主。オセアニアの現体制成立以前の時代に愛着を持つ数少ない人物。しかし、実際は秘密警察の隊員。
ビッグ・ブラザー(Big Brother)
同作に登場する全体主義国家オセアニアの最高指導者。
エマニュエル・ゴールドスタイン(Emmanuel Goldstein)
オセアニアにおける反体制派の代表的人物。「人民の敵」とされ、オセアニア国民の憎悪の対象となっている。
出版
イギリス - Secker and Warburg (1949年)
日本 - 早川書房(1972年、2009年)
関連イラスト
別名・表記ゆれ
1984年 1984 一九八四年 Nineteen Eighty-Four Nineteen Eighty FourNineteenEightyFour
関連イベント
関連タグ
1984年(小説) 1984年 小説 ディストピア 全体主義