忍びの掟は忘れまいな
親の次に大事なもの、お前の心に刻むがよい
解説
CV.土師孝也
主人公の狼の義父と同時に忍の師。
物語開始の20余年ほど前、まだ子供だった狼を戦場跡で戯れに拾って以降、忍びの技の粋を狼に仕込んでいった。
忍に似合わぬ大柄な体に足元近くまで編まれた長く白い髪、鳥蓑を羽織り背中にはその体格に合った大太刀を背負う姿は、まるで梟を思わせる。
薄井という名の森を修行場とし、そこで出会ったまぼろしお蝶とは若い頃からの付き合い、後に狼に忍び技の師としてあてがっている。
忍びの修行は、幼い狼を幻術をかけた森に置き去りにし、それを掻い潜らせるという厳しいものだったが狼は耐え、長らく親子を続けてきた。
厳格な印象だが、すぐ真っ赤になるほど酒に弱かったり、狼が腹を空かせた際は黙っておはぎを拵えたりと、人間味のある優しい面もあったようだ。
ゲーム本編開始の時点で、すでに故人。
3年前に賊の襲撃を受け壊滅状態の平田屋敷にて、燃え盛る屋敷内の中庭で深手を負い瀕死の状態で現れる、たどり着いた狼に平田屋敷の隠し仏殿の鍵と抜け道を教えるとともに忍びの第2の掟「主は命を賭して守り、奪われたら必ず取り戻せ」これを約束させ息絶える。
以降、狼は忍の掟に従い九郎を守ることを決意する。
*以下、ゲーム内容のネタバレを含む*
大忍び 梟
葦名城に内府の忍軍が襲来し、九郎を迎えに天守閣に向かう狼。そこには既に九郎と話す人物がいた。
九郎を守ると話すその人物は3年前に死んだはずの梟だった。
竜胤の力に目をつけ、既に魅入られている事を悟った九郎は梟にこの場を去れと命じるが、梟は久しく見る景色を堪能すると言い残す。
やって来た狼に生きていた理由を謀と語り、お前(狼)も死んだと思っていたと、平田屋敷で狼を殺そうとした事を仄めかす。
その後、梟は竜胤を手中にするという自らの野望を打ち明け、そして第一の掟に従い、狼へ九郎を捨てるよう言い渡す。
選択肢により、後のエンディングルートが大きく変わる。
掟に背いた場合
”忍が情に流されるなど、なんとなさけないことか…”
狼の言葉に落胆し、大げさに泣き崩れてしまう。
「父の思いが分からないのか」と引き止めるも、一方の狼は「主のように掟は己で定める」と一蹴。彼もまたその場から去っていく。
”ふむ…少しは成長しておるようだな、やろうか、狼よ…”
戦闘
第一段階
大太刀の長いリーチと忍の体術から繰り出される素早い剣撃は強力そのもの。体幹を積極的に崩してくる傾向にあり、逆に防戦になるとステップなどで仕切り直すなど、実に忍らしい戦闘を得意とする。
やはり師ということもあってか、その剣捌きは狼に似たモーション。ジャンプ斬りや踏みつけからの滞空手裏剣、スキル「追い斬り」に相当する手裏剣と刀の二段攻撃など、狼も使える技を見せる。
忍殺モーションまで用意されており、体幹を崩されるなどした隙を狙う踏みつけ忍殺と、こちらの突き攻撃のカウンターとして見切り忍殺・影落としの二つがある。
両者とも体力満タンでも九割を持っていかれ、場合によっては致命傷となってしまう。
前者に関しては回避の猶予があるため、落ち着いて距離をとろう。しかし、壁際での手裏剣や相討ちでこちらの体幹が崩れると忍殺が確定してしまう点に注意。
危攻撃は一切行わないが、注意すべきは度々投げてくる煙玉。そこから発せられる煙は当たれば禁薬状態になり一定時間、一切の回復を封じられてしまう。
かなり厄介なので、攻撃回避に自信がない場合は絶対に回避したい。
そしてもう一つ、攻撃が弾かれた際に後ろにステップしながら爆薬を撒くことがある。気付かずに攻めようとすると火花に怯んで追撃を貰ってしまう。防御不可能なうえ、爆竹自体にも当然ダメージがあるので注意。
派生する攻撃条件は「弾かれた時専用の水平斬りが弾かれた」場合のみ。
他にも一部の攻撃から派生して、火薬を用いた爆炎斬りを放ってくることもある。炎上属性こそないが威力は即死級であり、防御の上からでも削りダメージを生じるほど。ステップ回避などで背後をとりに行こう。
こちらは「梟が弾いた時、体当たりした後」に放ってくる。
梟の体幹を崩し、一度忍殺を決めると…
”ま、待ってくれえい!”
その場で土下座。片手で「待った」のジェスチャーをし、情けなく命乞いをしてくる。
殺し合いの最中とはいえ、自分の育ての親である。やはり手にかけるのは忍びない……そう思って無用心に近づくと
”ばかめっ!”
第二段階
開幕不意打ちの煙幕をかましてくる。やはり謀である。
壁際で不意打ちされると煙幕に怯んでしまい、一撃貰ってしまうこともあるため位置取りには注意したい。「仕込み傘」を装備しているなら展開しておくと安全である。
ちなみに、命乞い中に攻撃すると
”うれしいぞ、狼よ 良くぞ育った!”
と褒められる。
なにもせずに放置しておくと
”むうぅぅん!”
と唸りながら命乞いをやめる。いずれにせよ、煙幕を放つのは変わらない。
これ以降は時おり煙幕を張って不意打ちを仕掛けてくるほか、滞空手裏剣が毒撒きに変化。変更点はこれだけで、概ねの動きは第一形態と同じである。油断せず攻略していこう。
そして激闘の果てに、決着の時が訪れる。
梟の突きを踏みつけた狼は、そのまま転身して後ろに回り込む。斬りつけられ、怯んでいる梟の背後に回り込み、そのまま背後から刺し貫いた。
そう、それはかつて自らを葬った父の技。
”影落とし、御返しいたす……”
”見事……なり……”
撃破により常桜の香木を入手。「源の香」の最後の材料が揃うことになる。
掟に従った場合
修羅ルートへ分岐する。
自分に従う狼を誉めていたところへエマが現れる。「道玄の娘と争うわけには」と嘯きつつ不意打ちをしかけるも防がれ、その場を狼に任せてどこかに去ってしまう。
エマと老境の一心を斬り伏せた後、ようやく戻ってきた梟の手元には不死斬り”開門”が(実はこの時、もう片方の手に弦一郎の生首をつかんでいる。彼を倒して手に入れたのだろう)。
老いたとはいえあの一心を撃ち破るとは、と倅の狼を褒め称えた後。
炎上する葦名城天守より、大忍びは己の野心を口にしようとした。
”これで全て我が手の中よ”
”葦名も、内府どもも”
”この国ごと、喰ろうてくれるわ!”
”我、薄井右近左…”
だが修羅へと変じた狼に後ろから深々と刺し貫かれ、彼の野望はあっけなく潰える。
そして、今や自分の知らぬ何かとなった倅に目を見開き驚愕、あるいは恐怖し梟は事切れたのであった。
大忍びの梟は、
身に余る野心を抱き、竜胤の力を欲した
さあ、己の真の名を、日の本に轟かせるのだ
全てはそのための謀であった
3年前の平田屋敷、もうひとつの記憶
いずれにせよ、葦名城の天守で果てることとなる梟だが、ルートによってはもう一度、彼と会うことができる。
それは過去の記憶の中。九郎の人返りのため、エマから渡された「義父の守り鈴」を荒れ寺の仏に供える事で、再び襲撃時の平田屋敷に赴く狼。
その最奥、かつてまぼろしお蝶と戦った隠し仏殿には…
”あの日”
”戦場で拾った飢えた狼が…”
”よもや、ここまでになるとはな”
”まこと惜しい…”
”だが、斬るぞ!”
全盛期の義父と、一対一の斬りあいが始まる。
裏ボス扱いであり、その強さは葦名城天守で戦った時とは比べ物にならず、人によってはラスボスに匹敵するレベルで強い。
回復封じの煙玉等の搦め手などは使ってこないが、攻撃スピードが恐ろしく速い。火薬を撒き、斬りつけながら火花で着火する爆炎斬りや回り込みで薙ぎ払いに派生する葦名流・一文字、発生の速い下段攻撃等厄介な攻撃が揃い踏みである。中でも火薬撒きから使ってくる大技、秘伝・大忍び落としは被弾した場合これまた即死級のダメージを貰う事になる。無論寄鷹斬りや踏みつけ、見切りからの忍殺も健在。
忍殺を決め、後半戦に入ると…
”狼よ、よくぞここまで鍛え上げた”
”褒美を取らす”
”我が梟、見せてやろう”
青白い梟を召喚し、連携しての技が解禁される。この梟は幻に見えるが、よく見ると青白い光をまとった実体ある生き物であるらしい。
ステルス状態からの飛びかかり、さらなる大技として炎を纏った梟を突進させ、すぐさま秘伝・大忍び落としを放つコンボが追加される。このコンボ攻撃は下段攻撃の炎梟突撃をジャンプでかわし、大忍び落としを見切る事で対処が可能。
死闘の果て義父を撃破することにより人返りに必要なものの一つ、「常桜の花」を入手できる。
高難度で知られるSEKIROにおいても一、二を争う難敵ではあるが、慣れてくればこのゲームの醍醐味でもある激しい剣戟を存分に楽しめるボスでもあるため、戦いに魅入られた修羅たちからの評判はすこぶる良い。
”倅に敗れるか”
”存外に心地よいものだ…”
戯れに拾った飢えた狼
これを忍びとして育て、己が技の粋を
叩き込んでゆくのは、存外に面白いものだった
いずれ命を賭した真の戦いを、願うほどに…
古い記憶の中なれど、その梟の願いは叶った
心中、全盛の先
2020年10月29日にリリースされたVer.1.05アップデートにおいて、「義父」の強化ボスである「心中の義父」が追加された。発売から一年以上経過したこの頃にもなると、通常の義父は難なく倒せてしまう修羅たちも多かったのだが、心中の義父はそんな彼らをも震え上がらせる超強敵であった。以下は追加行動である。
- 霧がらす(カウンター)
心中の義父最大の特徴にして最凶の行動。ガードを構えていない義父に攻撃すると、ランダムに使用してくる。狼も使う霧がらすそのものなのだが、義父の霧がらすは非常に素早い。消えたと思った次の瞬間には狼の背後に回り込み二連撃を見舞ってくる。この行動により、これまで上級者たちの間では定番だった「義父は寸断なくガン攻めする」というセオリーが通用しなくなっている。さらにタチの悪いことに、二連撃を弾き反撃すると連続で使用することさえある。(編集者の知る限りでは最大6回)一度凌いだとて気は抜けず、むしろ更に神経を尖らせなければならない。
- 霧がらす(兜割り)
霧がらすで狼の頭上に出現して兜割りを見舞ってくる。主に距離を離しているときの回復狩りや手裏剣へのカウンターとして使用する。ナナメ前ステップでかわせば攻撃チャンスになるが、霧がらすカウンターへの警戒は怠らないようにしよう。
- 旋風斬り
狼が最初に会得する流派技「旋風斬り」と全く同一のモーション。しかしリーチも威力も狼のものとは段違い。
- 梟飛ばし
通常の義父も使用した梟飛ばしだが、心中の義父のものはさらに厄介である。というのも、通常の義父の梟飛ばしは下段確定、さらに大忍び落としが来ることは知れているので集中を緩められる休憩時間的な行動でさえあったのだが、心中の義父の梟は身を傾け、翼を縦方向に広げて突進してくるパターンを織り交ぜてくる。その場合、いつもの感覚でジャンプでかわそうすると直撃することになるので、梟がどの体勢で飛んでくるか神経を張って観察しなければならない。とは言ったものの、縦方向の梟は弾くことが可能。燃え盛るその見た目に反して貫通ダメージもないので、ジャンプ→空中弾きとすることで縦横どちらにも対処できる。
- 霧がらす(コンボ)
第二ゲージで開放される、心中の義父の大技。三種の行動を組み合わせたもので、それぞれの行動の合間に霧がらすで移動しつつ目まぐるしく連撃を見舞ってくる。「二連斬り→旋風斬り→強襲斬り(幻影梟の〆に見舞ってくるアレ)」と「突進斬り→手裏剣投げ→兜割り」の2パターンが存在する。状況によってはカウンターと紛らわしい上にどちらのパターンか見極めなければならず、かなり対処の難しい攻撃になっている。しかし全て捌き切った時の達成感はひとしおなので、再戦機能を活かして存分に鍛錬しよう。
余談
彼が度々言う忍びの掟であるが、3つまであるようだ。
それぞれ現代の梟戦で倒された時、回生使用前のタイミングで言い聞かせてくる。
”ひとぉつ…!”
”親は絶対”
”逆らうことは許されぬ”
”…守れておらぬぞ”
”ふたぁぁつ…!”
”主は絶対”
”命を賭して守り、奪われたら必ず取り戻せ”
”…このままでは、また奪われよう”
”みいぃっつ…!”
”恐怖は絶対”
”一時の敗北はよい。だが手段を選ばず、必ず復讐せよ”
”…できるかの、儂に復讐を”
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かつて、竜泉を酌み交わした者たち