「我、鬼庭形部雅孝なり!大手門、この形部が通さぬ」
概要
CV.高口公介
葦名の国に所属する葦名衆の一人であり大手門の番人。
片角の折れた鬼を模した兜と血で汚れた毛皮を身につけている様子から鬼形部とも呼ばれる。
名馬・鬼鹿毛(おにかげ)を駆り、手に持つ片鎌槍(左右の刃の長さが非対称の十文字槍)で闘う騎馬武者。
鬼の渾名は伊達ではなく、葦名衆でも指折りの強さを持つ。
かつては葦名で有名な賊の頭目だったが、若き一心に敗れ、その強さに惚れ込み傘下の賊ごと葦名の国に仕官した。
それからは名槍・一本角を振るい、時に敵の粗雑な鎧を剥がし、その技は「形部の鎧剥ぎ」として恐れられた。
その槍は国盗り戦の最中に折れるも、一心からは「見事な折れぶりよ」と褒め称えられ、一心が討ち取った敵将・田村主膳の片鎌槍を下賜された。
以降はそちらを愛用し、一心曰く名酒「竜泉」を手に入れた際、酒の席でも片鎌槍を手離さなかったらしい。
葦名衆からの信頼は厚く、部下から「鬼形部様」と呼ばれ、かつて折れた一本角の穂先も丁重に詰所へ保管されている。
また、幼き頃の弦一郎の傅役(もりやく:養育係)を務めてもいた。
戦闘
槍を用いた豪快な攻撃と馬による機動力を兼ね備える、人馬一体を体現した戦法をとる。
馬に乗って戦うので、他の敵より特殊な立ち回りを強いられる。
第一段階
急いては死ぬるぞ、わっぱ…
大手門の広場で必ず闘うこととなるストーリーボス。
鬼刑部はガードおよび弾きが出来ないもののこちらの攻撃にほとんど怯むことが無い、しかし馬は義手忍具の爆竹を当てると大きく怯む。
第二段階
鬼の首…未だ、落ちておらぬぞ…!
二段階目は爆竹に対するカウンターや、攻撃手段が増える。
特定の行動の後は鉤縄を引っ掛けて一気に接近することが可能。なお鉤縄を引っ掛け、怯みモーションが入った後は薙ぎ払いによる反撃を行うので、攻撃の後はガードか弾きの準備を。
馬に乗っているため機動力は全敵キャラの中でも随一であり、始めたての頃やってしまいがちな攻撃→回避のいわゆるチクチク戦法や、ダッシュ逃げ回りをやっていてもすぐに追いつかれ、そのままリーチの大きい攻撃に巻き込まれて即座に鬼仏送りにされる。ガードや弾きの重要性というこのゲームの基礎を序盤にして教えてくれるボスである。
とはいえ、慣れない内は苦戦するかもしれないが、攻撃が大振りで弾きやすく、体幹の回復も遅い。
爆竹で決定的な隙を作り出すことも可能なので、かなり制しやすいボスであろう。
武器
- 十文字槍
鬼形部が持つ片鎌槍、馬上から攻撃を放つのでリーチが長い訳ではないが、馬の機動力でそれを補っている。
持ち手には縄がくくってあり、リーチのある攻撃も可能。
相手が自分の左側に来られるのを嫌い、常に相手を右側に捉えて苛烈な攻撃を仕掛ける。
真後ろを取られると馬が後ろ蹴りを放つ。
技
- 大旋風
槍に結んだ縄を振り回し周囲一帯を広範囲に薙ぎ払う。
最もリーチのある攻撃だが、加害範囲はドーナツ状になっているので中心部分は攻撃できず隙になる。なおすぐに鉤縄をかけるとそのまま攻撃に持ち込めるが、タイミング的に失敗するとダメージを受けるので注意(近づいて攻撃を行うことはできる)。
- 三連撃
叩きつけ→薙ぎ払い→叩きつけによる三連撃。ガードでもしのげるが、体幹ゲージ次第では途中でガードを崩され攻撃をもらう。なお最後の一撃を弾くと大きな隙を晒すので積極的に狙っていきたい。弾き自体もそこまで難しくはない。
- 危・下段
「飛べいッ!」っという掛け声をかけると共に、馬から立ち上がり遠距離から槍をこちらに投げる。勘違いしそうだが突きではない。距離を離すか弾きで対処可能
- 危・掴み
槍を地面に引き摺らせながら追尾し、引っ掛かった相手を引き回して放り投げる。
単体で出す事はなく、相手に槍を構えながら馬を突進させる、直後に掴みを繰り出す。ジャンプで避けよう。
- 飛越二連刺し
馬と共に2回跳び上がり真下を突き刺す、この技の後に掴みを出すこともある。
余談
操る得物と「鬼形部」という渾名から察するに、彼のモチーフは片刃の折れた十文字槍、片鎌槍を振るい、「鬼将軍」、「鬼上官」の渾名で恐れられた安土桃山時代の武将、加藤清正だと推察される。
なお、彼の愛馬である鬼鹿毛だが、こちらは「甲斐の虎」の異名を持つ武将武田信玄の父、武田信虎の愛馬と同じ名前である。
ボスとしてはあまり強くない(あくまでも本作の中ではだが)と評される彼であるが、彼と闘う大手門前広場には大量の死体が転がっており、その中には雑魚敵の中でも屈指の強さを誇る内府の赤備え兵も混じっている点から本来は凄まじい強さを誇る人物であることが窺える。
武士であるが故に正々堂々とした闘いを好み、また戦場で馬を駆って大勢の敵を薙ぎ倒す彼の戦闘スタイルが、忍であるが故に手裏剣や爆竹といった搦手を用い、1対1を想定して闘う狼の戦闘スタイルと致命的に相性が悪かった事が敗因の1つだろう。とはいえ、序盤でガードや弾きもままならないプレーヤーにとっては一つの壁となることは間違いない。「大手門は開かぬ門…」というセリフを幾度となく聞かされた狼も多かったであろう。
死の間際まで弦一郎の重荷を案じる姿は、武人だけでなく人物としても誇り高い。
作中には彼の親類と思われる、鬼庭主馬雅次も登場する。中ボスの扱いではあるが鬼刑部と同じく槍の名手であり、葦名七本槍の1人に数えられる。
槍使いでありながら見切りをしてもすぐに距離を取ったり、反撃をしてくるなどかなりの強敵である。
ちなみに主馬も役職名であり、馬の飼育や牧場、輸送などの事務を行う役職である。
彼のまたがる馬、鬼鹿毛(おにかげ)の馬力は凄まじく、大手門の戦場跡地に設置された矢盾や竹束は勿論、大きな櫓や果ては馬防柵まで破壊して走る、その姿はまさに名馬と呼ぶにふさわしい。
大手門近くで小鹿毛(こかげ)という馬が殺されているが、恐らく形部の馬にあやかって付けられた名だと思われる。なおその屍の前にいる雑兵の嘆きを盗み聞きすることで、馬に爆竹が有効というヒントを得られる。
かつて彼の使用した槍、一本角の穂先は葦名城本城のとある場所で入手でき、義手忍具「仕込み槍」を作成し狼もその槍を振るうことが出来る。追加攻撃で引き込みを行い、粗雑な鎧ならば容易く引き剥がすなど在りし日の彼を思わせる戦い方も可能。
さらに槍に留まらず多くの侵入者を屠ったその無敵の騎乗戦法は海を越え、狭間の地に君臨する黄金騎士へ伝来されたのだ。
敗北時の台詞大手門は開かぬ門…は、開かないんだもん!という意味に聞こえてかわいらしいと一部のプレイヤーに人気がある。
また、英語版のSEKIROにおける本記事冒頭の名乗りのシーンは異様なテンションの高さと音割れを起こすほどの音圧を誇る(文字で表すとMY NAAAAAAAME!!!! IS GYOBU MASATAKA ONIWAAAAAAAA!!!!!くらいの勢い)。その勢いの良さが人気を博したのか国内外で本作における愛されキャラとしての地位を確立しつつある。