概要
鎌倉幕府総帥・北条高時の息子。行く行くは幕府の後継者になる予定であったが、争いや政が嫌いで、何かと口実をつけて逃げ隠れするのだけは得意。逃げ足は速く、かくれ鬼も上手で、稽古が嫌なばかりに、鎧箱の中に丸二日隠れて大騒ぎになった事すらあった。
それでも根っこは大変優しい少年であり、地位も名誉も要らず、ただ大好きな鎌倉の街を眺め、平和に暮らす人々の笑顔を見て暮らせればいいと思っていた。
しかし彼の運命は足利高氏の謀反で一変する。挙兵からわずか24日で鎌倉幕府は滅亡し、父や一族郎党は皆自害に追い込まれた。その惨禍に愕然となる時行の前に諏訪頼重と名乗る男が現れる。彼は自害前の高時から時行を逃がすよう頼まれており、信濃諏訪に匿うと言うのである。
「高氏は殺す事で英雄となり、貴方様は生きる事で英雄になる」との頼重の言葉に戸惑いながらも、時行は生き抜いて「天下を取り返す鬼ごっこ」を始める決意を固めるのだった。
その頼重に「二年後、十歳の時に貴方様は天を揺るがす英雄となられまする」と言われているので、物語開始時点の年齢はおそらく七歳か八歳。