概要
縁うたとは、漫画『鬼滅の刃』に登場する継国縁壱とうたのカップリングタグ。
夫婦として結ばれる過程が描かれた、正真正銘の夫婦の公式カップリングである。
家を出た縁壱は家族を亡くしたうたと出会って彼女の家に着いて行き、二人は十年を共に暮らし愛し合って夫婦となった。
忌み子として育てられた縁壱は、母が病死した後すぐに家を出た。出家するように言われていたが結局寺に行くことはなく、どこまでも続く空の下を一昼夜走り続けた。
ふと気が付けば山の中のこぢんまりとした田畑がある場所に来ており、田んぼの中で自分と同じ年頃の女の子がぽつんと一人で立っているのを見つける。
少女は桶を持ったまま長い間動かず、何をしているのかと訊ねる。
「流行り病で家族みんな死んじまった 一人きりになって寂しいから田んぼにいるおたまじゃくしを連れて帰ろうと思って」
そう言って彼女はまた動かなくなった。しかし日が暮れ始めると彼女は桶の生き物を田んぼに逃がした。
「連れて帰らないのか?」
「うん… 親兄弟と引き離されるこの子たちが可哀想じゃ」
「じゃあ俺が一緒にうちに帰ろう」
黒曜石のような瞳を持つ少女の名はうたといい、こうして二人は一緒に暮らし始める。
縁壱はうたのおかげで他人と自分の世界の見え方が違うことを知り、それまで感じていた漠然とした疎外感の理由に気づいた。
うたは糸が切れた凧のようだった縁壱の手をしっかりと繋いでくれた人だった。
二人は幸せな日々を送っており、縁壱のもとに集まってきた動物に餌をやったり手を繋いで田畑への道を歩いたりと寄り添うように暮らしていた。
縁壱は素直で素朴な気質を持ちながらも感情を表に出すことが少なかったが、うたは縁壱の表情以外でも感情の動きを読み取ることができ、心を通じ合わせる。よく喋る明るい性格のうたとおっとりして物静かな縁壱は一見対照的だが、ともに自分よりも他者の幸せを願うことができる心の優しい夫婦である。
縁壱にとってうたは命よりも大事な存在だった。
やがてうたは妊娠するが、臨月が近づいたということで縁壱が産婆を呼びに行っている間に、お腹の中の子供もろとも鬼に殺されてしまった。うたと子供の三人で暮らすことを夢見ていた縁壱はあまりの悲しみに我を忘れ、妻と子供の亡骸を抱いて十日間も茫然自失となっていた。鬼を追ってきた剣士に言われ彼女を弔ってからは、墓前で泣きはらした目をしている。うたを殺されたことによって鬼狩りとなった縁壱の刀は「黒曜石のよう」と表した妻の瞳と同じ色をしていた。
縁壱はうたの死後は独身を貫き、生涯たった一人うただけを愛し続けた。
21巻の中表紙では二人がそれぞれ蝶と蛙と手に乗せて微笑み合っている。
それから時は巡り、現代となった最終話にて赤ちゃんを抱くうたと縁壱によく似た夫婦が登場した。一家は仲睦まじい親子と解説されており、幸せそうに笑っている。
本編では鬼によって引き裂かれ悲恋に終わってしまった2人だが、長い時を経て輪廻転生という形で再び巡り会い、今度こそ幸せな家庭を築くことができたことを示唆されたのだ。