概要
冪乗の反対にあたるものの一つ。
冪乗の反対と言えば通常は冪乗根であるが、これは例えば「aのb乗」において、aに視点を置いた場合の話である。
対して、bに視点を置いた場合の反対はこの対数となる。
分かりやすく言えば割り算で言うところの割る数を求めるようなものである。割られる数÷商=割る数。
具体的には、「a=(bのx乗)」である時のxを求めたい時に用いる計算、およびその時のxの事である。
ここではテキストの制限で正確な式の表現ができないが、この例の場合は以下のような感じの表現がなされる。
x=log_b(a)
例えば「log_2(8)」は、「2を冪乗して8にするような数」を意味し、それはすなわち3となる。
ここでbは「底(てい)」、aは「真数(しんすう)」と呼ばれ、xが対数となる。
こういう計算は「aの対数を取る」という表現がなされる。
「指数の反対」的な表現もなされるが、指数が冪乗の際の右上に小さく書かれた数を意味しているのに対し、対数は結果の数となっているので、意味としては対応していない。
対数を
f(x) = log_b(x)
のような形で関数としたものは対数関数と呼ばれ、これは指数関数の逆関数となる。
底を省略して表現される事も多いが、この場合、後述の常用対数の事を指す場合もあれば、自然対数を指す場合もあり、どちらを意味するかは注意書きなどで判断する必要がある。
人間の感覚にも密接なものであり、震度(震度階級)やデシベルも対数によるものである。
基本的な性質
- 積の対数は対数の和となる。
log_c(a×b) = log_c(a) + log_c(b)
- 冪乗の対数を取ると積となる。
log_c(aのb乗) = b×log_c(a)
- 底は対数の割り算で表現できる。
log_b(a) = log_c(a)÷log_c(b)
常用対数
底が10の場合は常用対数と呼ばれる。
常用対数を用いると、十進法における桁数を取得する事ができる。
例えば、Aという数の桁数を取得したい時は、「log(A) + 1」の小数点以下を切り落としてやれば、それがAの桁数となる。
これを用いたグラフ用紙も存在しており、縦か横の片方のみが常用対数のものは片対数グラフ、両方とも常用対数となってるものは両対数グラフと呼ばれ、幅広く用いられている。
自然対数
底がネイピア数(e≒2.718)の場合は自然対数と呼ばれ、微積分において特異な性質を持っている。
logの代わりに「log natural」を意味する「ln」が用いられる事もある。
複素数への拡張
真数として指定できるのは通常は正の数であるが、0の場合は-∞に発散する事を除けば、負の数や虚数を指定した場合についても論じる事ができ、出力は以下のような複素数の範囲で表現できる。
log(a+bi) = log|a+bi| + i×arg(a+bi)
このargというのは「偏角」と呼ばれるもので、複素数平面上において実軸と成す角度を意味している。