概要
2乗してマイナスになるような数(√-1など)は数直線上には存在しないが、このような数を虚数と言う。
対して、数直線上に存在する数は実数と呼ばれ、合わせて複素数と言う。
正の数も負の数もあくまで実数であり、虚数はそのどちらでも無いとされる。
中学の数学においては「解が存在しない証拠」として、空虚なもののように扱われるが、面白い性質があったり、意外な応用が可能となったりしている(その辺については複素数の方で少し触れる)。
英語ではImaginary number(イマジナリーナンバー)と呼ばれ、空想の上の数という事で、虚数よりはポジティブな表現となっている。
無理数の種類は有理数に比べて膨大であったが、虚数の種類は意外と少なく、2つの実数によって全て表現できる(四元数なども含めた場合はその限りでは無いが)。
具体的には、まず-1のルートをiと置き、2つの実数をa,bと置いて、a+biという形となる。
正確にはb=0では実数となってしまうためb≠0という条件が付き、条件が付かなければ複素数である。
2乗して虚数になるような数はと言うと、これもまた虚数となり、例えばiの平方根は1/√2±i/√2となる。
そして虚数乗も複素数の範疇となっている。
虚数の中でも、a=0であるものは特に純虚数と呼ばれる。
2乗してマイナスになる数というのは、虚数の中でも特に純虚数の事となっている。
現実世界における虚数
正直なところ、虚数は私たちの生活に「直接は」関わっていない。身の回りにある数は実数であることが前提とされているからだ。
ただ複素数の記事にもある通り、物理学になると話は別で、
x = Ae^(iωt) {Aは振幅}
を振動を表す関数として観測することができる。
これに多く利用されている例が交流電流である。電流を流す際に必要となるものであるインピーダンス(≒抵抗)の公式が
R+iωL {Rは抵抗、Lはインダクタンス}
として表される。
コンセントから流れる電流は交流なので虚数がツールとして機能することで初めて、私達の身近であるパソコンやスマホの制作に大きく貢献しているといえる。
又、量子学において粒子は波として振動するという性質を持ち、量子の状態を判別する式としてシュレーディンガー方程式というものがある。
シュレーディンガー方程式は量子学の基本方程式であるため、虚数の重要性は高い。
研究者はこれから「虚数情報が異なることで現実で判別される情報も異なるのではないか」との仮説を唱え、結論を出すための実験を重ねた。
そして2021年、実数部分を固定したもつれ状態の光子ペアの比較実験により、虚数情報に応じて2者の光子の状態の識別をすることに成功した。
この研究により、虚数は地球上の情報として「存在」することが証明された。