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概要編集

偶数奇数の範囲を合わせると整数の範囲に一致するのと同様に、実数虚数を合わせたものが複素数である。

あらゆる複素数は「a+bi」という形で表す事ができる(iは-1のルート、aとbは任意の実数)。

b=0の場合が実数であり、それ以外の場合が虚数である。


ここでaは「実部」(または実数部、リアルパート)と呼ばれ、bは「虚部」(または虚数部、イマジナリーパート)と呼ばれる。

虚数は正の数でも負の数でもないが、実部や虚部が正とか負とか言う事はできる。

iは「虚数単位」と呼ばれるが、電気の分野では交流電流を表す記号として既にiが用いられているため、代わりにjが虚数単位の記号として用いられる。

素数と付いてはいるが素数とは無関係であり、aとbという「複数要素を持つ数」といった意味合いとの事。

英語ではComplex number(コンプレックスナンバー)。


実数の平方根は(負の数の平方根が虚数となるので)実数とは限らないが、複素数の平方根は常に複素数である。

そして複素数の複素数乗もまた複素数である事が、「e^iθ=cosθ+i×sinθ」という関係(オイラーの公式)からわかる(ピク百の仕様の都合で、ここではaのb乗をa^bと表現している)。

同式によって、通常は正の数しか指定できないlogにも0以外の複素数を指定できるようになり、通常は-1~1の範囲しか取らないsincosもあらゆる複素数を取れるようになる。

このように、実数を複素数に拡張する事によって、より完成された体系ができあがる。


応用例編集

aとbという2つの実数で構成されるため、(a,b)というベクトルに見立てて平面上で表現する事が可能である。

その平面は「複素数平面」と呼ばれ、x軸、y軸に対応するものは「実軸」(あるいは実数軸)、「虚軸」(あるいは虚数軸)と呼ばれる。

ここで、a+biという数にcosθ+i×sinθ(θは実数)を掛けると、その結果はa+biを複素数平面上において原点を中心にθだけ回転させた値となる。

このような性質上、極座標と相性が良い。


これに加えて、オイラーの公式によって三角関数指数関数の形で扱えるために、回転や周期関数を扱う際に非常に有用となっている。

電気回路の場合、コイルコンデンサが入っていると色々面倒になるが、複素数を用いた考え方においては、これらは抵抗の値を複素数に拡張しただけのものとして簡潔に扱う事ができるようになる事が多い(複素インピーダンス)。

あらゆる波形をsinとcosの組み合わせで表現するフーリエ級数というものがあるが、これも通常はsinの組み合わせとcosの組み合わせを別々に扱わなければならない所が、複素数を導入する事によって、一括でより綺麗な形で扱う事ができるようになる。


ある種の数式の上では、時間空間もまた実数と虚数の関係となっている。


補足編集

複素数の絶対値は|a+bi|=√(a^2+b^2)とされており、これは複素数平面上における原点との距離である。

一方、実軸の正の方向と成す角度は「偏角」と呼ばれ、arg(a+bi)と表現される。

例えばarg(1+i)=arg(5+5i)=π/4(=45°)であり、aが正の場合についてはarg(a+bi)=arctan(b/a)となる。

C言語などではarg(a+bi)=atan2(b,a)である。


a+biに対し、虚部の符号を反転したa-biを掛けると、絶対値の2乗であるa^2+b^2となるが、この時、a-biはa+biの「共役複素数」と呼ばれ、そういう意味での共役は特に「複素共役」と呼ばれる(a+biもまたa-biの共役複素数である)。

ある複素数の上に横棒を引くと、その複素数の共役複素数の意味となる。


Reで実部を、Imで虚部を表す事ができ、例えばRe(a+bi)=a、Im(a+bi)=bとなる。


実数を要素に持つ行列で代用する方法も存在する。

例えばa+biならば、上の行が(a -b)、下の行が(b a)の正方行列に置き換える事ができる。


拡張編集

数直線が複素数平面に拡張されたのならば、次は複素数空間に拡張したくなるものであるが、これに該当するものとしてはウィリアム・ローワン・ハミルトンによって発明された「四元数」が存在。

四元数はi^2=j^2=k^2=ijk=-1で表現されるi、j、kを用いたa+bi+cj+dkによって表現される数であり、1つの実部と3種の虚部で構成されるために「四元」である。

複素数までとの目立った違いとして、四元数においては掛け算に関する交換法則は成り立たない

例えばij=-jiとなっているため注意が要る。


四元て事で一気に四次元となってしまっているが、三次元における回転を扱う際に非常に有用となっている。

例えば、(a,b,c)という座標を(d,e,f)という方向の軸に対してθ°回したい際には、g=(di+ej+fk)/√(d^2+e^2+f^2)とおいて、

(cos(θ/2)+g×sin(θ/2))(ai+bj+ck)(cos(θ/2)-g×sin(θ/2))

を計算すれば、結果のi,j,kの係数が、求めたい座標のx,y,zとなる。


四元数も広義には複素数の一種とされる事があり、対して通常の複素数は「二元数」と呼ばれる。

ただ二元数と言うと、また別の複素数の変種の意味合いを含んでいる事もある。

更に「八元数」なども存在している。


関連タグ編集

 数学 複素数平面 平面 二次元 ベクトル 回転 極座標

実数 虚数 マンデルブロ集合 ジュリア集合


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