概要
直角三角形の3つの辺の比で定義されるもので、主にサイン(sin)、コサイン(cos)、タンジェント(tan)の事である。
三角比とほぼ同義であり、三角比を角度の関数と見た場合に特にこう呼ばれる。
サイン
「正弦」とも呼ばれ、直角三角形の片方の鋭角をθとした場合、そのθと向かい合う辺の長さを、斜辺の長さで割った値がsinθと表現される。
例えばsin30°=1/2であり、sin0°=0である。
直角三角形は斜辺が常に一番長いため、sinθの値は、θが幾つであっても-1~1の範囲しか取らない。
y=sinxとして平面上で表現すると、一般的な波のような形となる。
この形は「正弦曲線」「サインカーブ」などと呼ばれ、そういう形の波は「正弦波」「サイン波」などと呼ばれる。
下のコサインと共に、円運動や振り子運動などの周期的な運動を表すのに必須である。
sinxのn乗は通常、sinx^nでは無くsin^nxと表現される。
ただし、sin^(-1)xとした場合は大抵、後述の逆三角関数の意味合いとされるため注意が要る。
コサイン
θと隣り合う斜辺でない方の辺の長さを、斜辺の長さで割ったものであり、「余弦」とも呼ばれる。
y=cosxの形は、y=sinxが少しずれただけのものであるが、(x,y)=(cosθ,sinθ)とすると円を描く事ができ、(x,y)=(acosθ,bsinθ)ならば(長径がx軸かy軸に平行な)楕円となる。
タンジェント・他
θに向かい合う辺を、隣り合う斜辺でない辺で割ったものであり、「正接」とも呼ばれる。
y=tanxは、-∞から+∞へ何度も走るような形となっている。
sin、cos、tanがどことどこの比なのかの覚え方としては、下図のように、それぞれの頭文字であるs、c、tの筆記体の形になぞらえたものが有名。
各々、割る数と割られる数を逆にしたものとして、cosec(csc、コセカント、余割)、sec(セカント、正割)、cot(コタンジェント、余接)も存在するが、普通は使われない。
逆関数
三角関数の逆関数は逆三角関数と呼ばれ、各々は元の関数に「アーク」を接頭した名でよく呼ばれる。
sinの逆関数なら「アークサイン」と呼ばれ、arcsin、sin^(-1)などと表記される。
複素数への拡張
指数関数とは「e^(iθ)=cosθ+i×sinθ」という関係があるとされる(オイラーの公式)。
これに基づけば、θを複素数に拡張する事により、sinやcosは-1~1の範囲外の値も取る事ができるようになる。
これを変形するとsinθ=(e^(iθ)-e^(-iθ))/2i、cosθ=(e^(iθ)+e^(-iθ))/2となる。
これに対し、「e^θ=coshθ+sinhθ)」で表現されるsinhやcoshは双曲線関数と呼ばれる。
基本的な関係
だいたいの公式は以下から出て来るため、物によっては導き方さえ理解しておけば良い場合もある。
- sin(x+90°)=cosx
- cos(x+90°)=-sinx
- sin(-x)=-sinx … 奇関数であるという事
- cos(-x)=cosx … 偶関数であるという事
- tanx=sinx/cosx … 定義からズバリ
- sin^2x+cos^2x=1 … 三平方の定理と関係
- sin(x+y)=sinxcosy+cosxsiny
- cos(x+y)=cosxcosy-sinxsiny
- dsinx/dx=cosx
- dcosx/dx=-sinx
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正弦定理 余弦定理 加法定理 三平方の定理/ピタゴラスの定理
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