解説
フィクション(物語)の舞台設定(世界観)は、多種多様であり、その中でも「現代日本」と称されるものがある。
おおむね、20世紀末(1990年代)から21世紀初頭(2010年代)の日本を舞台にした場合に用いられるが、時代設定の基準は、時を経るごとに変化していく。
連載が長期にわたる作品の場合は、キャラクターは加齢せず、文化が変化していく(携帯電話からスマートフォンに持ち替えるなど)
フィクションにおける「現代日本」の特徴
以下は現時点(2021年)におけるものであり、今後変化していく。ただし、作品によって、あえて変えられている特徴もあり、それが作品の特徴でもある。
- 国政は衆議院・参議院の二院制である
- 都道府県の数は47。首都は東京都。
- 個人の交通手段としては、自転車・バイク・自動車。公共交通機関としては電車(新幹線)・バス・飛行機・船などがある。個人単位で空を飛ぶ機器は普及していない。
- 貨幣単価は円。
- 個人の通信手段として、携帯電話またはスマートフォンがある。LINEなどのメッセージングアプリが普及している。
- 教育制度は、小学校・中学校・高等学校・大学をベースとする。
- 男女の人口比はおおむね1:1
- 年齢での制限は以下の通り。
労働 | 13歳 |
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原付免許取得、結婚(女性) | 16歳 |
結婚(男性)、自動車免許取得、選挙への投票権、成年向け作品の閲覧 | 18歳 |
飲酒喫煙 | 20歳 |
飲食物やテレビ番組、ファッションなどは流行が目まぐるしいため、その作品がいつ作られたのかを判別できる要素でもある。
「現代」とは「いつ」か
「現代」がいつを指すのかは、その物語がいつ制作されたのか、読者(及びそれに準ずる視点)がいつ物語を評価しているのか、によって変わってくる。
例えば1950年の日本を舞台にした物語でも、出版されたのが1950年ならば「現代日本を舞台にした物語」と称されていてもおかしくはない。
だが、同じ物語でも、2000年時点に評価する場合は、「現代日本を舞台にした物語」と称するのは難しいだろう。
逆に、2021年を舞台にした物語が2021年に出版されたのならば、「現代日本を舞台にした物語」といって差し支えない。
が、その物語が200年後に読まれた場合は、その限りではない。
このように、制作者によって「現代日本を舞台にした物語」と称されたものであっても、観測された時代によって、「現代日本を舞台にした物語」かどうかは変わっていくのである。
ただ、認識を共通しようとする者たちは同じ時間においてその物語を観測するので、その者たちの間で「これは『現代日本を舞台にした物語』か否か」という認識に齟齬は発生しないだろう。
劇中世界における「現代日本」
物語の中にいる者=キャラクターが「現代日本」という表現を用いることがある。
例えば異世界や異星、異なる時代などに移動した場合、その土地や時代の文化を比較評価するときである。
その場合は、そのキャラクターが(異世界・異星・異時代に来る前に)生きていた時代が「現代」ということになる。
特に読者への説明を必要としないため、割と安易に使われる表現方法であるが、物語が長く伝えられることを考えると、あまり多用しないほうが良いのかもしれない。