土葬とは、葬送手段の一つである。
概説
最も原始的な葬送方法の一つであり、人類が進化する中で最初に覚えたであろう「葬式」の形態と思われる。すでに旧石器時代から、土葬によって葬られた形跡は各地で見つかっている。
かつては全世界的に土葬が主流であり、今もイスラム教の影響が強い地域では土葬率が100%に近い。
しかしイスラム教以外の地域では土中に50kg以上の有機物を埋めることによる土壌・地下水汚染や土地不足などを理由に火葬へと主軸が変わりつつある。
土葬の東西事情
西洋の土葬は一般的に棺桶に入れる前に、エンバーミングなどの防腐処理を施し、遺体が出来るだけ傷まないようにしてから埋葬する。
これはキリスト教において、「死者は最後の審判の日に蘇って救世主による裁定を受ける」と教義されていることの影響が強いためである。
そのため罪人への遺体の損壊や火葬は、中世までは「最後の審判での復活を認めない」非常に重い罰であった。
ユダヤ教やイスラム教も含め、アブラハムの宗教にこうした教理は多い。
一方、東洋の土葬は墳墓で一族をまとめて埋葬する。
さらに日本は特殊で、江戸時代以降、人口の増加に伴い墓地の需要も増していき、死者一人に一つの墓をあてがう面積が減少したため、遺体を地中で白骨化させてからもう一度埋め直すという手法を採用している。
具体的には――
- 葬儀後、棺桶を墓まで持っていき埋葬する。
- 埋葬時に、掘り上げた土で「土饅頭(土の山)」を盛る。
- 遺体が腐敗し、棺桶の蓋と土饅頭を支えきれなくなり、土饅頭が陥没する。
- さらに数日おいて白骨化させてから、棺桶から骨を取り出す。
- 骨に付いた泥や遺髪などの汚れを洗い落とし、骨壺に収める。骨を洗うのは喪主やその長男の仕事。
このプロセスは地域によっては昭和時代末期まで続いた地域もあり(編者の地元がそれに当たる)、日本中に火葬が普及したのは平成時代を前後するまでかかった。