概要
漫画『寄生獣』に登場するキャラクター。日本政府が「パラサイト」と呼称している。
ある日突然地球上のどこかで発生し、人口の多い都市部などに飛来することになる。
寄生した人間の脳を奪って、体を乗っ取ってしまう謎の生命体である。
パラサイトが肉体を奪うことに成功した際に沸き起こる本能(田村玲子曰く「命令」)は、
「この種を食い殺せ」(人間を捕食せよ)だという。
よってパラサイトによる残虐な殺人事件が世界中で起こることとなる。
毬栗か毬藻に見える卵のようなものから産まれた先端がドリル状になっているミミズに似た生物で、宿主となる生物を見つけるとその生物の耳穴か鼻孔から対象の体内に侵入する(そこからの寄生が困難な場合は対象の皮膚を直接突き破ってその体内への侵入を試みることがある)。
パラサイトの特殊能力は、「寄生した生物の体組織を意のままに操る」というものである。パラサイトは寄生した生物の脳を中心に肉体を支配するため、主に頭部の体組織を自在に変身させることが可能となる。細胞一つ一つが生きている状態であるため、粘土細工のように肉体を変形させることで瞬時に人間を捕食することが可能であり、金属を切り裂くほどの強度を持った爪や牙を精製することも出来る。一方で寄生生物の宿命には抗えず、宿主から切り離されてしまうと間を持たず死んでしまう。
何より厄介なのは、パラサイトには人間並かそれ以上の知性があるという点である。寄生直後は生物としての本能に突き動かされるだけだが、やがて周囲の状況や人間の生態を”学習”し、より高度なやり方で人間を捕食するようになるのだ。
作中に登場する代表的なパラサイトに「ミギー」「田村玲子」「後藤」「島田秀雄」などがいる。
いずれも自己中心的で冷酷であり、人間の感情をあまり理解することができない(名前の必要性がわからない、味覚への頓着が乏しいなど)。
長期間生存した個体ならある程度人間らしい振る舞いや感情表現が出来るが、あくまで知識を基に真似したものでしかない為人間から見てどこか不自然なものとなる。
また自己の生存本能が強く、自分の個体を守るためなら同じパラサイトであっても殺す事をためらわない。同族意識も希薄であり、パラサイト同士が仲間になったり徒党を組むことはあまりない。
ただ、パラサイトの中には、人間とは物事の受け取め方や経緯はズレているものの、知識欲や生存本能の延長で人間の感情を自分なりに汲む者や、それなりの協調性などを覗かせる者もいる。
一方で、パラサイトには生命にはもっとも重要なはずの“繁殖能力が見られない”という、生物としては致命的な欠陥を抱えている。
この手の寄生生物を題材にした作品では、よく“寄生体が宿主の体を媒体に幼体を多数生み落としてさらにその数を増やしていく”という展開が定石だが、本作におけるパラサイトにはそんなケースは一切無く、劇中に登場したものはミギーをはじめとする最初に誕生した世代のみである。
玲子という女性の体を乗っ取ったパラサイトは同じパラサイト化した男性との間に子供を儲けているが、母体の生殖機能は全くパラサイトの影響を受けておらず、その子供は生物的には普通の人間であり、どうやってパラサイトが繁殖するのか、そもそも繁殖できるのかといった部分は何一つ明らかにされることはなかった。
加えて上記の玲子の件も別に自分たちの繁殖のためだからではなく、あくまで“人間という生物の生殖に興味があったから試しただけ”に過ぎないとし、パラサイト自体は個体レベルでの生存本能こそ高いものの、自種族全体の拡散および繁栄という概念に対しては最後まで無頓着なままであった。
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