運命(ムジカート)
うんめい
概要
音楽を力とする少女、「ムジカート」の一人。
ベートーヴェンの「交響曲第5番ハ短調Op.67 / 運命」をその身に宿している。
アニメとゲームで声優が異なり、ゲーム版運命の声であった本渡楓氏はアニメで別のキャラクターを担当している。
ゲーム
CV. 本渡楓
淑やかな少女。声を荒げることなどは少なく、振る舞いも優雅。しかし、自分の中の価値観に従って動くので、物腰は柔らかいが融通がきかない。少し天然じみたところがあり、とんでもなくズレたことを言ってしまうことも。
彼女を演じる本渡氏は、インタビュー記事にて「理性的で冷静、感情をあまり表に出さない」「ルールを重んじるタイプで、自分にもすごく厳しい子」と語っている。
アニメ
CV. 若山詩音
D2の襲撃によって瀕死の重傷を負ったコゼットの身体と、彼女が身につけていたハルモニア鉱石と思しきペンダントを媒体に顕現したムジカート。
契約の際、同じく襲撃に巻き込まれた朝雛タクトの右腕を捕食、彼を「マエストロ」と呼んでいる。
元気で表情豊かだったコゼットの人格は完全に上書きされているようで、物語前半時点では常に無表情。一人称もコゼットの「私」から「わたくし」となり、機械的で慇懃な口調で話す。とはいえ無感情というわけではなく、話が進むにつれ淡々と冗談を飛ばしたり、アンナから食べ過ぎないよう指摘された途端に動揺して早口になった場面も。
性格は総じて「知性のある赤ん坊」といったところで、好奇心旺盛で遠慮知らず。特に甘味には目がなく、アンナが作ったタルトタタンをきっかけにその虜となった。本人いわく「日々、成長している」が、人間社会の常識を理解していないがゆえの奇行もチラホラ。特に、D2に反応して建築物の壁に穴を開けて飛び出していく姿は前半のお約束となっていた。
コンダクターであるタクトからはポンコツ呼ばわりされてはいるが、彼をピアノしか取り柄の無い駄目人間として淡々と詰り返すのにも遠慮は無い。だが同時に「マエストロ」としては認めており、互いに本音を言い合える関係と言える。
シンフォニカでも把握していない独自のプロセスを経て顕現したためか、不安定かつ未知の部分が多い。ピンクのかかった銀髪に赤いドレスの戦闘形態と、金髪の通常形態(所謂変身の概念)が存在するのも彼女のみ。ちなみに通常形態時のコゼットとの違いは、赤いカチューシャ、そして同じく赤いアイラインの入った水色の瞳。
戦闘時に消費するエネルギーの一部をタクトの生命力に依存しているがその持久力には難があり、それを補うためか高カロリーの菓子類をしばしば暴食している。
ムジカートとしての行動原理は愚直なまでに純粋。「D2を殲滅し、人間を守る」という使命に極めて忠実で、敵の存在を察知すれば一直線に突撃する脳筋。レニーいわくムジカートとしての本能が特に強いせいらしいが、彼女を指揮するタクトがロクに制止しないのも無関係ではないだろう。
使用武器は大剣にも変形する狙撃銃。切り替える事で遠近両用の万能武器となる筈だが、出力調整と命中精度に揃って課題を抱えている。最初はタクトのリスクも気にせず高火力の攻撃を乱発していたが、話が進むにつれある程度効率と精度の高い狙撃ができるようになった。
アンナから「妹」という役割を求められている事をとりあえずは理解しており、彼女を「(アンナ)お姉ちゃん」と呼ぶようにしている。一方で、運命自身は純粋にアンナを慕っているのも確か。
甘味へ執着するきっかけとなったタルトタタンが、コゼットとアンナにとって思い出のお菓子である事や、アンナにD2が迫った際に誰よりも早く駆け付けた姿など、コゼットの影響と思われる部分はある様子。
当初は甘味や戦闘にしか興味がなかったものの、話が進むにつれ人間味を帯び、表情や抑揚に変化が出始めた他、人助け等の思いやりある行動を取るようになった。そしてムジカートとしてタクトの奏でる音楽を守りたい、音楽家としての彼を生かしたいと思う気持ちが強くなっていく。また、アンナから「コゼット」と呼ばれなくなったことから、「コゼットの代わり」としての自身の扱いに思うところが出始めていた。
そしてシントラーと地獄との戦いを経て、「お前」「ポンコツムジカート」呼びしていたタクトから初めて「運命」と名前で呼ばれる。彼の生命力を使うことへの罪悪感を乗り越えた末「マエストロの作った曲を聴きたい」という願いを口にし彼と共に戦う覚悟を決める。
そして帰還後、アンナからもコゼットの代わりとして扱っていたことを謝罪され、「コゼット」ではなく「運命」と呼ばせてほしい旨を告げられる。そして「自分もアンナと呼び捨てした方がいいのか」という問いに答えられる形で運命からアンナへの「お姉ちゃん」呼びは継続となり、運命自身のアンナを慕う気持ちが受け止められ、彼女に正式な妹として迎え入れられる。運命もアンナの抱擁に頬を染めて応じ、関係が大きく進展した。
物語が進むにつれタクトの痣は左腕から徐々に全身を侵蝕。ニューヨークに着いてアンナの姉・ロッテの診断を受けた結果、タクト共々複雑なバランスで存在を維持していることが判り、戦いを続ければ共倒れになってしまうことが語られる。
戦わずに残りの時を過ごす道も提示されるが、タクト共々音楽を取り戻したい気持ちに変わりはなく「D2を全て倒し音楽を取り戻したらここでオーケストラを聴く」約束をセントラルパークでタクトと交わす。
しかしシンフォニカ所属のグランドマエストロ・ザーガンが、人知れずアメリカに集めたD2を国民諸共滅ぼす計画を立てており……
ゲーム版とアニメ版の違い
前述の通り演じている声優が異なっている事に加え、髪型・体躯も異なっている。
コゼットをベースにしているアニメ版は彼女に近いストレートヘア・華奢で小柄な体躯だが、ゲーム版は内ハネの髪質・大人びた体躯に長身とデザインが大きく異なっている。ゲーム版はアニメで本渡氏が演じている“彼女”に近い印象を受けるが……?
公式PV
イラストメイキング
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以下アニメ最終回のネタバレ注意
ザーガン、そして天国と地獄が合体したムジカート・地獄のオルフェとの戦いを終え、満身創痍で浜辺に横たわるタクトと運命。
タクトは「自作の曲を運命に聞かせる」約束をワンフレーズを歌う形で果たし、互いにそう長くないことをわかっていながら、いつものように憎まれ口を叩き合い静かに眠りにつく。
タクトの右腕のあるべき場所を握りしめ、彼の白くなった髪を横に長し安らかな寝顔を見つめる運命。彼が運命に生命力を与え身を賭して戦った証である、今や顔の殆どを蝕んだ赤い痣と素肌の境に触れ、生まれて初めての涙を流す。
切なげに、愛おしげに彼に近づき、長いキスを捧げる運命。
「タクト。あなたのことが、好きです」
そして初めてタクトの名を呼び、赤い花弁と共に消滅。
「知性のある赤ん坊」であった彼女は、世界に触れ、心を知り、これまでで一番の笑顔を浮かべ愛の言葉と共に消えたのだった。
二人きりの白い空間。
変身が解かれた姿で、手を繋ぐタクトと彼女。
赤いカチューシャ、水色の瞳、物語前半で着ていた白いワンピースと運命の特徴を持ちながら、コゼットを思わせるアイラインのない瞳と人間味ある仕草で”彼女”はタクトに何かを話し、彼の右手に”あるもの”を託す。
場面は変わり現実世界。
右腕を還されたタクトは、息のある状態でシンフォニカに発見される。彼の右手には、運命の使っていた銃を思わせる金色のドッグタグのようなものが遺されていた。
タクトの生命力を糧に活動していた運命は、自身が消えることでタクトの命を繋いだ。
上記の「赤いカチューシャを付けたアイラインのない彼女」はおそらく運命・コゼット双方の意思が現れた状態であり、彼女らの意向(願い)でタクトが生かされたと見ることができる。
ドッグタグについても、コゼットが身に着けていたハルモニア鉱石と同じ金色であることから「コゼットが身に着けていたハルモニア鉱石に、運命の力や思念が加わったもの」と考えることができるだろう。
ロッテらシンフォニカにコールドスリープ処置を施され、長い眠りにつくことになったタクト。そしてドッグタグは「彼女」の手に渡り……。
アニメ『takt op.Destiny』は、ゲームとアニメで「運命」の声と姿が異なる理由で締めくくられることになる。