CV.日野聡
概要
ニューヨーク・シンフォニカに所属するムジカート「巨人」を従えるコンダクター。愛称はレニー。
大柄で強靭そうな体格と厳つい顔つきの容姿とは裏腹に、女性のような常に柔和な言葉遣いで物腰の柔らかい、面倒見の良い頼れるオネエ系な人物。一人称は「私」。これまでもコンダクターとして多くの人助けを重ねてきたようで、ラスベガスでトウモロコシ農園を営む人々に再会した際の慕われぶりからもその人望がうかがえる。
コゼットを素体として覚醒したムジカート「運命」とタクトがD2と交戦している場面に居合わせ、D2掃討に加勢。巨人との見事なコンビネーションでD2を殲滅し、力尽きて倒れたタクトと運命を救助した。後日彼らにタクトと運命の一通りの状況を説明し、暫くはニューヨークに向かうアンナ、タクト、運命にラスベガスまで同行。その間にタクトと運命に先輩としてコンダクター・ムジカートとしての教育を施し、以後の行動の指針を与えた。そんな経緯もあってか二人をアンナも含めて「私の子供達」と冗談交じりに呼んでおり、タクトも憎まれ口を叩きながらもレニーを「先生」と内心では認めている。
普段は愛車の大型バイクに巨人を乗せ、シンフォニカ指揮下を離れて単独行動をとっている。二人の仲は良好で信頼関係も揺るぎなく、本編中では喧嘩や不調和は一切見せることはなかった。
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ネタバレ
コンダクターになる以前のレニーはチェロ奏者であった。
タクトの父である朝雛ケンジの指揮するオーケストラの演奏を聞き、ケンジの指揮と音に光を見出だして感激、自分も誰かの為に光になりたいと彼に弟子入り。ケンジの気さくな人柄から、その師弟関係は友人関係のようでもあり、レニーには得難い想い出の日々となった。
ボストンでの惨劇の場にも居合せ瓦礫の下敷きで負傷しており、その折に師であるケンジを守れなかった事を悔やみ、遺族であるタクトの元に謝罪に赴くも、悲嘆に暮れてピアノに向かう彼の姿をガレージの窓越しに見て、自分がすべき事は彼に詫びる事ではなく、彼が心からの音色を奏でる事が出来る世界を創り出す事だと思い直す。そしてニューヨーク・シンフォニカのグランドマエストロであるザーガンからの申し出を受け、D2を殲滅すべくコンダクターとなった。
そして巨人との初対面を迎えるが、彼女に笑わない事を指摘され、今はそんな気分ではないことを伝えると「レニーが悲しい時はその分だけ自分が笑顔になり、悲しい思いにさせないようにする」と巨人に笑顔で約束される。心を動かされたレニーも「巨人が悲しい時はその分だけ笑顔になる」と約束、以来彼女と強固な信頼関係を築いて共にD2殲滅戦を戦い抜いてきた。
D2殲滅戦も一段落し、戦いが終わればまた音楽家に戻るつもりであったが、D2を引き寄せる音叉を聞き、それからはシンフォニカの指揮系統を離れ、シンフォニカの内偵を行う為に巨人と共に調査の旅を続けていた。
そしてザーガンがボストンの悲劇、現在のD2の活動の再開、更にこれから起ころうとしているニューヨークでの惨劇の黒幕である事を知るにつれ、彼と決着を付けるべくニューヨークに辿り着くも、シンフォニカの最高権力者であるザーガンを敵に回して勝つ困難さも理解していた。巨人との旅も、彼女の「戦いが終わったら海の向こうや色んな所に行ってみたい」という願いを生きているうちに少しでも叶えさせようという気持ちがあったのかもしれない。
それ故か、タクトに電話でシュナイダー家の皆とニューヨークから離れる事を忠告した折に、まるで今生の別れのようだと彼に指摘されるもはぐらかそうとしたり、巨人の「(レニーと一緒だとなんだって美味しいから)これからも一緒に食べよう」の言葉にも返事を返さなかった。
先の電話でタクトに「マエストロ」と呼ばれた上で全てを話して欲しいと言われ、コンダクターとして真実を知る覚悟が彼にある事を確認した後に、タクトに真相を話すべく巨人と共に彼との待ち合わせの場所に赴くも、その場にはザーガンも天国、地獄と共に現れ、「これまで通りに友人としての関係を続ける選択もある」と提案してくるが、レニーはそれを拒絶。巨人、タクト、運命と共に交戦を開始する。
だが善戦していた戦局も、タクトが力尽き、その為に運命も戦闘形態を解除されてからは一転。孤軍奮闘する巨人が地獄に阻止されて救援できないなか、タクトが天国に止めを刺されようとする状況で、レニーは師を守れなかった無念を繰り返さない為、誓約を守る為にタクトの盾となって天国の銃弾を受ける。
だが、それでも屈せずに指揮を続け、巨人に切り札を使わせる事で天国、地獄と互角以上の戦いを彼女に演じさせ、天国を戦闘不能に追い込んだ。
彼の善戦に敬意を表してザーガンは撤退。残されたレニーは巨人から涙を零されながらも笑顔を向けられたのに対して笑顔を返して約束を守り、タクトが運命のお蔭もあって立派な音楽家の顔になり、そして自分も含まれる曲を作曲している事を知り、誓いを果たした事を悟る。巨人、タクト、運命に看取られながら、満足気にその闘いを終えた。
最期に彼が見たものは、どこかのステージで、タクトのピアノと自分のチェロで曲を奏でるあり得たかもしれない未来。
そしてステージの"向こう側"にいたケンジに「良い音楽だったよ、レニー」と褒められ、自身も師の側に歩いていった。
余談
名前の由来は、実在の指揮者:レナード・バーンスタイン。そして彼がベルリンの壁崩壊直後の特別演奏会で、ベートーベン『第九』第四楽章「歓喜の歌」の歌詞”フロイデ(喜び)”を”フライハート(自由)”に書き換えた逸話からと思われる。レニーのキャラクター造形も、バーンスタインが同性愛者であったことに由来していると考えられる。
レニーの最期が描かれた10話では、レナード・バーンスタイン指揮の音源が挿入曲に使用された。