CV.本渡楓
概要
朝雛タクトの幼馴染であり、コゼット・シュナイダーの「姉」。名家の生まれで、ニューヨークには両親とシンフォニカに勤める実姉のシャルロッテがいる。
彼女の両親がタクトを気にかけており、タクトの父朝雛ケンジの葬儀に幼いアンナも姉のシャルロッテと共に参列しており、また彼女もケンジの事を「ケンおじさん」と呼んでいる事から、朝雛家とシュナイダー家は家族ぐるみの付き合いであったらしい(6話に登場したケンジの楽団の写真にはシュナイダー姉妹の母親と思しきコントラバス奏者が映っており、彼女とケンジの縁が元で親しくなった可能性がある)。
ニューヨークにいる家族と離れてコゼットと暮らしていたのは、タクトを気にかけての事であるようで、家のガレージに籠ってピアノを弾いてるばかりの彼にコゼットと共に食事を持って行ったり、週に一度はガレージの掃除をしたりと面倒を見ていた。それだけに料理、家事や車の運転、修理など本人は一通りの事はこなせ、しっかり者であると同時に明るく、タクトだけでなく誰に対しても面倒見の良い優しい性格をしている。
シュナイダー家に引き取られ義妹となったコゼットを溺愛しており、コゼットのタクトに対する好意を温かく見守っていたが、2047年8月16日、D2の襲撃でタクトを庇い瀕死の重傷を負ったコゼットが魂は別人格のムジカート・運命と化す。
シンフォニカならコゼットを元に戻せるかも知れないとタクト、運命と共にニューヨークを目指して旅を始めるが、今までは変人はタクトだけであったのが、まだ人間社会をよく理解していない運命もそれに加わり、会話が噛み合わない、誰も自分の話を聞いてくれないなど悩みを抱える苦労人。火急の時に(扉を開けてでなく)家屋の一部を破壊して飛び出す運命に対し、「コゼット~」と何とも言えない声を出して悲嘆に暮れるのは前半のお約束であった。
運命に対してはコゼットを失ったという現実から目を背け、あくまでも「コゼット」と呼び接し運命にも自身を「(アンナ)お姉ちゃん」と呼ばせていたが、次第に人間味を得た運命の人格を認めざるを得なくなり、シンフォニカのシントラーと地獄の襲撃を受けてタクトと運命が帰らなかった折に、運命の身を案じ、同時に彼女をコゼットの代わり扱いしていた自分の非を痛感。帰還した運命に、これからは「運命」と呼ばせてほしい旨を告げ涙と共に抱き締めた。
なお、運命からの「お姉ちゃん」呼びに関しては「自分もアンナを呼び捨てした方がいいのか」という彼女に答える形で継続となっている。運命を「コゼットの代わり」ではなく正式に妹として迎え入れ、及び純粋にアンナを慕う彼女の気持ちを受け止めたものと思われる。
声優の本渡氏はゲーム版の運命を演じており、ゲーム版運命は内ハネ・長身・大人びた体躯、アニメ版運命は外ハネ・小柄・華奢な体躯と、両者のデザインにも差異が見られる。
ゲーム版運命の声・髪質・体躯にはアンナとの共通点がいくつか見られるが……?
関連タグ
taktop. 朝雛タクト コゼット・シュナイダー シャルロッテ・シュナイダー
以下最終回のネタバレ注意
これまでの戦いに加え、ザーガン、地獄のオルフェとの決戦を経たことで瀕死の状態となったタクト。
そして、タクトの命を繋ぐため、ムジカートの力の源・『f字孔』を遺し、彼に右腕を返して消えた運命。
タクトはコールドスリープ処置を施され、長期に渡ってシンフォニカの治療を受けることになる。
戦いから2ヶ月後、2047年12月22日。
タクトが眠り、コゼット、運命という2人の”妹”がこの世を去り、一人残されたアンナは幼少期からポニーテールにしていた長髪を切り、シンフォニカへの所属を決めた。
タクトが目覚めるまでただ待つのではなく、治療を終え目を覚ました彼が自由に音楽ができるように、やれるだけのことをやっておきたい。
それが運命、そしてコゼットから託された願いと信じて。
アニメ公式サイトの「Intermezzo」では、最終決戦、そしてタクトの残した楽譜を見てシンフォニカ所属を決意するまでの彼女の心情が描かれている。
いつまでも悲しみに沈んでいるわけにもいかない。
わたしは戦わなければならない。
音楽はまだ戻ってきてはいない。
彼らが命を賭して守ったものがなんだったのか。
示さなければならない。
届けなければならない。
いずれ目覚めるであろう彼に、音楽を。
わたしは進む。この先に。
音楽を届けるために。
愛を伝えるために。
彼がたとえすべてを忘れていたとしても。
彼がたとえすべてを喪っていたとしても。
Show must go on.
音楽は、生き続けるのだから。
一人シンフォニカを歩くアンナは、新たな姿に自らを変える。
「行きましょう、コゼット。……運命!」
ここで、アニメ『takt op.Destiny』の物語は幕を閉じる。
ゲーム版運命の声優がアンナ役の本渡氏であり、またゲーム版運命の容姿がアンナを思わせるのも他ならぬアンナがゲーム『takt op.』の運命(の素体)だからであり、アニメはゲームの前日譚であることが正式に明らかになった。
彼女の胸元にはアニメ版運命の遺したf字孔が下げられており、アンナが「運命」を継いだ媒体になったと思われる。
また、アニメの描写やゲーム公式サイトの説明からムジカートは不老と明かされている(詳細はムジカートの項を参照)。
ゲーム版公式サイトによると、ゲームの時系列はアニメから20年経った2067年。アンナが人間を捨てムジカートになる道を選んだのは、コゼットと運命の遺志を継ぐ・タクトが音楽を奏でられる世界を自らの手で作ることは勿論、「何年、何十年でもタクトが目覚める時を待ち続ける」「タクトが目覚めた時、たとえ人間としての記憶がなくとも生きて傍にいたい」という思いもあったのかもしれない。
更に言うと、アニメ上ではアンナのシンフォニカ所属~運命への変化が(EDを挟み)シームレスに描かれているが、実はどの程度スパンがあったのかはハッキリしない。何故なら、アンナが運命に変わると同時に、背景も近代建築→ローマ風装飾に変わっている(=ニューヨーク・シンフォニカとは別の場所で運命に変化した可能性がある)ためである。
シンフォニカ所属後のアンナはシントラーやザーガン、本編前のレニーに近い軍服を着用していたためコンダクターになったと思われ、「暫くはコンダクターとして戦っていたが、何らかのトラブルや心境の変化が生じムジカートに転身した」可能性もゼロではない。
新たな「運命」と化した彼女に、アンナの記憶と人格はほとんど残っていない様子。
アニメ放送終了と同時に公開されたTVCM「あなたの音楽」篇では彼女にアンナとしての記憶があるとも取れるナレーションがされているが、ムジカートは人間時代の記憶と人格を失って生まれる。
ゲーム版公式サイトでも 「淑やかな少女。声を荒げることなどは少なく、振る舞いも優雅。しかし、自分の中の価値観に従って動くので、物腰は柔らかいが融通がきかない。少し天然じみたところがあり、とんでもなくズレたことを言ってしまうことも。」 とアンナの人物像とかけ離れた紹介がされており、インタビュー記事で本渡氏は、ゲーム版運命はワルキューレとタクトが邂逅した過去(アニメの出来事)の詳細を知らない=ゲーム版運命はアニメの出来事を(少なくとも明確には)覚えていないことを間接的に明かしている。
公式のイラストノベルやゲーム版のシナリオを見る限り、アンナとしての記憶は潜在意識として残っている、という状態が最も近いようである。
「おかえりなさい……朝雛タクト」