フランスの学者・オーギュスト・コント(1798-1857)の提唱した社会の状態、物事、人々の行動、心理による変化を対象とした学問、所謂、社会科とは違う。
概要
一言でいえば、人間が集まったり連携して行動したりすることで、人間が「個人」としているだけでは起こり得ない状態が発生する様を研究する学問である。
「社会」(Society)の語源であるラテン語societasは「親交」などを意味する言葉である。この人が集まっている、という現象を対象にすることから、同じような状況を扱う経済学や政治学などとは研究対象が被ることも多いものの、どちらかといえば会社や任意団体、文化など自生的に発生するものを扱うことが多い。
歴史
社会学は「社会」が自明でなくなった時に始まった、といえる。19世紀のヨーロッパでは各地でいわゆる「市民革命」がすすみ、身分制度が各地で崩れゆくなか、それまでの人々の行動を決めてきた秩序が自明な物ではなくなっていた。社会学はこの中で改めて「人々が集まった時に何が起こるのか」「そもそも人はなぜ秩序を保てるのか」という問いを元に成立する。
初期の影響を与えた研究者として知られるのはフランスのデュルケームである。もっともよく知られているのは「自殺論」である。各国やフランス国内の統計データを元に、個人の性質や心情に由来する説明に反論を加えたうえで、自殺理由を類型化した。この時彼が注目したのが「アノミー」(無規範)状態である。彼は個人的な理由を越えてアノミー状態が人々の自殺を招く場合があると論じ、この解消のために、かつてフランス革命の際に解体された、人々が帰属意識を持つ中間集団の再構築が必要とした。この時彼は、「社会」が機能不全の状況にあるという前提に立つ。
一方、「もしよく見られる特徴が人々の行動を貫いていたらどうなるのか」という点から「理念形」を構築し、人々に理念や行動の共有が与える結果を見ようとしたのがドイツのウェーバーである。もっともよく知られている『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』では、初期プロテスタントについての資料や書き残した手紙などからプロテスタンティズムがどのような理念や前提のもとにあったのか、という「理念系」を仮説だて、それをもとに、当時のドイツで「利益」を軽んじるはずのプロテスタントがなぜ商人や工業に進出しているのかという問いに答えようとした。
現代において
人々のトレンドや集団を分類し(○○世代、○○系など)、それに対して評論を加えるというなかなか恨まれやすい分野。
オタクなどサブカル文化を真面目に研究発表するには社会学を名乗るのが安牌な方法であるため、研究者には何かとオタク系の人が古くから多い。