概要
ローブル聖王国の兵士長にして、『九色』の黒を戴く弓の名手。その腕前は百発百中を誇る。
『夜の番人』『凶眼の射手』の異名を持つ。
娘のネイアは、聖騎士見習いとして働いている。
人物像
戦場では優秀な戦士だが、普段は元聖騎士の妻の尻に敷かれながら、娘をこよなく愛していた親バカな父親。
妻子の話題になると自慢が止まらず(仕事の話になれば止まる)、娘からの贈り物は全て大切に保管している。その中の一つである、ネイアが六歳の頃に作ったパベルを象った人形は肌身離さず持ち歩いていた様で、命を賭した戦いに赴く前は、その人形に口付ける儀式を行っていた。
娘が最近父離れを始めた事に大きなショックを受け、休みさえ取れれば、キャンプで父の威厳を今一度取り戻そうと企んでいる。
その子煩悩たるや、『超子煩悩大貴族』の二つ名を持つレエブンにも匹敵すると言っても過言では無い。
他人から娘の事を褒められると、大殺戮者然とした悪鬼羅刹の如き表情になるが、当人はただ照れているだけである。
そのネイアからは、目付きの遺伝に対する不満を除けば、娘想いの良き父として思い出されているが、同時に自身の聖騎士としての大成を最初から諦めていた、頼りない父親でもあったと回想されている。
容姿
その細く鋭い目つきは小さな黒目も相まって、よく見ても暗殺者、悪ければ殺人鬼と称される。
鍛え抜かれて無駄を削ぎ落とした体は細く、用途に合わせて人を作り出した様な、鋼の如き見事な細さをしている。
強さ
『九色』の名は伊達ではなく、中~遠距離戦が中心の弓兵にもかかわらず、同じ『九色』の一角である戦士オルランド・カンパーノとの模擬戦において、近距離戦で勝利した事がある。
野伏(レンジャー)としてもかなり腕が立ち、訓練で亜人と同じく闇夜を見る目を備え、優れた感覚で周囲を窺える。
パベルの弓の一撃は、武技とスキルを上乗せした時、重戦士が大上段から振り下ろす一撃に相当する破壊力を持つ。
作中の動向
聖王国の東にある長城に配置され、昼番を任せられていたオルランドと交代する場面で登場。
オルランドにいつもの娘自慢や世間話をし、そしてオルランドからは「魔導国へ武者修行に出たい」という相談を受けていた中、突如ヤルダバオトと亜人の大軍勢が出現。
ヤルダバオトが放った《隕石落下(メテオフォール)》を喰らい、若き日の妻と小さな娘の姿の走馬灯を見ながら、死亡した。