冷戦当時、アメリカがソ連の侵攻に対抗するために開発した核兵器。
この『デイビー・クロケット』は最少サイズであり、
米ソの直接戦争から局地戦までを幅広くカバーする事とされた。
一応、ロケットランチャーの一種・・・だと思われる。
ケータイ核弾頭
弾頭の威力は0.02kt。(最小設定)
これは『単純計算で20tのTNT火薬の爆発に相当する』という意味である。
広島に投下された原爆は15kt級なので、この750分の1の破壊力という事になる。
(以下の計算は15ktとして計算)
また、破壊力は3次元空間で解放されるものなので、実際の被害は三乗根となる。
計算すると750の三乗根は9.085603となり、
被害半径は広島の約9分の1になると考えられる。
広島でのデータをそのまま当てはめれば、
原爆で焼かれた半径2km・破壊された5km(概算)は、
単純計算でそれぞれ、半径222m・555mとなり、
爆発地点から約130m以内にいた人間の半分が当日中に死亡、という事になる。
wikiの記述によると、
『(低出力の設定でも)150メートル以内の目標に対し即座に死亡する強さの放射線を浴びせる。400メートル離れていてもほぼ死亡するレベルに達する』
と記載されており、
爆発の威力の中でも、放射線が強化されている事が窺える。
(=人間に放射線障害を与えるための改良)
威力の設定は本来、0.02kt(20t)から1kt(1000t)となっている。
放射線強化について
広島では原爆(核兵器)のエネルギーは爆風に50%、熱戦に35%、放射線に15%使われたという。
この兵器では計算上「150mで即死」となっており、
上記の広島型よりも放射線が強化されていると言える。
開発と配備
大小2種類が開発され、
それぞれ「兵士が肩に担いで撃てる小型の物」と「車両など発射台に据えて使う大型の物」である。
射程は小さいものは2km、大型のものが4kmである。
超小型とはいえ、 弾頭の重量は50~55ポンド(22.7kg~24.97kg)にもなり、
この上ロケット自体の重量も加わるのである。
MGS3ではザ・ボスやヴォルギン大佐が手に持って撃っていたが、
実際には重いので、『小型も発射台に据えて撃つこと』と決められていた。
実際の製造は核弾頭の開発後すぐに開始され、1961年から71年にかけて2100発が生産された。
これらは、ソビエトの脅威が差し迫る西ドイツ駐留アメリカ軍に向けて配備されている。
1991年に地上発射式の戦術核兵器に伴って廃棄された、とされている。
卓越した『非』実用性
核戦争が起こらないのでは、さすがにアメリカも使いどころを見いだせなかった。
(むしろ幸運だったが)
製造されたデイビークロケットの総数は2100発と言われているが、
搭載するW54型核弾頭の生産数は400発(各型合算)しか生産されていない為、
どちらにしても『ダメ兵器』の烙印は免れないだろう。
また、このW54型核弾頭は威力がありすぎる事が問題になっており、
1962年の実験でも核出力18ktと22ktが記録されている。
これでは0.02ktなど夢のまた夢、むしろ計画上の最大威力まで振り切っている。
まさに『自分も巻き込まれる兵器』、『自殺兵器』である。
これらの情報は錯綜しているようで、計画値と実際の値が入り乱れているようである。
どちらにしても、この兵器は自爆覚悟の最終兵器であり、
使われなかったのは「米ソともに正気を保っていた」からに他ならない。