- 劇中の中国大使館を占拠したテロ組織の自称。
- 劇中のパトリック・シルベストル著『国家と革命への省察 初期革命評論集』の幻の11篇目のタイトル。
- 『初期革命評論集』を電脳内に保持していることによって感染するように仕組まれていた「個別の11人ウイルス」に感染した個別フォロワー集団。
概要
起こり
中国大使館を占拠して日本政府に難民排除を求めた9人のテロリスト集団が「個別の11人」を名乗った。これがオリジナルである。
承ぎ
この事件を基に、内閣情報庁戦略影響調査会議代表補佐官の合田一人は「個別の11人」というウィルスを作成した。
このウィルスはパトリック・シルベストルという革命家によって書かれた本・「初期革命評論集」を自身の電脳に取り込んだ者が感染し、発症した者は、「難民を攻撃することで難民の蜂起を促す」として難民へのテロ活動を行い、最期は自決する。
この顛末は日本人と難民双方の対立を激化させ戦争を引き起こそうと企む合田一人の思惑通りであり、自決という最期も「英雄の最後は死によって締めくくられる」という合田一人の思想からのものである。
ウィルスが発症した者は「初期革命評論集」の中にこの世には存在しない一編「個別の11人」が存在していると思いこみ、「個別の11人」を「聖典」と呼ぶようになる。
クゼ・ヒデオによる独白: パトリック・シルベストル著『個別の11人』。インディビジュアリストの聖典。それがなぜ素晴らしいのか。それは、5・15事件を日本の能に照らし合わせ、その本質を論じたところにある。能とは、戦国の武士たちがあらゆる芸能を蔑むなか、唯一認めてきた芸事だ。それは、幾多の芸能の本質が決定された物事を繰り返しうるという虚像にすぎないのに対し、能楽だけが、その公演をただ一度きりのものと限定し、そこに込める精神は現実の行動に限りなく近しいとされているからだ。一度きりの人生を革命の指導者として終えるなら、その人生は至高のものとして昇華する。英雄の最後は死によって締めくくられる。死によって永遠を得る。
感染した者全員が発症するのではなく、次の二つの条件を満たしている者が発症する。
- 義体化率が高い(生身の割合が低い)
- 義体化以前に童貞であった
流転
発症者のうち、クゼ・ヒデオのみ自決せず生き延びている。
これはクゼが元々難民を救済するという強い意志を持っており、途中で「個別の11人」という一遍は存在しないことに気付いたからである。
いつしか事態は合田一人の思惑を離れ、合田一人自身が事態を後追いするフォロワーとなっていく。