概要
派遣元に所属する者が、別の会社の要請に応じて出向し、その指揮下で就労する雇用形態。
非正規雇用の一つ。
日本では第一次オイルショック後に普及し、1986年の法整備により派遣法が施工されてから本格化した。
派遣先にとっては必要な時に人材を集める手段として重宝されており、労働者にとっても正規の入社試験を受けずに就労できるため、就職活動のハードルが格段に低いのがメリットである。
バブル崩壊後の就職氷河期に、曲がりなりにも働き口が確保されるなど、雇用形態として派遣事業の成した功績は大きい。
反面、不景気などで人材削減が必要になると真っ先に契約を終了させられる(所謂「派遣切り」)ため、雇用の安定性が確保されているとは言いづらい。
また、ボーナスは基本的に支払われず、ローンのボーナス払いは出来ない。
派遣元への求人票には、「正社員昇格あり」を謳っているものが多いが、実際に正社員昇格するには、派遣先にその実力を認められ、引き抜かせるだけの信頼を勝ち取る必要がある。
人材の流動が激しい派遣社員でこれを達成するのは非常に難しく、叶う人はごくごく僅かである。
余談
ワイドショーやドキュメンタリーでワーキングプアの代表格として派遣社員が取り上げられることが多いため、給料も生活も悲惨というイメージが世間に染みついているが、派遣先や地域によって差はあるものの派遣社員の給料自体は決して低くなく、むしろ正社員より手取りが多いケースもある。
特定の会社に縛られることを嫌い、あえて派遣社員などの非正規雇用を選ぶ人もいるため、一概に憐みの目で見ることは出来ないだろう。
しかしながら、安定的な雇用でないため、家族を養うには長期的に安定した給料が必要なので、残念ながら結婚には大きなハンデとなるのは事実である。