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暗黒物質の編集履歴

2010-02-16 16:45:03 バージョン

暗黒物質

暗黒物質(dark matter)とは、宇宙にある星間物質のうち「自力で光っていない」か「光を反射しない」ために光学的には観測できない、とされる仮説的物質のことである。

ダークマター」とも呼ばれる。


"人間が見知ることが出来る物質とはほとんど反応しない"などともされており、そもそも本当に存在するのか、もし存在するとしたらどのような正体なのか、何で出来ているか、未だに確認されておらず、不明のままである。


概要

水素原子の出す21cm輝線で銀河外縁を観測したところ、ドップラー効果により星間ガスの回転速度を見積もることができた。この結果と遠心力・重力の釣り合いの式を用いて質量を計算できる。

すると、光学的に観測できる物質の約10倍もの物質が存在するという結果が出た。


この銀河の輝度分布と力学的質量分布の不一致は銀河の回転曲線問題と呼ばれている。この問題を通じて存在が明らかになった、光を出さずに質量のみを持つ未知の物質が暗黒物質と名付けられることとなった。


暗黒物質が存在するとその質量により光が曲げられ、背後にある銀河などの形が歪んで見える重力レンズ効果が起こる。

日米欧の国際研究チームが、銀河の形の歪みから重力レンズ効果の度合いを調べ、そこから暗黒物質の3次元的空間分布を測定することに初めて成功したことが2007年1月に科学誌ネイチャーに発表された。

同年5月15日のアメリカ航空宇宙局の発表によれば、米ジョンズ・ホプキンズ大学の研究チームがこれを利用して、ハッブル宇宙望遠鏡で暗黒物質の巨大なリング構造を確認したという。10億~20億年前に2つの銀河団が衝突した痕跡で直径が約260万光年(銀河系の26倍)、衝突によりいったん中心部に集まった暗黒物質が、その後徐々に環状に広がっていったものとされる。


宇宙に占める暗黒物質の割合

宇宙全体の物質エネルギーのうち、74%が暗黒エネルギー、22%が暗黒物質で、人類が見知ることが出来る物質の大半を占めていると思われる水素やヘリウムは4%ぐらいしかないことがわかってきている。

(宇宙背景放射を観測するWMAP衛星の観測による)

この観測結果は、宇宙の大規模構造のシミュレーションから予測されているダークマターの値と、ほぼ一致している。このように二つの方法から推測したダークマターの量がほぼ合うということから、この考えの妥当性がはかられている。


暗黒物質の候補

具体的に何が暗黒物質として宇宙の質量の大半を占めているかであるが、後述するように複数の候補が挙がっている。


・ニュートリノ

熱い暗黒物質の代表例。従来ニュートリノの質量は0であると思われていたが、近年では微少な質量を持っている事がほぼ確実になった。ニュートリノは宇宙全体に存在する数が非常に多い(計算では~100個/cm3)ので、質量が10eV程度あれば暗黒物質の候補になるとされていた。しかしながら、ニュートリノの寄与は臨界密度の高々1.5%程度であることが分かってきたので、現在では主要な暗黒物質であるとは考えられていない。


・ニュートラリーノ

超対称性粒子のうち、電気的に中性である粒子。超対称性粒子は現在見つかっていないことから不安定であると考えられており、宇宙の初期にほとんどが通常の素粒子と、より軽い超対称性粒子に崩壊していったと考えられている。しかし、超対称性粒子に特有のRパリティ保存則により、最も軽い超対称性粒子 (Lightest Supersymmetric Particle : LSP) は崩壊できず宇宙に残っていると考えられている。


・ブラックホール

小規模なブラックホールは超新星爆発のときに生じる。質量が太陽の数億倍もあるような大規模なブラックホールは銀河中心で観測されているが、まだ成因はよく分かっていない。恒星規模のブラックホールが銀河系内にいくつくらい存在するのか、その質量分布がどのような物か、等も未だ明らかではないため、これは暗黒物質の候補となる。また、原子核大の極微小ブラックホールも多量に存在しているかも知れない。さらに、宇宙誕生後3分ごろに生成されたブラックホールについては、上記のバリオン存在量の制限から逃れることができる。


・惑星

観測できる多数の恒星がそれぞれ観測できない惑星を持っている可能性があり、これが暗黒物質の候補になる。


・アキシオン

冷たい暗黒物質の代表例。軽い (~10-5eV) 質量しかないが、温度0なので「冷たい」のである。


・ミラーマター(en:Mirror matter)

パリティ対称性を保つように標準模型を拡張したとき、その存在が予言される物質。重力の他は、光子-ミラー光子混合、ヒッグス-ミラーヒッグス混合を経由した相互作用しかしないため、もし存在したとしても、見ることも触ることも(どちらも光子を媒介とした電磁気力による相互作用である)不可能。重力レンズ効果の観測や、重力波干渉計などを用いた観測が期待される。


関連タグ

ダークマター 宇宙

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