概要
地衣類は、光合成生物(緑藻かシアノバクテリア)を取り込む事で独立栄養能力を得た菌類である。
「〇〇ゴケ」という和名を持つ種が多いが、コケとは全く異なる生物である。「菌類と藻類との共生生物」という言い方をされることもあるが、地衣の構造を作っているのは菌類である。同一の地衣類であっても藻類は別種である例もあり、「藻類を取り込んだ菌類」として菌類の下に位置付けられるようになっている。
よく知られた種として、山林の樹木などから垂れ下がるサルオガセ、岩に張り付いた状態で観察されるチズゴケ、高級食材として珍重されるイワタケなどがある。
真核生物がシアノバクテリアを取り込んだという点では植物と同様だが、地衣を構成する菌類と藻類は独立して培養することも可能で、完全に一体化はしていない。菌類が地衣になるには胞子が発芽した後、共生藻の取り込みが必要になる(これを地衣化という)。