解説
ロールプレイングゲーム『Wizardry』には、冒険の舞台となる各種ダンジョン内に多彩な仕掛けや罠が豊富に用意されており、無事に戦闘を終えても何かしらの弾みで発動した罠の影響によってパーティの生存確率が大きく変動するという特徴がある。これらの罠の大半は単体に大きな影響を及ぼすものと複数体にそこそこの影響を及ぼすものの2系統に大別され、いずれの場合もパーティの戦力に壊滅的な打撃を与えるものではないが、この「いしのなかにいる」が表示される状態に限ってはパーティの全滅が即時確定する。
その状態とは、解錠トラップ『テレポーター』(ランダム選出されたダンジョン内のどこかに強制転移する)や転移魔法『マロール』(任意で選択したダンジョン内のいずれかに転移する)の失敗によって発生する「行動可能区域として指定されていない座標への転移」(行動不可区域の座標はダンジョンの石壁の中、城下町の上空、王城の堀などに設定されている)であり、この転移が実行されると最も重いデスペナルティ「ロスト」(蘇生の可否以前に所持品ごとキャラクター情報が消失する状態)がパーティ全員に即時適用されるという最悪の結末を迎えることとなる。特に、『リルガミンの遺産』では行動区域内に石壁の中への直通ワープゾーンが1箇所だけ作為的に用意されており、「自分の意志によって石壁の中に飛び込んでしまう」という目も当てられない突然の終焉を迎えることがある。
この後、シリーズ作品の一部ではマロールやその効果を持つアイテムの使用による転移失敗に限り、石壁の中以外の場合はパーティ全員に最も軽いデスペナルティ「デッド」(蘇生率が高い死亡状態)が適用されるという緩和措置が取られるようになる。
対策
ゲームハードや作品、その作品が原版かリメイク版かによっても方法は様々だが、対策の大事な要素として「城下町やキャンプでセーブデータを記録する」「致命的なミスを犯してもメッセージを進めずにリセットする」の2つが挙げられる。
前者の場合、PC版ならばセーブデータの複製、家庭用ゲームハードならば外部記憶装置(ターボファイルやメモリーカード)の活用によって非常事態を切り抜けるという方法があり、広大なダンジョンが用意された『災禍の中心』に至っては、そもそも任意で座標を合わせない限りは石壁の中に転移する事態に遭遇する確率が低くなった。
後者の場合、特に注意すべきはファミコンで発表されたリメイク版初期三部作(『狂王の試練場』、『リルガミンの遺産』、『ダイアモンドの騎士』)であり、他機種に比べて極めて脆弱なバッテリーバックアップが起因してリセットの際にデータそのものが消失する恐れがある。
表記揺れ
『*いしのなかにいる*』、『いしのなかにいる!』を含めた3つが表記揺れとして存在し、これらは作品や開発を担当した会社によって3つがそれぞれ使われた結果であるものの、明確な証拠が無いためにどの表記が正しいかは未だ不明のままである。