いしのなかにいる
いしのなかにいる
『Wizardry』には、冒険の舞台となる各種ダンジョン内に多彩な仕掛けや罠が豊富に用意されており、何かしらの弾みで発動した罠の影響によってパーティの生存確率が大きく変動するという特徴がある。これらの罠の大半は「単体に大きな影響を及ぼすもの」と「複数体にそこそこの影響を及ぼすもの」の2系統に大別され、いずれの場合もパーティの戦力に破滅的な打撃を与えるものではないが、この「いしのなかにいる」が表示される状態に限ってはパーティの全滅が即時確定する。
その状態とは、下記2点のいずれかによって発生する「行動不可区域の座標への転移」が実行された場合である。
- 宝箱の解錠トラップやダンジョン内の仕掛けで発動する『テレポーター』(パーティが存在する同じ階のどこかに強制転移する)
- レベル7の転移魔法『マロール』およびアイテム「マラーの冠」や「ルビーのスリッパ」(ダンジョン内のどこかに任意で転移する)の失敗
行動不可区域の座標は石壁の中に設定されているため、その座標への転移が実行されると今後一切の行動が不可能と見なされてパーティ全員に死亡判定が即時適用されるだけでなく、最も重いデスペナルティ「ロスト」(蘇生の可否以前に所持品ごとキャラクター情報が抹消される)が課せられる。
テレポーターの解錠トラップは、ウィザードリィ特有の「部屋の出入りの際にエンカウント率の判定が高めに行われる」という性質上からダンジョン下層階から登場する危険度の高い罠であり、マロールについても魔法使いの最速習得レベルが13(約44万のキャラクター累積経験値が必要、ただしレベル13で必ず修得するとは限らない)という高位魔法であるため、どちらにしてもパーティの育成や装備品の調達が順調に進んだキャラクターレベル10以降の話である。そこまでの労苦が即座に水泡に帰すのが「いしのなかにいる」状態で迎える突然の終焉であり、ウィザードリィ史上における代名詞にして最凶の名を誇る所以である。
なお、ダンジョン範囲外にも城下町の遙か上空や王城を囲む深い堀の水中など行動不可区域が存在し、ここに出現した際も上記と同様にロスト判定が下される。特に注意すべきは、初期三部作の1つに名を連ねる『リルガミンの遺産』であり、この作品中には行動区域内に「石壁の中への直通ワープゾーンが1箇所だけ作為的に用意されている」という初見殺しの罠が存在し、「自分から石壁の中に飛び込んでしまう」という目も当てられない最悪の結末を迎えることがある。しかし、最低でも1度はこのワープゾーンを通過しないと完全なマッピングが成立しないため、必ず誰かが犠牲になるという悲運を辿らなければならない。
この後、シリーズ作品の一部ではマロールやその効果を持つアイテムの使用による任意の転移失敗に限り、石壁の中以外であればパーティ全員に最も軽いデスペナルティ「デッド」(蘇生率が高い死亡状態)が適用されるという緩和措置が取られるようになる。
対応ゲームハードや作品のナンバリング、その作品自体が原版かリメイク版かによっても方法は様々だが、対策の大事な要素として「城下町やキャンプでセーブデータを記録する」「致命的なミスを犯してもメッセージを進めずにリセットする」の2つが挙げられる。
前者の場合、PC版ならばセーブデータの複製、家庭用ゲームハードならば外部記憶装置(ターボファイルやメモリーカード)の活用によって非常事態を切り抜けるという方法があり、広大で不規則なダンジョンが用意されたシリーズ第五弾『災禍の中心』に至っては、そもそも任意で座標を合わせない限りは行動不可区域に転移する事態に遭遇する確率が低くなっている。
後者の場合、「どのタイミングでオートセーブが行われるか」を見極めた上で対処を図る方法があり、そのタイミングを確実に把握すればリセットによって最悪の事態を回避できる。ただし、ファミリーコンピュータ版初期三部作(『狂王の試練場』、『ダイアモンドの騎士』、『リルガミンの遺産』)は他機種に比べてリセットが容易である反面、極めて脆弱なバッテリーバックアップが起因してリセットの際にセーブデータそのものが消失する恐れがあり、やはり外部記憶装置を備えていたほうが無難である。
『風来のシレン』においては、パコレプキン等の肉を食べて変身すると、ダンジョン内の壁抜けができるようになる。
この後に壁の中で変身を解いてしまうと、息ができなくなって倒れてしまう。
当然やられてしまうと、手持ちのアイテム等を失う。
ただしすぐにやられてしまうのではなく、1ターンにつきHPが10減るのでHPがあるうちにつるはしを使うか、もう一度パコレプキン等の壁抜けができるモンスターの肉を食べるかすると助かる。
また、DS版風来のシレンでは冒険の足跡リストの中に『壁の中で苦しくなってたおれた』と言うのがあるので、リストをコンプリートする場合は一度は行う必要がある。
『*いしのなかにいる*』、『いしのなかにいる!』を含めた3つが表記揺れとして存在し、これらは作品や開発を担当した会社によって3つがそれぞれ使われた結果であるものの、明確な証拠が無いためにどの表記が正しいかは未だ不明のままである。
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