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裸忍者

はだかにんじゃ

『裸忍者』とは、ロールプレイングゲーム『Wizardry』に登場する忍者の特殊状態を比喩した敬称。

センシティブな作品

解説編集

Wizardry』シリーズは固有技能を持つ各種職業が存在し、それを適材適所で運用しながら少しずつ強力な武具を拾い集め、徐々に探索の範囲を広げて冒険を進めるのが基本であり王道である。その反面、死亡したキャラクターが必ず復活できるとは限らず、ダンジョン内で全滅したパーティはそのまま放置されるなど「キャラクターの死亡に対するリスクが非常に高い」という大原則があるため、他のロールプレイングゲーム作品における防御力に相当するAC(アーマークラスの略号、キャラクターへの被ダメージ難易度を表した能力数値でマイナスであるほど強い)への配慮が当面の死活問題を左右する最重要課題となる。


このACは、正伝か外伝か、または正伝であってもナンバリングによって多少の差異はあるが基本数値は10であり、ACを大幅に補う強力な防具は全て戦利品で賄わなければならず、そうした防具の入手を目指して何度も戦闘を繰り返しては戦利品を得るという一連の流れが戦闘に対する緊張感、強力な武具を得た時の歓喜に繋がる醍醐味を演出する役割を果たしている。


その渦中で、より強力な専用武具を装備するために上級職への転職が必要となるが、上級職の中でも最も厳しい転職条件を誇る忍者は転職直後からACの基本数値が8であり、さらに「レベルが3つ上がる毎にACの基本数値が1ずつ減少する」という驚異的な固有技能が備えているため、24レベルで0、54レベルでLO(Lowの略号、AC-10)、221レベル以上でVL(VeryLowの略号、AC-100)にまで到達する。


ちなみに、公式マニュアル曰く「AC-10の状態は米軍のシャーマン級戦車と同等である」とする解説文が記されており、LO時点の防御力がいかに凄まじいものであるかを物語っている。

(ただしACとは「守備力+攻撃回避力」の事なので(実際他のキャラクターでも敏捷度でボーナスが付く)、忍者の場合は「素早い身のこなしで避ける」と考えた方が自然である)


このため、時間をかけて魔術師僧侶双方の魔法を全て習得したキャラクターが忍者に転職すると、上記とは別の固有技能である「クリティカル」(一定の確率で敵を一撃で葬り去る)、「罠解除」(宝箱のトラップ看破と解錠を行う盗賊の得意技能(成功率を問わなければ誰でも出来る)、ただし成功率90%で打ち止めなのは他の職と同じであり、盗賊の95%に劣る)を兼ね備えた万能キャラクターと化し、単身で下層階の強力な敵キャラクターと渡り合うほどの無類の強さを顕現する。


しかし、この忍者特有のAC減少技能は無装備状態でのみ発揮され、武具を1つでも装備すると武具に設定されたACが優先されてしまうという特徴がある。即ち、忍者は「成長するに従って武具を装備しないほうが強い」という特異な存在であり、最終的には何も装備するべきではない状態を迎えることとなるため、その様子を当時のプレイヤーが「強い忍者=何も装備しない=裸」の図式で端的に表したのが裸忍者と呼ばれるようになった所以である。


ただし、「最強の武具で身を固めた上級職<裸忍者」に至るには莫大な経験値を必要とする(単に忍者の成長が遅いと言うだけではなく、一般的なクリアレベルが20未満なので、AC0(24レベル)の時点でやり込みプレイの域である)。

その上、呪文抵抗やブレス耐性は防具によってしか得られないし、計算式上はどんなにACを鍛えても攻撃を喰らう可能性がある。

基本的には、普通に防具を付けた方が強い。あくまでネタプレイの範囲である。


実際にはWizの忍者はダンジョンズ&ドラゴンズのミスティック(モンク)をモチーフとしており、Wizと同じくD&Dの影響が散見される初代ファイナルファンタジーのモンクや、Angbandやそのバリアントのモンクも武器を持たない素手こそが最強であり、これらの作品の影響で現在では時代を問わずRPGで広くみられる設定となっている。


最近ではスキルや戦術が多様化する傾向からこの手の極端なスキルも再び登場するようになり、ブレイブリーデフォルトのモンクや、世界樹の迷宮Ⅴのフェンサー、ゼノブレイドの「粋の極み」など、全裸になることで特大のボーナスが得られるスキルがあり、あえて全裸になる利点がある作品も見られる。



分類編集

裸忍者における『裸』の定義」についてはプレイヤーによって様々に存在し、大別すると以下の4段階に分類される。


1.忍び装束一式に身を包んだ状態

2.頭巾と鎖帷子とのみの状態

3.頭巾と褌のみの状態

4.頭巾のみの状態


初期シリーズに性別の設定が存在しなかった事もあってほぼ男性の姿が当然であり、上記の段階に関わらず手裏剣、もしくは蝶のナイフを愛用する。物腰は古風にして己に厳しく、幅広い知識を有し、鍛え抜いた体術を以って一撃のもとに敵を葬り、群れを成す行動を嫌う孤高の存在ではあるが、2.の段階以下の格好でその気風を台無しにしている奇天烈な人物として描かれる。


中には「忍び装束が忍者としての最低限の防具である以上、そうではない平時の衣服のみが裸の定義として然るべき」とする解釈も存在し、一言で表すと「そもそも衣服を着用していない状態で街中を闊歩できるわけがない」とする現実的な論点から来るものである。

と言うかそうでないとCRPGの主人公は大概裸で街中を闊歩していた事になる。本作は全てキャラが裸でスタートしてるし(更には転職の度にひん剥かれる)、『ドラゴンクエスト』の勇者も裸で王様と謁見が終わってから初めて「ぬののふく」を着る(呪いで犬や馬にされた王女達なら「呪いが解けた直後は素っ裸」と言うネタを描かれる事も多かったが)。


しかし、時を経てウィザードリィを題材としたギャグ漫画が登場する頃には、その類を見ない奇抜なキャラクター性を誇張するために4.の段階が数多く採用され、現時点での正しい裸忍者の定義として広く浸透する結果となる。

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