概要
物品や各種チケットなどを(大抵の場合)自分で買い取った上で、それをまた第三者に売る(=転売)ことで利益を得る者の俗称。主にインターネット上での取引で利益を得ていることを指す。
インターネット上では、特に侮蔑を込めて呼ぶ場合「転売ヤー」などと呼ばれる。
特にチケットの高額転売を行う者についてはダフ屋、書籍についてはせどり(せどらー)と呼ばれる。
具体的には、数量限定や抽選販売、販路限定(特定の店や地域でしか購入できない商品)などで入手困難となりうる商品を転売目的で購入し、高値でインターネットオークションやフリマサイト・アプリなどで販売・発送して利益を得ている、場合によってはそれで生計を立てている者のことを指す。
なお、基本的には株式、為替取引などの投資活動における売買は含まれない。通常の範囲(大きな利益がつくことがない形)での不用品の売買や、古物商許可を得ている店での買取りも同様である。
転売で生計を立てようとする場合(長期にわたって多額の利益を得ている場合)、古物営業法に基づく古物商許可を取得する必要がある。
「古物」は、古物営業法第2条第1項において次のように定義されている。
「一度使用された物品(鑑賞的美術品及び商品券、乗車券、郵便切手その他政令で定めるこれらに類する証票その他の物を含み、大型機械類(船舶、航空機、工作機械その他これらに類する物をいう。)で政令で定めるものを除く。以下同じ。)若しくは使用されない物品で使用のために取引されたもの又はこれらの物品に幾分の手入れをしたものをいう」
簡単に言えば「使用を目的に店から購入した、あるいは人から譲られたもの」、つまり「一度人の手に渡ったもの」のことである。
転売屋には「自分達が行なっているのは『販売店』と『商品を欲しいと思っている人』の間に立って仕入れを行い、届けるいわば『卸売』と同じ」という主張をする者もいるが、転売において取り扱われる「古物」は、上記の通り一度製造元(→卸売)→小売店→消費者という通常の流通経路を辿った商品であるため誤りである。
コンサートなどのチケットは、特定興行入場券の不正転売の禁止等による興行入場券の適正な流通の確保に関する法律(チケット不正転売禁止法)などで転売が規制されている。
他にも、国民生活安定緊急措置法に基づき、トイレットペーパーやマスクなどの生活関連物資の転売は規制されている。タバコ、酒、医薬品も販売許可が必要となる(さらに、医薬品はオークションやフリマなどへの出品が禁止されている)ため、一般市民がこれらを転売している場合は違法となる。
転売屋(転売ヤー)の行動により、適正価格での流通・購入の機会が妨げられてしまうことや、メーカーの生産体制や宣伝広告への悪影響、さらに商品そのものでは保存環境が悪いことによる劣化や保証期間の短縮・無効化といった、製造販売を行うメーカー、卸売、小売店および消費者に対する損害が発生することから、転売屋に対して非難の目を向ける人は多い。
一部のメーカーや販売店側も対策を行っており、例えばある販売店では、ガンプラの購入時に「商品名(題材となっている機体名)を正しく言えない人には販売しない」という方式で販売を行なった。→参考
他にも、メルカリなどでは「購入後に調達する、もしくは持ち逃げする」無在庫販売を防ぐため、実物の写真がない(出品者の手元に実物がない可能性が高い)商品が出品されている場合はユーザーが通報することができる。
『転売が起きるのは転売屋に資金を払う買い手がいるから』と、転売から購入する人を転売屋同様に批判する人もいる。また、限定商法が転売を生んでいると考える人もいる。
イベント等で販売されている物品の場合は仕事等で都合が合わなかったり開催地から遠い所に住んでいるため行けなかったり、行けても売り切れで買えなかったりする人が、期間限定の場合は期間が終わった後に知る人がどうしても発生してしまう。そういった人たちからは転売は有り難がられる場合もある。特に通販非対応の物品に対してそう感じる人が多い。
基本的に非難されることが多い転売だが、このように転売に需要が出来てしまっている以上、「転売対策をしても転売屋から買う人がいるため、転売用の物品を買う資金が調達出来、調達した物品を転売する」といういたちごっこになっているのが現状である。
転売の「商材」として、転売目的での買い占めにより通常であればプレミアがつくことのない商品までもが高額化してしまったという事例も存在する。