概要
キャリアコンサルタントとは、学生・求職者・在職者等を対象に職業選択や能力開発に関する相談・助言を行う専門職及び国家資格の名称である。
この資格を所得しない者は「キャリアコンサルタント」又は、これに類似した紛らわしい名称を用いることができない、いわゆる「名称独占資格」。キャリアカウンセラー、キャリアアドバイザーと名乗る者もいるが、名称独占となる正式名称はあくまでも「キャリアコンサルタント」である。
主な業務として、就職希望者や労働者を対象に職業の選択や、職業生活設計又は職業能力の開発及び向上に関する相談を行う。この相談業務・行為のことをキャリアコンサルティングという。
種類
「国家資格」としてのキャリアコンサルタントには以下の3種類が存在する。
- キャリアコンサルタント:いわゆる「国家資格キャリアコンサルタント」。3種類の中では最も難易度が低い入門資格であり、イメージ的には下記2資格と比較すると「3級キャリアコンサルティング技能士」のようなもの。
- 2級キャリアコンサルティング技能士:上記の国家資格キャリアコンサルタントよりもレベルが高く、「熟練レベル」とされる。
- 1級キャリアコンサルティング技能士:「指導レベル」とされ、他のキャリアコンサルタント養成にも携わる。非常に難易度が高く、難関資格と言職業選択や能力開発に関する相談・助言を行う専門職である。
実情と問題点
このような社会的意義も大きそうな資格であるが、実際のところ、すこぶる評判が悪い。特に転職業界においては散々な評価が為されている。
まず、資格を保有していたとして、独占業務がほとんど無い(ほとんどの転職サイトにおいて「独占業務が全く 無い」と書いてあるが、実は無いわけではない。後述)。
そして受験料や受験資格を得るための講習費用、また資格の登録手数料に至るまで異常に高額であるという問題点がある。
極め付けは、この資格を必要資格としている求人が非常に少ない。
本当に役に立たないのか?
上記のような惨状から資格を紹介する転職支援サイトやコンサルタント等からは忌み嫌われており、持ってるだけ損とまで言われる始末である……が、実はだいぶ誇張されており、少なくとも全く役に立たない資格ではない。
ここまで異常に転職業界から嫌われているのは、そもそもこの資格が某省の天下り団体の収入源になっているためであると考えられ、他の資格に対しては冷静なコメントを書いているサイトでさえ、キャリアコンサルタントに対してのみ感情的とも取れる批判を繰り返していることがある。
以下、実際に役に立つことを挙げる。
・「ジョブ・カード」作成支援を行うことができる。ジョブ・カード制度自体が天下り団体の云々と言われる問題が多いとも言われるが、現実問題として雇用保険の教育訓練給付や公共職業訓練の中にはジョブ・カードが必要書類とされることがあり、作成には登録キャリアコンサルタントによるキャリアコンサルティングが必須である。
・ハローワークの相談員となるための求人にはキャリアコンサルタント資格を求められることがある(ただし、「相談員」は非常勤であり、無くてもなることができる)。
・ハローワーク正規職員の場合、キャリアコンサルタント資格を持っていると評価に反映される。また、取得を強く推奨されている。特に1級キャリアコンサルティング技能士は省内でも二桁くらいしか存在しないこともあり、地方局の職員が本省首席職業指導官室に出向することもある。
これらのことからもわかるように、役立つ場面もある資格ではあるが、ほとんど厚生労働省の事業に直結しているものである。そのため、職員やハローワーク・労働局と関わりのある仕事をしている者が取得して、その業務に活かすケースがほとんどである。
結論として、既に活かせる状態にある者がステップアップするのには有効な資格であるが、転職等に活かすにはかなり厳しい資格であると言える。
ただし、他の資格にも言えることだが知識として無駄になるものではなく、面接試験もあることから相談技術やカウンセリング技術の証明としては(1級は)相当高度な資格ではある。