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概要編集

1989年(日本では1991年)に公開されたアニメ映画「リトルマーメイド」の実写リメイク。


アメリカでは2023年5月26日、日本で同年6月9日に公開された。


監督はロブ・マーシャルが務める。


花火のシーンや嵐が起きるシーンの落雷などで光の点滅が続くシーンがあり、光過敏性が原因によるてんかんの発作等が発生する恐れがあると注意喚起が公式からなされている。(特に4DX・MX4Dで鑑賞する時フラッシュやストロボエフェクトの劇場効果が入ったりするので注意されたし)


主演女優の抜擢を巡って大きな論争が起こったことでも有名で、昨今の映画界に蔓延するポリティカル・コレクトネスの問題を象徴する一作ともなった。


物議を醸した『黒人アリエル』編集

今作でヒロインのアリエルを演じるのは、アメリカの黒人女性歌手ハリー・ベイリー女史である。

しかし原作アニメとかけ離れた黒人人魚のアリエルは発表されるや否や大荒れとなり、YouTubeでの予告編には低評価が大量につき、Twitterでは#notmyarielというハッシュタグが作られ、「何故色白のアリエルを実写にすると黒人になるのか。ミスキャストではないか」「またポリコレか」。


ベイリー女史の名誉の為に言っておくと、彼女が選ばれたのは歌唱オーディションに合格した為であり、彼女を肯定する#myarielというハッシュタグも作られている。映画を鑑賞した観客の感想でも彼女の歌声に関しては概ね好評。また、彼女と同じ黒人の女の子達が目を輝かせて「私みたい!」と喜ぶ微笑ましい姿もSNSに投稿されており、こういった層が映画館にも足を運び北米での興行収入が好調だったのではないと分析されている。逆にディズニーランドに行ったりグッズを買ったりして旧作のリトルマーメイドに触れる機会の多いヨーロッパ日本中国の都市部などの女児からは「私の知ってるアリエルと違う」という悪意は無いが残酷な声もあったようである。

また一方で、「表情が硬すぎる」「歌以外の演技ができてない」とベイリー女史の演技に対しても厳しい意見が寄せられた。演出の面でも前半は夜の海中のシーンが多く、「黒い肌と同化して何も見えない」といった意見やベイリーの提案(というより我儘)により2000万も要したドレッドヘアーに疑問を持つ声も寄せられた(そのせいかアリエルがフォークで髪をとくシーンがとてもやりずらそうになっている)。歌唱でも代表曲「アンダー・ザ・シー」でも「(本来ならアリエルを引き留める歌のはずなのに)ノリノリで歌っているように見えた」といった声や声を失っている状態にも拘らず歌唱パートが追加されている事に対し、「これではアリエルではなくハリー・ベイリーの2時間掛けたMVでは?」と揶揄される始末となった。


そもそもディズニーの原作小説は元々白人作家が白人に向けて執筆した小説なので、制作背景を考えても従来のディズニー作品で白人が主人公だったのは当たり前ではないかという指摘もある。


それ以外のポリコレ要素や演出上の問題点編集

上映時間はオリジナルのアニメ版が83分だったのに対し、本作の実写版では135分で約50分拡大しており、実写オリジナルシーンの大半がエリックの養母や多種多様のアリエルの姉たちなどのポリコレに関することばかりで、視聴者からは「ポリコレの押し付けばかりでうんざり」「無駄なシーンが多すぎる」と批判された。

他にもアリエルをサポートする海洋生物たちがあまりにもリアルすぎると予告の段階から話題に上がっていた。

(ただし、これは美女と野獣(ディズニー実写版)の使用人達や、ライオンキング実写版の動物達も同様である。)

本作におけるアースラの最期やエピローグの問題にも疑問の声が投げ掛けられた。

またアリエルの姉妹の人種の多様化により、父であるトリトン王原作よりかなりのプレイボーイという結論づけるを得なくなった。(なおトリトンという名前はギリシャ神話のポセイドンから由来しており、同じギリシャ神話の兄弟には超浮気性のゼウスがいるため、浮気性は兄弟譲りとネタにされる事態になった。)


ポルノ男優起用編集

本作に登場するエキストラとして登場した人魚の男性(マーマン)のキャストの中に、ゲイ向けのポルノ作品に出演していた経歴がある男性がいたとして話題になった。報道によると、セクシーな男性を集めようというキャスティング方針に基づきオーディションを行ったところ、履歴書の細かい部分をよく確認せず起用をしてしまったとの事。当該男性は俳優としてのインスタグラムの“表垢”で本作の撮影を「生涯の友人との生涯の思い出」と振り返っており、撮影現場の雰囲気は良好だったようである。(現在投稿は削除済)


国内外で歪んだ評価編集

本作は先述のアリエルの人種変更問題などで論争になっており、映画サイトには純粋な評価というよりイデオロギーを優先したような過剰に庇ったり過剰に貶すなど荒らし的な投稿が数多くなされている。


アメリカの大手レビューサイトRotten Tomatoesでは人種差別のレビューを排除するフィルターを実行した結果、観客数値とては高値になっている(的確な指摘をしているレビューまで対象にしているため当然という意見も多い…)

実は配役の問題がクローズアップされ過ぎているためスルーされているが公式の評論家(匿名ではなく顔出しまでしている)が平均100点中67点とイマイチ評価をしている。

内容は多くがハリー・ベイリーを賞賛はしており新しいスター誕生と見ているが

リメイクは創造性がない作品形態」としているため低評価が多い(これは前作アラジンも同じく低評価)。

また前述記載されているが大幅に増やしてことに無意味に冗長しただけと意見も多い。

そのためポリコレに配慮した作品に多い「評論家は高評価、観客は低評価」という流れにもなっておらず「評論家、観客も賛否両論」という難しい状況となっている。

が、本作より後にディズニーによって制作が発表された白雪姫の実写版が「雪のように白い」設定にもかかわらずラテンアメリカ系の女優レイチェル・ゼグラーを起用し、さらにゼグラーの原作へのリスペクトを欠いた言動や過去のSNSの投稿などから公開前から大炎上。アメリカのネットではハリー・ベイリーは少なくとも原作のリトルマーメイドやアリエルへの思い入れをちゃんと持っていただけマシだったのではという意見も出ている。


補足編集

しかし、大前提として忘れてはならないこともある。

というのは、そもそもアニメの『リトル・マーメイド』自体が原作の『人魚姫』から大いに改変されまくった話であり、原作とは大きく異なった作品となっているということである。

このため、ポリコレ批判はその通りとしつつも「肌の色変えられたぐらいで何を今更原作改変だと文句言っているんだ。都合よすぎだろ」といった原作ファンからの呆れた声も少なくない。しかも質の悪いことに、批判するファンのほとんどがその原作を知らずに、「アニメは原作以上の出来だからアニメこそ原作」的な的外れな主張をするファンすら存在する。好むか嫌うか中立化はもちろん個人の自由だが、少なくとも、アニメが「原作」ではないということは忘れてはならない

加えて、原作では黒人とも白人とも言っていないため、「人魚姫の実写からIFとして受け入れられる」との声もある。


アリエル」というキャラクター自体が云々というのなら別の話だが。


なお、とんだ余談だが、本作には


「人魚には涙がない だから余計に辛かった」-ハンス・クリスチャン・アンデルセン


という原作からの一文が引用されて幕を開けるという展開がある。

興行収入編集

本国であるアメリカでは戦没者追悼記念日が絡む連休の週末に公開され、初登場週で首位を獲得。公開から3日間の興行収入が9540万ドルとかなり好調だった。(この数字はディズニーアニメの実写化作品では歴代5位)


メキシコではオープニング3日800万ドル突破。イギリスでも600万ドルを突破した。

特にフィリピンでは好調だったようで、2023年の上半期までに上映された映画の中で最大のヒット作になっている。

しかし海外全体の売上は芳しくない様相を呈しており、特に巨大市場の中国での3日間の興行収入が250万ドルと低調に終わった事が(前作のアラジンは約1850万ドル)痛手となった。

中国や韓国での興行収入がイマイチだった事(同時期に上映されたソードアート・オンラインよりも低い)を指摘し、CNNは「当該国では人種差別が興行不振の原因」といういちゃもんに近いニュースを報道している。


しかしアメリカでも2週目では先週から56.7%減、3週目44.1%減という長期放映は現実的に不可能な数値となっており6月9日の日本公開時点ではアメリカ国内の収益が国外全てを足した収入を上回るといった大手会社が制作した映画では珍しい現象が発生している。


世界第3位の大きな市場を持っていてかつ公開が遅く日本での売上が黒字の為にかなり重要になると目されている模様。日本での初日興行収入は初日が1億6000万で首位を取るなど爆発的ではないがそれなりに好調なスタートを切る。

公開から3日間の興行収入も7億円ほどを記録し3週間連続で1位を獲得している。映画の興行収入以外では、映画のサントラやグッズ売上やパークでのイベントも好調と報道されている。

しかし、現状だと国内興行収入は30億円台となっており、同じく実写版の美女と野獣やアラジンと比較しても非常に低いと言わざるを得ない(どちらも国内興収だけで100億を超えている)。

ディズニー+で配信が開始されると公開から5日間で再生数1600万回再生と、同期日の再生数においてディズニー+史上2位の好成績を収めている。


余談編集

6月の末には本作のキャスティングに影響を持っていたと噂される、ディズニーのダイバーシティ(多様性)部門最高責任者だったSVP(日本の専務や常務相当)のラトンドラ・ニュートンがディズニーを退社するとの報道がなされた。アメリカのエンタメ情報サイトでは彼女の推し進めてきた「woke」な作品の「バズ・ライトイヤー」や「ストレンジ・ワールド」などが不振に終わった責任を取らされたのではないかと推測されている。また、日本のまとめサイトやインフルエンサーの中には「リトルマーメイドの制作部署をリストラし、ダイバーシティ部門も解体」とデマを流した者もいた。(実際には部門は解体されず他のSVPが後任の決定まで代行をする模様)


ディズニーはこの年、本作、実写リトル・マーメイド、後発のマーベルズと100周年記念作品のウィッシュ等で9億ドルの損失を叩き出し、マリオ・オッペンハイマーで大ヒットを飛ばしたユニバーサルに年間興行収入1位の座を明け渡すことになった。

キャスト編集

このほかにアニメーション版でアリエルの吹き替えを演じたすずきまゆみがアリエルとエリックが立ち寄った店の店長の吹き替えでカメオ出演


アニメーション版との変更点編集

  • アリエルの姉達は全員名前が変更。アニメーション版では全員「A」で始まる名前だったが、実写リメイク版ではアリエル除く全員が「A」で終わる名前に変更された。
  • コーラル・ムーンの内容がコンサートではなく会議のようなものに。また、アリエルらトリトンの娘たちは七つの海それぞれの守護を務めていることが判明。セバスチャンの肩書きも『宮廷音楽家』から『執事長』に変更となった。
  • アニメーション版に出てきた宮廷料理人ルイ一切登場しなくなった。
  • オリジナルキャラとしてエリック王子の母・セリーナ女王が登場。さらにエリック王子はとある海難事故の生き残りで、岸に打ち上げられたところを拾われたという設定に。
  • スカットルがオオセグロカモメからシロカツオドリに変更。
  • アースラの部下であるジェットサム&フロットサムが喋らず、また電気ウナギのような能力もある。
  • かつてアニメーション版で没となったトリトンとアースラの兄妹設定が登用された。

関連イラスト編集

Part of that worldアリエル


関連項目編集

リトルマーメイド 実写

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