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人魚姫

にんぎょひめ

『人魚姫』とは、デンマークの童話作家ハンス・クリスチャン・アンデルセン原作の童話。 人間の王子に恋をした人魚のお姫様が、その王子様と結ばれるために人間へと変身するが、王子の勘違いによって悲恋に終わり、人魚姫は代償として海の泡となって消える、というストーリー。 異種間・身分違いの恋愛劇の典型として認知され、現在でも多くの物語のモデルとなっている。
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概要編集

人魚姫とは、西洋の童話のひとつである。


グリム兄弟と双璧をなす、デンマーク巨匠童話作家ハンス・クリスチャン・アンデルセンによって生み出された作品。『雪の女王』、『みにくいアヒルの子』と並び『アンデルセン童話』の代表とされる。


純愛を貫こうとした人魚君の悲恋の物語であり、グリム童話の多くが多数の編者を得て悲劇を回避する方へと向かう中で、アンデルセンが19世紀の人物である関係もあってか、『近代童話』としては珍しくほとんど原作のまま語られることが多い。


一説には、「アンデルセン自身の、多くの恋愛を経験しながらもそれを成就できなかった痛みが作品に反映されている」ともいわれている。


また、発表時期がナポレオン戦争後の王政復古の時代であるのだが、当時復刻した王制は、民衆の発言力が徐々に高まってきていたこともあって王政として以前ほどの政治力を発揮できず、結果として民衆による蜂起・革命が頻発していた。「声にならない人魚姫(民衆)の想いを王子(王族)に届かせる」という物語の構図がこの世相の需要にマッチしたのも、この童話が広まった要因とされる。


あらすじ編集

人魚の王の娘たちの末の姫は魂を持たず天国に行けない身を嘆き魂を持つ人間に憧れていた。そんな中15歳の誕生日に海上へ出た際、の上にいた王子を見かけ、その後に起きた嵐で難破した船から王子を救出、恋をしてしまう。

その後、海に住む魔女から己のと引き換えに、尾びれを人のに変える薬をもらうが、薬を手にした姫に対し、魔女は警告する。


「王子に心から愛してもらえなければ、お前はになる」


人魚が魂を持つには人間からその魂の半分を与えても構わないと思えるほどに愛されなければいけないのだ。

それでも構わないと件の薬を飲み、陸上に上がった人魚姫であったが、彼女の足はまともに立てぬほどの激痛に襲われてしまう。声を失った人魚姫は、なんとか王子様と出会って御殿で暮らせるようにはなり、彼の養い子として大切にされつつも声を失ったために自分の思いを伝えられず苦悩する日々が続く。

しかし王子様自身は嵐の中で助けた人魚姫ではなく浜辺に打ち上げられた自分を助けた修道女に報われぬ恋をしていたが、結局は王子という立場による隣国の王女との政略結婚を受け入れた。

だが実は王子様を助けた修道女は行儀見習いの為に修道院に身を寄せていた隣国の王女であった。

政略結婚の相手が恋した人である事に喜びながら、王子様は結婚式を行うのだった。


そんな中、人魚姫の前に現れた姫の姉たちが、彼女たちのと引き換えに海の魔女から貰ったで、王子を殺害すれば人魚の姿に戻れると告げる。

しかし、殺すことができない人魚姫は死を選び、海に身を投げ、そして海の泡となった。


省略された結末編集

日本では「泡になっておしまい」として認知されがちな本作品だが、原作にはもう少しだけ続きがある。


人魚姫は消滅する直前、その無償の献身を「真実の愛」としてに認められ、空気の精に生まれ変わる。

姫は広い世界を自由に飛び回れるようになり、王子と妃を祝福した後、彼女を受け入れてくれた仲間達と共により多くの人々を幸せにするための旅に出る。

今の想いを忘れず善行を積み続ければ、彼女は人魚の身には無かった不滅のを授かり、神の待つ天国に招かれる資格を得られる。

恋は実らなかったけれど、人魚姫は神の愛という絶対の幸せを得たのである。

めでたしめでたし。


恋愛という観点から見れば確かに人魚姫の物語は報われない悲恋なのだが、物語が生まれた現地のキリスト教文化においては

  • 肉欲や我欲に基づく恋の呪縛から解き放たれ、他者の幸福を心から望める無償の隣人愛と奉仕の精神に目覚める
  • 天国で神の庇護の下永遠の幸福を享受するための条件である不滅の魂を授かる
  • 神の摂理を外れた祝福されない怪物の身から神の調和の内に受け入れられる身分になる

ということは至上の美徳とされていたため、この結末はバッドエンドではなくトゥルーエンドの扱いになる。

(また、恋が実った経験の無いアンデルセン自身に「思い通りの結果を得られなくても誰かの幸せを願う心は無意味にはならない」と信じたい想いが有ったのかもしれない)

しかしキリスト教に馴染みが薄かった日本ではこのオチは「ピンと来ない・ウケない」と判断されて省略され、土着の異類婚姻譚によくある「別離で終わる悲恋」の形で流通したのである。


派生作品編集

ディズニーの『リトルマーメイド』など、多数の作品にその内容は受け継がれている。なお『リトルマーメイド』をはじめ、一部の作品では悲劇的な展開が改変され、ハッピーエンド(例:最後には王子と人魚姫が結ばれる)で終幕するパターンが増えている。


また、童話モチーフのキャラクターが多数登場する作品や企画ではシンデレラアラジンがモチーフの人物と組まされることが多い。(魔法の力を借りて意中の人物に会いに行く部分を反映させたものとされる)


よくある脚色編集

  • 人魚姫が声を失うくだりを、多くの児童向けの絵本やメディアでは「魔法で声を奪われた」「声と引き換えにした」「薬の副作用」とマイルドにされているが、原作では魔女は人魚姫の舌を切り取っている。
  • 人間になった時の描写として、ディズニー映画のように間に合わせの服を作ったり、「いつの間にか着ている」「水着か肌着状のものを着用」という絵が描かれることがあるが、原作では全裸が正解。昔は絵本でも、王子と再会した姫は裸に気づいて長い髪で体を隠していた。
  • 結末は日本式の「泡になっておしまい」の他、原作のテーマに沿うラストでも「天使に導かれて昇天」「光の娘ないしは風の妖精になる」などがある。

女性の人魚(マーメイド)としての呼称編集

世間一般では、女性の人魚・マーメイドを(プリンセスではなくとも)「人魚姫」と呼ぶことが少なくない。特に、女児向けの作品の人魚の女性キャラを、「人魚姫」と呼ぶことが多い。イメージとしてヒロインか、人魚たちの中でも一際目立った美人を想像されることが多いようである。天使雪女ともども、寒色(特に水色)好き、少女趣味好きに受けやすいモチーフである。

また、本作をモチーフとした名前として「泡になるお姫様」というニュアンスから泡姫という名前を付けるということもあるようだが、DQNネーム扱いされることも多いので、名付けの際には要注意である。(理由は当該記事を参照のこと)


アンデルセンの「人魚姫」をモチーフとしたキャラクター編集


人魚姫をモチーフとした楽曲編集


別名・表記ゆれ編集


童話の原題はデンマーク語で"Den lille havfrue"(デン リレ ハウフゥ)という。havfrueは人魚のこと。英語版では「リトルマーメイド」。

ロシア語の訳題は「ルサールカ」らしい。


関連イラスト編集

【創作】海風のセレニティお忍び人魚姫

まだ恋を知らない海の上の世界のことを夢見る人魚姫


関連動画編集

人魚姫 世界の童話 バージョン2 - Popo Kids(2017年1月)


関連タグ編集


外部リンク編集

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