概要
製造は篠原重工。 警視庁警備部特車二課に所属している警察用パトロールレイバーで型式番号は【AV-2】。導入数は予備機を含め6機。AVS-98の系統とも言えるため、外見がどことなく似ている。
イングラムと比べると内部構造および機能が省略、もしくは簡略化されている。ただしニューロン・ネットワーク・システムやヘッドマウントディスプレイ(HMD)など最新鋭の技術を惜しみなく導入していることもあり、性能自体はイングラムをも上回る。
旧OVA~劇場版の世界線に存在する機体らしく、REBOOT以降では改良版のイングラムが再生産されている様子。
2001年にイングラムの引退と同時期に新たに配備された『量産型パトレイバー』。各都道府県にも配備されている模様。
劇場版第二作目「機動警察パトレイバー-The MOVIE2-」でその姿を現したのだが、目立った活躍がないまま劇中後半、待機中に格納庫ごと蜂の巣にされて終わってしまった。まるで案山子か射的扱いである。
しかし当時のテレフォンサービスドラマにて目覚ましい活躍をしていることがシバシゲオによって判明した。そのことから見てもそれ相当の性能を持っているといえるのだが、はっきり言って相手とタイミングが悪すぎたのかもしれない。また、故障が多いのか劇中ではハンガーに乗せたままの登場で活躍の場がなかった。そのためメンテナンスを受けていたのだが、上記の結果に…。
パトレイバー作中世界(新旧OVA、映画、TV版をミックスした独自の世界線)で刊行されたという設定のムック本『ザ・レイバー・インダストリー』では、「最新パトレイバー」として堂々巻頭で紹介された。
本機の没個性さは、「レイバーがあるのがあたりまえとなった新時代の象徴」として好意的に解釈されている(そのせいなのか、『特長がないのが特徴』とどこかのロボットのように言われる羽目になっているが)ためなのか、イングラムに代わるイコンになりようがないデザインである。
イングラムとの違い
上記の通り、イングラムの簡易量産型として開発されており、整備性が容易になっている。これはこれからの時代を見据えているものであり、長期運用を考えた構造となっている。シンプルゆえに拡張性も高く、従来の装備も流用できる利点もある。
頭部及び頸部周り
頭部はイングラム一号機の意匠が見られるが、バイザーによる防護ギミックを省略した代わりにセンサーキャノピーの耐弾性を向上させている。
通信用のブレードアンテナも損傷しやすかったことを考え、頭部から襟元に配置を変更し損傷率を下げている。
胴体部
排熱機能の小型化により搭乗方式が背部から搭乗する方式(頭部基部が前方に跳ね上がり背部装甲が下にスライドする)に変更されており、継ぎ目のない分前面の装甲強度を維持できる(この技術は軍用レイバーにも採用されているものである)。
更に視界確保のためのキャノピーが採用されたことでシートを上げて搭乗者が肉眼で確認する動作をなくしている。シート昇降ギミックがない分内部スペースも広くなり居住性が上がっている。さらにHMDの採用により従来の機体と比べてより広範囲な視界を確保できている。
従来のレイバーキャリアに乗せることも考慮されてはいるものの、後部搭乗式に改めたためキャリアに若干改造を施している。
武装関連
リボルバーカノンの収納箇所が左わき腹(黒い部分が下に開き取り出す)に変更されており、近接武器は可倒式ナックルガードが採用されている(のちにスタンスティックも装備)。そのため前腕部のアーム伸縮ギミックが省略された。
主兵装
リボルバーカノン
イングラムに採用されていた回転式拳銃タイプの武器。基本的に仕様は変わらないものの、射撃精度に改良がくわえられている模様。
シールド
防御用装備。内側にスタンスティックを内蔵しているが、初期生産分は装備していなかった。
ナックルガード
本機から採用された新装備。前方に回転しそのまま殴りつける方式のため、無駄なアクションをせずに格闘戦に入れる。スタンスティック同様のスタン(電磁パルス)システムが内蔵しており、直接相手にダメージを与えることができる。
スタンスティック
イングラムと同じ形状の改良型。ナックルガードのスタンシステムは低出力であるため軍用レイバーには太刀打ちできないため、改めて装備された。
※劇中での描写はなかったが、イングラムやゼロことピースメーカーの装備も使用可能。
立体物
今までは上映当時に発売されたガレージキットくらいしか立体物がなかったが、最近になってグッドスマイルカンパニーの「MODEROID」シリーズに1/60スケールでラインナップ、これが本機の初プラキット化となった。2022年8月発売。
劇中で登場する装備が同梱する他、イングラムの武器(ライアットガン)も付属。ナックルガードの回転ギミック、リボルバーカノンの収納ギミックは省略されている。