概要
聖書(旧約聖書、新約聖書)の場面や登場人物、キリスト教史上での出来事や伝説、聖人を題材とする宗教画。
古代から中世、近世において現れた聖人やその時代の出来事を描いたイコンだけでなく、現代を舞台としたイコンも生まれていっている(後述)。
カトリックと異なり宗教において立体の像を用いることを避ける傾向が強い正教会では、
イコンが占める位置は大きい。信徒にとってイコンは大切な人がうつった写真のようなものであり、
それ自体は信仰の対象ではないが、極めて大切に扱われる。
基本的にイコンには作者の名前を記さない。神の導きを受け入れて描かれるものとされるため、作者が自分の名誉や利益のために制作するのはイコン画家としてふさわしいとは言えない。仏教における仏像においても、運慶以前には仏像に作者銘は記されなかった。
正式なイコン画家として認められるのは敬虔な正教会信徒だけである。そのため、pixivに投稿されたイコンの絵は正確には「イコンっぽい絵」ということになる。
イコンは宗教的に重要であるだけでなく、優れた芸術品・貴重な文化財でもあり、ロシアでは骨董品、美術品、楽器とともに国外への持ち出しが禁じられている。1945年以前に制作されたものを持ち出す場合、省庁からの認可が必要になる。
東方正教会以外でのイコン
正教会では福音書記者ルカが最初の聖母子のイコンを描いた、という伝承があるが、このエピソードはカトリック側にも伝わっており『黄金伝説』などに記されている。
カトリックにも聖書や聖人伝説を題材にした宗教絵画の伝統があり、中には正教会のイコンと通底する作風のものが存在する。
代表例として15世紀のイタリアでビザンティン美術のイコンの様式で描かれた『絶えざる御助けの聖母』がある。
新しいイコン
東方正教会には1986年のチェルノブイリ原子力発電所事故の後に描かれた「チェルノブイリの救世主」というイコンがある。
コプト正教会には21世紀に認められたイコンが存在する。2015年に「イスラム国」こと過激派組織ISILに浜辺で処刑された21人のコプト正教会クリスチャンたちを描いたものである。
『仮面ライダーアギト』では
(イラストの背景に描かれているもの)
OP映像で登場する為、創作作品の中ではかなり著名なイコン画。
旧約聖書における「創世記」がベースになっており、アギト世界の経歴が描かれている。
混沌から世界の創造主が生まれる所から始まり、七大天使と動物達の祖先である天使、そして人間や動物達が誕生し、中盤では人間と天使達の大戦争と世界を洗い流した大洪水を描いた後、終盤では再び地に満ちた人々と共に歩む赤き戦士と青き戦士、そして失墜していく天使達が描かれる所で締められる。(赤き戦士と青き戦士の正体には諸説ある。)
『ディケイド』版では世界観が異なる為、イコン画の内容が簡略化、七大天使も三人になっている。
2014年に『アギト』版のイコン画がプレミアムバンダイで商品化された。
関連タグ
アイコン:イコンが語源である