概要
「スキューモーフィズム」とは、デジタル上のUIデザインで現実世界の形状や特徴を模倣する手法の一つのこと。リッチデザインとも呼ばれる。
ユーザーに直感的な操作性を提供することができ、主に2000年代初頭から2010年代初頭にかけてUIデザインの中で広く使用されていた。
スキューモーフィズム(skeuomorphism)の語源は、ギリシャ語の“skeuos”(容器・入れ物)と “morphê” (フォーム・形)の単語を組み合わせたもの。
しかし2010年代以降からはよりシンプルなスタイルが主流になった。→フラットデザイン
歴史
このデザインの流行の背景には、ユーザーがデジタル環境での操作やインタラクションを理解しやすくするための試みがあった。
当時、デジタル技術が急速に発展し、多くの人々が初めてタッチパネルに触れるようになった。しかし、新しいデジタルインターフェースに慣れるまでには時間がかかり、使い方が直感的でないこともあった。
そこで、当時のUIデザイナーたちは現実世界の物体や素材に似たデザイン要素を取り入れることで、ユーザーになじみやすい環境を提供しようとした。例えば、電子メールのアプリに封筒のイメージを持たせたり、カレンダーアプリが紙のカレンダーのような見た目や操作感を持たせたりしていた。
このアプローチは、ユーザーにとって馴染みのある要素を提供する一方で、新しい技術や操作方法に対する敷居を下げる効果があった。また、物理的な形状やテクスチャの再現は、デザインにおいて視覚的な興味や好奇心を引き起こす効果もあった。
しかし、2010年代半ばからはデザインのトレンドが変化し、よりシンプルでミニマルなスタイルが主流となった。Apple iPhoneのフラットデザインやWindows8のマテリアルデザインなどが台頭し、現実世界の模倣をあまり重視しないデザインが増えた。これにより、スキューモーフィズムはやや過去のデザインスタイルとされるようになった。
具体例
>「星のカービィ トリプルデラックス」では制作当時ではタッチするデバイスが増えてきたこともあり、タッチの気持ちよさなどが求められたためiOS7以前のメインデザインなどに代表される「スキュアモーフィックデザイン」と呼ばれる一目見てボタンと分かるような質感の強いボタンデザインを行ったと説明が行われた。 ── 『星のカービィ』シリーズを支えるUIデザインの伝統と挑戦の実例【CEDEC2020レポート】