概要
エラガバルス(Elagabalus)は3世紀のローマに伝えられたシリアの都市エメサの神で、ソル・インウィクトゥス(不敗の太陽,Sol Invictus)の名で崇拝された。
その神体は円錐形の黒色の聖石(隕石)だったとされる。
ローマ元首ヘリオガバルスは元々エラガバルスの司祭であったことから、即位と共にローマにこの神を持ち込みパラティヌス丘に神殿を建てた。
以降は、ローマにおいて元々信仰されてた神の神殿を侵犯する等の強引な手段を用いて、パンテオンを統べる神としてエラガバルスを強制的に崇拝、いわば唯一神の座に据えたとされる。
ただ一柱の神をのみ信仰させるという信仰体系は当時のローマに前例が無い、いわばヘリオガバルスを嚆矢とするものであり、後代のミトラ信仰などの土台を築くものであったといわれる。
以降、エラガバルス神に対しての崇拝形態は
(この時代のローマでは動物を奉げることは有っても人を捧げるのはさすがにNG)
- 一応、祝祭において皇帝から民衆に贈物が下賜される(このためそれなりの人気があった)
など、諸般の事から複雑な軌跡をたどり、多くのローマ市民を困惑させた。
ヘリオガバルス死後は一応なかったことにされ、神体の聖石もエメサに還されて信仰は途絶える。