概説
おつじ氏創作のオリジナル漫画、pixivコミック(comicPOOL)で連載中。
外国文化が根付いてきた頃の日本で、名家の本家に引き取られた少女が、さまざまなカルチャーギャップに面喰いながらも淑女として成長していく物語。
おつじ氏お得意の優しい世界全開かつアクの強すぎる主要人物たちによるド親切ワールドが、読者の心をほっこりさせつつ腹筋崩壊を巻き起こす。
タイトル通り、童話『シンデレラ』の設定を踏襲したような導入から、その真逆を行く世話焼き天国に翻弄されっぱなしな主人公、高飛車な性格が若干のツンデレ風味にしかなってない義姉たち、そのやり取りを見守りつつ大胆不敵に我が子らを教育する義母と、作者の代表作『通りがかりにワンポイントアドバイスしていくタイプのヤンキー』の主人公と他の登場人物の関係性を逆転させたような構図となっている。
作者いわく妾の子が本家にいびられる展開が嫌で描いてみたとのこと。
あらすじ
(公式サイトより引用)
とある名家の庶子である私は、母の死をきっかけに本家に引き取られることになりました。
そこで待ち受けていたのは恐ろしい義母と義姉のはずが——!?
SNSで話題の今いちばん見守りたい、心あたたかな家族のお話を連載化!
登場人物
(単行本派はネタバレ注意)
鴻蔵家
屋敷は広く隠し通路が至るところにあり、てるの部屋はすべての部屋と繋がっている。
- 中村美冶(なかむらみや)
CV:早見沙織(PV)
主人公、母の死をきっかけに鴻蔵家に引き取られることになった。
貧乏ぐらしが長かったため戸惑うことばかりだが馴染もうと努力の日々。
華奢な見た目だが、荷運びをしていたとかで意外と筋力がある。
入学を機に鴻蔵に改姓、「お母さんとの絆がなくなることはない」と前向きに捉えた。
- 鴻蔵てる(こうのくらー)
CV:くじら(PV)
鴻蔵本家奥方、凛とした存在感と鬼気迫る雰囲気から畏怖の対象となることも。
「家族のあり方はそれぞれ、血縁だけが全てではない」と快く美冶を引き取った大人物。お義母様とよんだ美冶に対し「あなたのお母様は女手一つで育てた御母堂ただ一人、私のことはマミーと呼びなさい」と家族への思いを忘れないようにさせた。
使用人に対しても別け隔てなく接する。
三ツ矢が掃除中にバケツに入った水をひっくり返し、名護が庇ったときは「嘘はやめなさい、拭けば済むこと」だと穏便に済ませた。
そのうえ、三ツ矢が母親の見舞いで早退することを知っていたので、見舞い用の花を庭園から持っていくようにすすめた。庭師の植木がはしごを踏み外し膝を痛め、かばおうとした娘たちが濡れ鼠になった際は、「もう帰って結構、私の主治医を呼ぶから部屋で待ってなさい」と植木の手当を優先した。
ありさによると寝ているところを見たことがない。
三ツ矢が苦手なものを探ろうとするも分からずじまいだったが、実は数学は門外漢とのこと。
美治の真っ直ぐさと素直さについて、「美治の心に触れたものは応援したくなる」と評している。
- 鴻蔵まりか
CV:伊藤彩沙(PV)
鴻蔵家長女、洋装で活発な性格。面倒見が良く、自ら志願して美冶が学園に入学するまでの間の行儀作法から読み書きまで教えていた。
顔合わせまでは美治に懐疑的だったものの、いざ顔を合わせるとすぐ美治が大好きになり、「美冶のかわいい瞬間を共有できるものがあればいいのに」と熱望している。
幼い頃、器量の悪さを思い悩んでいたところ、「本家の子ではない」と耳にしてしまい、仕返しも兼ねてイタズラ三昧。てるに見つかり「私が本当の娘じゃないから冷たいんでしょ」と反発するも、「まりかは正真正銘私の娘、名家の長女として将来のために厳しくしてきたが却って苦しませることになって悪かった、親と呼びたくないのならママと呼びなさい」といわれ、ママ呼びを決意。お母様と呼ぶのは一流の淑女になってからとのこと。
学園では兄弟校との交流会で運営の手腕を示し将来の足がかりにするとのこと。
- 鴻蔵ありさ
CV:長江里加(PV)
鴻蔵家次女、和装で諸芸に通じた才女。まりかを常に煽りたいと思っている。しかし幼少期はまりかにくっついていることが多く、長く仕えている植木にも二人が今の関係になったのかはわからないとの事。
毎月の小遣いは全て甘味に消えているが、これは家業を手伝っており、特に数字仕事の際は頭を使うとして甘味を常備していることによる。この手伝いで収入があるためかそこまで金銭で困る場面はない。
美冶が来るまでは本家の末子だったこともあって妹ができるのを楽しみにしていた。
また自分を姉のように慕う弥栄子の事も可愛がっており、一緒に喫茶店に行った際に弥栄子が自分の真似をするのを見越し弥栄子が苦手なコーヒーでは無く紅茶を注文するさりげない気配りを見せる。
学園では風紀委員長を務めブラウスを自由化させたとのこと。
- グングニル
屋敷の護衛(犬)、愛称はグンちゃん。
初対面の美冶に吠えなかったが実は鳴けない。まりかによると「屋敷の前に倒れていた、外傷はなかったから心の問題かも」とのことだが皆に可愛がられている。
- 名護
屋敷のメイド長。糸目だがてる同様凛とした存在感。日々の記録を書き留めている。
新人メイドの三ツ矢が掃除中にバケツに入った水をひっくり返してしまった際、彼女のミスを叱りつつも騒ぎに気づいてやってきたてるに対し、自分が水をひっくり返したと庇っており、ただ厳しいだけの人物ではない。
実は、新人の頃「仕事ばかりで陰気、それに大柄で怖い」と指摘されふさぎこんでいたが、てるに仕事を評価され「私も大柄だから側にいなさい、そうすれば少しは華奢に見えるでしょう」と声をかけられたことで自分に自信が持てるように。これ以来、業務記録がてるへの思いを綴ったポエムになってしまうのが最近の悩み。
- 植木
屋敷の庭を40年任されている庭師。
恰幅のある体型に福耳と、布袋様を彷彿とさせる穏やかな人物。
- 三ツ矢
新人メイド。そそっかしい所も多いが憧れの名護に近づくために努力の日々。まりかは彼女の淹れる紅茶がお気に入り。
病気の母がおり、見舞いのため早退することがある。
関係者
- 中村ヤス
美冶の母方の祖母。「娘が先立ったことに気が動転し美冶を手放したが、庶民が名家に馴染めるわけない」と連れ戻しに来るも、てるに「馴染みの商家に年季奉公の約束でも取り付けたのか?」と指摘され退散。美冶を案じているのは確か。
- 鴻蔵弥栄子(ーやえこ)
まりか達のいとこ、美冶が見下ろすほど小柄。
ありさをとられたくないという寂しさから初対面の美冶に難癖ばかりだったが、ありさに諭されお茶仲間として認めてくれる。てるの存在感に動じない美冶に「肝が太い」と感心する。
若葉(婦人会)
政界、財閥、旧家など社会的地位のある家が集う大規模な社交の場。
会長を務めるてるは会を取り仕切る四天王の一人でその存在感から鴻鵠の母と称される。
- 御厨(みくりや)
男爵夫人、婦人会四天王の一人。秩序を重んじるため秩序の秤と称される。
てるの寛容さに惚れ込んでいる。
- 稲荷タキノ
婦人会四天王の一人。叡報女学園理事長。情報で栄えたため報せの地図と称される。
小雪の学校生活に対しては「教育者たるもの我が子びいきはいけない」と静観の構え。しかし校内巡回を名目に娘のクラスの様子をさり気なく見に行っている。
- 花山(かざん)
婦人会四天王の一人。華道の家元で芸道の女帝と称される。
その気になれば海外王室のお抱え料理人もツテで呼べるらしい。
リルが美冶と同じクラスと知り興味津々。授業参観で実際に美治に会い、彼女を大層気に入っている。
叡報女学園
江戸時代の私塾を前身とする、まりかやありさも通う女学校。隣接する叡報学園とは男女の垣根を超え教養を深めるべく年2回交流。入学試験は無く書類審査のみだが卒業試験は大変厳しいとのこと。
クラスメイト
- 花山リル
花山家息女、母同様華道で名を馳せており海外からも注目されている。
当初は周囲に流される美冶を「気に入らない」ときつく当たるが、登山遠足で美冶の気配りを見て、「人知れず咲く一輪の花」と感銘を受け、一目置くようになる。
小雪に対しては学校を休みがちながらも好成績をキープしてきた努力家と評価しており、なかなか会話が続かないことを密かに悩んでいたが、小雪の発言を急かさず待つ美冶を見て、小雪との会話は「長い時をかけて咲くリュウゼツラン同様発言を待つことが大切」と気づいた。
まりかとは幼い頃から反りが合わず、二人の口喧嘩は社交界の名物らしい。
- 稲荷小雪
稲荷家息女、耳の早さはありさも一目置くほどだが、口数は少ない。
その理由は情報は慎重に取り扱えとの家訓による。「膨大な情報から何を話してよいかわからなくなってしまい、会話に間ができて相手を不快にさせているのでは?」と思い悩んでいた。
しかし、普段から会話の勢いに流される美冶にとっては非常に話しやすく、小雪もまた自分の発言を待ってくれる美治の態度に焦らずに言葉を選べる気楽さから「さん付」で呼んでもらうほどに親しくなった。
代々学園理事を輩出して来たらしく、祖母の頃から学級委員長を務めることがある種のしきたりとプレッシャーになっていたが、美冶の「穏やかで安心できる学級になりそう」という一言で自信を持ち委員長に立候補し当選した。ちなみに自分のペースでできるからか、筆は達者。
生徒会役員
出身者は卒業後に華々しい活躍をしているらしいが、ありさによると「生徒会は1年時に学級委員長の実績が必要」。しかし、まりかいわく「他の委員で実力を発揮するのも立身出世の一手」とのこと。
名家の実子ではない美冶の入学が学園の品位に及ぼす影響について疑問を呈している。
- 御厨定(ーさだめ)
御厨家息女、叡報女学園生徒会長。まりかは「幼少の頃から比較対象にされてきた」らしい。また一年時の委員長選挙の際は一票差でまりかに勝って委員長となっている。
愛犬のヤマトとの散歩中、同じくグングニルの散歩をしていた美冶と出会い交流、学級委員長として一人で奔走する小雪を心配する美冶に「きみがしたいことをしてあげたらいい」と優しくアドバイスした。
(実は直前に「他人の気持ちなんてわかるはずがない」と呟いていたが美治には聞こえていなかった)
その後、全校集会で壇上に立つ彼女の厳格・厳粛な印象に美冶は驚愕し、自分にアドバイスをくれた人と同一人物なのかと困惑する。
まりかによると「名家の厳粛さを体現した規律の化身」、ありさによると「真っ直ぐな姿勢に惹かれる人間も多い」とのこと。
美治の入学については「学園に相応しくないなら自ら居場所を失う」と静観の構え。
- 浦ハチ
生徒会副会長。定同様厳しい口調。生徒及び保護者達から美治の入学に否定的な意見が寄せられる中、当の美治が在籍するクラスからは保護者を含め否定が全く出ていない状況下に疑問を抱く。
美冶を「社交界のイロハも知らない者」と呼び辛辣な態度を取るが、定に「言い過ぎだ」とたしなめられた。
- 小鳥遊ほまれ(たかなしー)
生徒会書紀。「人間に生まれは関係ない。全てに慈愛を持つべき」という思想の持ち主。
- 満仲千代(みつなかちよ)
生徒会会計。「時は金なり」と金銭と時間に厳しい人物。美治の入学に鴻鵠の金銭が絡んでいるのでは?と勘繰るも水瀬に一蹴される。
- 水瀬瀧子
生徒会総務。軽妙洒脱な麗人。転びかけた美治を咄嗟に支えたまりかと定の姿を見て「二人のあんな様子は初めて見た」と興味を持つ。
関連動画
書籍情報
一迅社より発売
1巻:2021年5月25日
2巻:2021年12月17日
3巻:2022年8月19日
4巻:2023年2月25日
5巻:2023年10月25日