ユーサー・インサラウム
ゆーさーいんさらうむ
CV:間宮康弘
人物像
地球と平行世界に存在する聖王国「インサラウム」の第一皇子。先王インサラウム72世の息子。
再世篇シナリオの序盤に、宰相のアンブローン・ジウスやアークセイバーのジェラウド・ガルス・バンテール、ウェイン・リブテール達とこちらの地球へ転移して来て、インサラウムの再建を宣言する。機体は専用機の聖王機「ジ・インサー」に搭乗する。
だが、元々武芸の実力はともかくとして優しく争いを好まない、また気の弱い性格なのでアンブローンに半ば引きずられる形でこの地球に転移してきたといった方が正しい。経験不足もあって指揮も考えなしの突撃指示といった戦争処女的な部分が最初のうちは目立っていたことから、ウェインからは完全に侮られ、客将のマリリン・キャットも半ば呆れていたが……。
これ以降、ネタバレ注意!!
聖王の覚醒
信を置いていたジェラウドの戦死と、彼の最期の言葉によって自身を見つめ直し、迷いながらも奮起。次元科学という禁忌に踏み込み、そのために自分を亡き者にしようとしていたアンブローンを問い質し、全てを聞いたうえでそれを許し、さらなる貢献を命じた。さらに、ジェラウドの推薦により、ウェインをナイトオブナイツに任じ、自身も積極策に転向。必要とあらば聖王機を駆ることも辞さず、インサラウムのために立ち上がった。威厳と自信、そして自負を強めたユーサーの姿は、面従腹背だったアンブローンや反発されていたウェインに信頼と忠誠を抱かせ、自己中心を絵にかいたようなマリリンですら力を尽くすことを惜しまないほどのカリスマに満ちていた。
そして、彼にとってもう一つの転機は、旧王都でのジ・インサーの覚醒だった。宝剣コールブランドを抜き放った彼は、聖王機の動力であったスフィア『尽きぬ水瓶』のリアクターとして覚醒したのである。その際現れたアイム・ライアードから聖インサラウム王国壊滅の真相を聞かされたユーサーは、その戦いでウェインを失ったものの歩むことを止めはせず、聖王機で前線に立ち続けた。そして、エリア11(黒の騎士団ルートでは、中華連邦領内)での決戦の際、アサキム・ドーウィンによって無力化されたアイムを討滅。祖国の仇を討ち、心ならずもアイムが所持していたスフィア『偽りの黒羊』を手にした。
結末
火星でのZEXISとの決戦では、かつての優しさをかなぐり捨てたような暴君と化し、黒の騎士団ルートにおいては祖国を滅ぼしたガイオウを招き入れて聖王に即位させるという背徳行為まで行い、アークセイバーから離反され、次元獣のみを伴に挑み、敗れることになる。しかし、それはユーサーの思惑通りであった。インサラウムの民たちに安息の地を与えることを目指したユーサーだったが、その「民たち」の中には自分は含まれていなかったのだ。侵略者であるインサラウム、その民達を蟠りなく受け入れさせるため、自身を「インサラウムを戦いに導き、祖国を侵略した破界の王に魂を売り渡して民を苦しめた暴君」としてZEXISに討たせることで、侵略者に対する怒りと憎しみを一身に背負ったまま死んで逝くことを求めたのである。
その目論見は見事に当たり、ユーサーは民を踏み躙った為政者として討たれた。黒の騎士団ルートでは、全てを明かした彼は、ガイオウの一撃、そして機会を待っていたアサキムの襲撃によって満身創痍になりながらも、クロウらと共にスフィアの力で火星のZONEにアサキムを封印。自身も聖王機の爆発の中に消え、散って逝ったアークセイバーや民達のもとへ還って逝った。
命を賭したこの演技にほとんどの人間が(ゼロ・レクイエムルートでは全く同じ発想で「ゼロ・レクイエム」を行った[[[[ルルーシュ>ルルーシュ・ランペルージ]]ですら)気づかなかったのは、「偽りの黒羊」の力によるものである。皮肉なことに、インサラウムの民に新天地を与える助けとなったのは、亡国の黒幕である仇敵の力だった。なお、「暴君」の姿が「真実」であるならば、彼が持つ2つのスフィアはその力を発揮できないため、倒すまでもなくその真意を見極めることは可能である。事実、『偽りの黒羊』の力があっても、何人かの人間はその真意に勘付いていた。
当初は弱気な一面ばかりが目立つため気づきにくいが、実は洞察力が非常に高く、アンブローンが自身を亡き者にしようと謀っていることを知っていた。また、高価な量産機であるディム系の機体がアークセイバーの主力なのは、人命こそが最大の財産と考えたユーサーの命令によるものである。ジェラウドがユーサーに対して揺るがぬ忠誠を捧げていたのは、ガイオウに敗れた後、誰もが絶望に沈む中で、ユーサーだけがジェラウドの妻子の死を知って泣いてくれたからであった。
公の場での一人称は「余」を使っているが、普段の一人称は「僕」であり、次元獣と化したエスターの前でクロウと直接対面した際は「私」を使っていた。
自らの命を削って聖王機で戦う姿や、サフィアーダなど、宝石の名を冠した機体を駆る臣下がおり、それらを失っていく事、自らを『幸福の王子の傍に寄り添うツバメ』に喩えながら息を引き取るマリリンの存在……と、ユーサー自身はまるで『幸福の王子』をモデルにしたかのようなキャラクターであった。幸福の王子は死後、楽園でツバメと共に幸せに暮らした。インサラウムの民が救われるという大願を果たしたユーサーもまた、幸せだったのかもしれない……。
死後、真相を知ったインサラウムの人間達から「最後の聖王」として生前にも勝る敬慕を寄せられている。また、その魂は「尽きぬ水瓶」のスフィアに宿ったまま眠っており、天獄戦争最終局面の超時空修復において、他の死したスフィア・リアクター達と共に力を貸した。