特に、インドや西域から教典をもたらし漢訳した人々を尊称して“訳経三蔵”“聖教三蔵”或いは“三蔵法師”と呼ぶ事が多い。
これまで「三蔵法師」の号で呼ばれた僧侶は複数居るが、通常は「西遊記」で御馴染みの玄奘三蔵を指す。
「玄奘三蔵」概要
俗名は陳江流(ちん こうりゅう)。
生まれる前に賊に父・光蕊(こうずい)を殺され母・温嬌(おんきょう)を奪われて、生まれてすぐに川に流される(「江流」の名はこの過去の出来事に因む命名)が、古刹・金山寺の住職に拾われて養育され、後に同寺で受戒、「玄奘」の法名を授かった。修行の末、高僧として大成し、後に別れ別れになった温嬌とも再会を果たす。
その後も修行を続けていたが、太宗皇帝が主催した大規模な仏事「水陸大会」(すいりくたいえ)の席上で観音菩薩の命を受け、天竺へと取経の旅へ遣わされる。その際、太宗皇帝と義兄弟となった。
実は前世で釈迦如来の第二の弟子、金蝉子(こんぜんし)であったが、仏法を軽んじた罪によって下界に落とされた。玄奘三蔵が金蝉子の生まれ変わりだと言う事はあまねく妖魔の噂の種で、その肉を喰えば不老長生が得られ、その肉体と交わって元陽を受けた女怪は上位の神仙になれると信じられている(真偽は不明)。その為道中ではしばしば妖魔に狙われる。
高僧とは言え凡人である為目で見える事しか信用せず、若干頑固なところがある。その為孫悟空が倒した妖魔の変化を見抜けず悟空が人間を殺したと思い込んだり、悟空の忠告を聞かずに妖魔の手に落ちる事もしばしば。妖魔に捕らわれると為す術無くめそめそと泣きながら弟子の助けを待つのみ、と言う描写が多く、史実の玄奘三蔵とはかなりペルソナが異なると言って良い。
女性と見間違うほどの美貌の持ち主でもあり舞台やドラマではしばし女性が演じる事がある。
だが「法師」と記載されている通り、本来の性別は男である。作中妊娠するが、確実におっさんである。
西域より帰還の後、未来に旃檀功徳仏(せんだんくどくぶつ)という仏に成る記別を釈迦如来より与えられる。