概要
西サハラ(にしサハラ、アラビア語:صحراء غربية aṣ-Ṣaḥrā’ al-Gharbīyah、ベルベル語:Taneẓroft Tutrimt、スペイン語:Sahara Occidental、英語:Western Sahara)は、アフリカ大陸北西部の大西洋岸にある地域。北から時計回りにモロッコ、アルジェリア、モーリタニアに接している。1976年2月まではスペイン領サハラで、リオ・デ・オロとサギア・エル・ハムラ地区より構成されていた。
現状では北にあるモロッコが大部分を実効支配しており、これに対して独立を求めるポリサリオ戦線がサハラ・アラブ民主共和国を名乗って一部を支配している。日本はサハラ・アラブ民主共和国を承認していないが、西サハラをモロッコの領土ともみなさず、西サハラに未解決の領土問題が存在する事を認めている立場にある。
歴史
1884年12月にスペインの保護領となり、1912年11月にイフニ・モロッコ南部保護領と合併してスペイン保護領モロッコを形成したが、1958年6月にモロッコ南部保護領、1969年1月にイフニをそれぞれモロッコに返還する。1975年11月のマドリード協定によってスペインは領有権を放棄・撤退し、スペイン・モーリタニア・モロッコによる暫定政権が発足した。その一方で西サハラの独立を目指すサギアエルハムラ・リオデオロ解放戦線(通称:ポリサリオ戦線)はアルジェリアの支援を得て武力闘争を開始し、1976年2月にアルジェリアの首都のアルジェで亡命政権のサハラ・アラブ民主共和国を樹立した。
ポリサリオ戦線は1979年にモーリタニアを破って領有権放棄に追い込み、その旧領を支配下に置いた。さらに1984年にサハラ・アラブ民主共和国としてアフリカ諸国の多くから承認を得、アフリカ統一機構(現在のアフリカ連合)への加盟が認められた。これに対してモロッコは西サハラの大部分を制圧した上で主権は維持した上で西サハラに自治権を付与する提案を行い、一方で東部で活動するポリサリオ戦線の浸透を防ぐ為に南北2700kmもの砂の壁を築いた。中東諸国の多く、アメリカやフランスなどがモロッコを支援している。国連による調停で停戦は行われたが、西サハラの領有権については長年交渉が続くも決着を見ていない。